[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:フィールド・オブ・ドリームス(ラインメール青森・奥山泰裕)
ゲキサカ / 2018年6月10日 9時18分
勝負の2010年シーズン。「試合に出ていたら契約を変えてくれる約束も何とか取り付けていた」ため、出場時間を着々と伸ばしていた夏過ぎには契約変更を勝ち獲り、ボーリング場でのアルバイトに終止符を打つ形で、再びサッカーのみに専念できる環境が整うと、チームも見事リーグ優勝を達成し、J2昇格が決定。奥山も2年ぶりに“Jリーガー”という立場を取り戻す。
鳥取がJ2に在籍していた3シーズンの中で、奥山がフクアリでプレーする機会に恵まれたのは2回。初めてピッチに立った2012年のゲームも、2度目の凱旋となった2013年のゲームも、どちらも感慨深かったが、より強く記憶に残っているのは後者だという。「あのゲームのことは凄く鮮明に思い出しますね。『こういうボールの流れで、真ん中にいて、こぼれてきて、その時はすべてが冷静に見えていて、切り返して決めたんだよなあ』と、今でもゴールの時の光景はパアッと出てきます」。
後半16分に奥山は綺麗な得点を、千葉サポーターの目の前にあるゴールに叩き込む。「ジェフ相手に点を決めて、サポーターの人に『ウチにいたんだ。じゃあ何で使わなかったの?点まで取ってるのに』とか『凄くいいじゃん』って言われたい、みたいなことをモチベーションにして頑張っていたので、その時は最高に気持ち良かったです」と回想する奥山。ドローで終わった試合後。挨拶に行くと拍手とコールで応えてくれた千葉サポーターの温かさが、とにかく嬉しかった。
2013年シーズンのJ2・JFL入れ替え戦に敗れ、新設されたJ3での戦いを余儀なくされた鳥取。一時は退団を視野に入れた奥山も、「戦力として見られていたし、クラブも『何とか1年でJ2に戻って欲しい』という感じだったので、『絶対上げるぞ』という気持ちで残った」ものの、リーグ戦でのスタメン出場は2試合にとどまり、シーズンが終わると契約満了に。この年いっぱいで6年を過ごした鳥取の地を離れ、Jリーグ合同トライアウトに臨む。
今後の人生が懸かったトライアウトの舞台は、フクアリ。1年前のゴールも思い出し、「『たぶんいいプレーができるんじゃないかな』っていうメンタリティ」を携えながら、“3度目”のピッチに全力を注ぎこむ覚悟だった奥山だが、開始してすぐ負傷に見舞われてしまう。思い出の地に苦い記憶を刻み込み、アピールもままならなかったトライアウトを経て、彼の元には当時東北社会人リーグに所属していたラインメール青森からのオファーが届いた。
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