[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:フィールド・オブ・ドリームス(ラインメール青森・奥山泰裕)
ゲキサカ / 2018年6月10日 9時18分
29分の失点で追い付かれたラインメールに、後半最初の決定機が到来したのは残り5分。左サイドで得たCKを太田が蹴ると、「週に1度セットプレーの練習があるんですけど、僕が最近はニアに入るようにしていて、凄く速いボールが来て、マークも外れていたので、本当にうまい感じで逸らせた」奥山のフリックは辛太漢に届いたが、頭に当たったボールは枠の左へ消えていく。するとしばしの休息を経て、突入した延長の前半5分。ピッチサイドの交替ボードに“10”の数字が浮かんだ。「足には結構キテましたけど、『まだできるぞ』というか、いつまでも続いてもいいくらいの感じだった」奥山の“4度目”は95分間で幕を閉じ、全員が年下の仲間たちへ想いは託される。
突き放され、追い付いた延長でも決着は付かず、2試合続けて挑んだPK戦。サドンデス方式までもつれ込んだ熱戦は、後攻だったラインメール7人目のキックがクロスバーに阻まれ、千葉の勝利でエンディングを迎えた。「フクアリでプレーすることは凄く特別な意味を持っていたので、最後までピッチに立っていたかった気持ちはありますけど、チームが頑張って一度追い付いてくれたので、そこは勇気をもらいました」と話した奥山。かつての“ホームスタジアム”で古巣に勝つという夢は、“5度目”以降へと持ち越された。
最近になって、気付いたことがある。「若い時はクロスも全然下手で上がらなかったのに、『30歳を超えると、そこまで練習しなくても良いボールが上がるな』とか、そういう楽しさもあります。『ボールに毎日触るだけで上手くなってるな』『昔はこういうこと、できなかったんだけどな』とか。逆に『スピードでちぎれなくなったな』というのもありますけど、『じゃあ、どうしようか』っていうのが凄く楽しいんです」。すべてはここまでサッカーを続けてきたからこそ。それはこの日の“4度目”にも、同じ言葉が当てはまる。
「いろいろな辛い経験があったからこそ、逆にまだサッカーをやれているんだなと。もっとそういう舞台に立ちたいし、『まだやり残したことがあるな』っていう強い気持ちがあるので、しがみついて頑張れているのかなという想いはあります。だから、今日も勝てなかったので、まだサッカーはやめられないなって感じですよね。また勝つ日までというか、Jリーグに戻って彼らと対戦できれば一番いいですけど、そこをまず目標にして頑張っていきたいなって思います」。
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