『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:遥かなる頂へと(松本山雅FC U-18)
ゲキサカ / 2019年8月15日 16時5分
「コミュニケーションは取ってますよ。選手よりガキにならないといけない時もあるし、とりあえず選手をイジりまくってます(笑)」と笑うのは、今年の1月からチームの指揮を託された西ヶ谷隆之。水戸ホーリーホックやSC相模原などJクラブでの監督経験も有する西ヶ谷だが、その前は母校の筑波大や明治大、中京大をはじめ、東京ヴェルディのアカデミーでも指導に当たっており、いわば育成からの叩き上げとも言えるキャリア。この年代でもきっちりと実績を残してきた指導者だ。
就任してから一貫して求めてきたのは、シンプルでいて、一番大事なこと。「スタンダードなプレーの原理原則もそうだし、基本をしっかり徹底させました。その中で“止める蹴る”が全然できないから、それは毎日やっていますね」。日常的に戦う長野県リーグだと、おろそかにしていても見逃されがちな部分にもフォーカスしつつ、ベースアップを図り続ける。
「県リーグより上のレベルはいつも目指しているし、プリンスとかプレミアを狙うなら『自分たちがボールを握っていて、相手にカウンターを食らいますとか、そんなんじゃないよ』というのはずっと伝えているから」。選手たちのサッカーに対する目線を引き上げていく一方で、より気になっていた部分の改善にも段階的に着手していく。それは一言で表現すると“人間力”。
「サッカーもそうだけど、普段から発信をする子供が少なくなってきている中で、人とコミュニケーションを取って、自分の特徴をどうやってチームの中で生かしていくかという部分で、サッカーノートを書かせて、毎週それに返事を書いてます。青春時代に戻ってますよ。“赤ペン先生”やって(笑) ちゃんと彼らの頭の中をしっかり覗く作業、考えていく作業をしていくことで、少しずつではあるけど変わってきている部分はあるんじゃないかな」。
チームでも数少ないU-12からの在籍組に当たる関島海斗は、新指揮官の影響を明確に感じていた。「西ヶ谷さんはサッカーの部分もそうですけど、私生活の部分を大事にしてらっしゃいますし、個人個人の責任感や発信する意欲とか、そういう所は変わってきたと思います」。10番を任される樋口大輝もグループの変化を口にする。「選手とのコミュニケーションを取ってくれる方なので、サッカー面でどうすればいいかを選手からも監督に聞くことでやりやすくなって、みんな生き生きプレーできるようになってきたと思います」。西ヶ谷流の“改革”が徐々にではあるものの、ジワジワと浸透し始めていることは間違いなさそうだ。
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