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人間はなぜ不合理な判断をしてしまうのか…投資で勝つために知っておくべき「プロスペクト理論」とは【資産1億円超えの兼業投資家が解説】<br />

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月4日 12時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

「得をする」よりも「損失を避けたい」ほうを優先してしまう、「今」ではなく「過去」の数字を見て売買の判断をしてしまう…。なぜ人は不合理な意思決定をしてしまうのでしょうか。本記事では、『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』(KADOKAWA)から、著者の〈なのなの氏〉が、行動経済学の側面から「負けない投資」をするためのコツを解説します。

人間の不合理な判断を説明する「プロスペクト理論」

プロスペクト理論は、不確実性下で意思決定を行う際における、認知バイアス(※)を取り入れた意思決定モデルに関する理論のことを言います。もう少し噛み砕くと、一見不合理な人間の意思決定を説明するための理論と言うことができます。

(※)物事の判断が、直感やこれまでの経験にもとづく先入観によって非合理的になる心理現象のこと。

「価値関数」…主観的な価値と客観的な価値の差には差がある

[図表1]はプロスペクト理論における価値関数を表したグラフです。このグラフは、人の感じる主観的な価値と客観的な価値の間には差があることを示しています。

次から、価値関数に基づくプロスペクト理論上の心理作用を3つ紹介したいと思います。

①損失回避性…人は「利益」より「損失」に敏感に反応する

損失回避性は、損失を避けようとする思考の習性のことを言います。

[図表1]を見ると、軸の交差点にある参照点(※)より左側の損失領域のグラフの傾きは、右側の利益領域のグラフ傾きよりも大きいものとなっています。

(※)ある物事の認識や評価をする際の基準となる点。

これは、例え同じ金額であったとしても、損失が出たときの悲しみは、利益が出たときの喜びよりも大きくなる、ということを示しています。投資家は大きな悲しみを伴う損失を回避するため、利益より損失に対して敏感に反応する傾向にあるのです。

②参照点依存性…現在ではなく「過去の高値」をベースに判断しがちである

参照点依存性は、価値を絶対的なものとしてではなく、相対的なものとして判断する心理作用のことを言います。

例えば、価値はほとんど変わらないにもかかわらず、

  • 商品A:定価1,500円で1,000円に値引きされて売られている
  • 商品B:定価1,000円で値引きされず売られている

場合、商品Bよりも商品Aの方がお得であると感じる人は多いかと思います。

商品Aは1,500円を基準として、商品Bは1,000円を基準として価格妥当性の判断がされるため、価値は変わらなくとも商品Aの方がお得であると感じることになるのです。

株式投資の場合だと、

「高値おぼえ、安値おぼえは損のもと」

という格言が参照点依存性に関する投資家の習性に注意を促しています。

例えば、過去の高値が参照点となっている場合、現在の株価が割高であったとしても、「今の株価は以前に比べて安い。待っていれば元の株価に戻るはず」と、投資家は継続保有を選択するかもしれません。結果として、損失が拡大する可能性や、他の有望銘柄への投資機会が失われる可能性が生じてきます。

過去の株価は参考価格に過ぎないと理解し、現在の株価に基づき割安・割高を判断して投資するよう心がけましょう。

③感応度逓減性…損失に対するダメージはだんだん鈍くなる

感応度逓減性(かんのうどていげんせい)は、利益(損失)の増加量と価値の増加(減少)量は比例関係になく、利益(損失)の増加量に対する価値の増加(減少)量は次第に小さくなっていくことを言います。

消費者の購買心理に感応度逓減性が生じる例として、家を購入するときが挙げられます。

例えば、施工価格5,000万円の家を買ったとします。

このとき、業者から「安全や健康を考えて、プラス5万円で浄水器を付けませんか?」と勧められると、普段スーパーで10円でも安いものを買おうとしている人でも、比較的簡単に浄水器の設置を決めてしまうことがあります。

家の購入として既に5,000万円もの大金を支出しており、5万円の支出に対して抵抗があまりなくなってしまっているのです。

株式投資においても、株価が買った翌日に1,000円から970円に下がったときの悲しみと、そのまま保有を続け、730円から700円に下がったときの悲しみには差が生じてきます。

一般的には、730円から700円に下がったときには感度が鈍くなってきているため、1,000円から970円に下がったときよりも悲しみは小さくなります。

投資時点のシナリオが崩れたときは感度が高いうちに損切りをするよう心がけ、気が付いたら含み損が膨らんでいた、ということにならないよう気を付けましょう。

「確率加重関数」…確率が低いのに過度に期待してしまう

確率加重関数は、客観的確率が低いときは過大評価をし、客観的確率が高いときは過小評価する傾向を表す関数のことを言います。確率加重関数のグラフを[図表2]に示します。

確率加重関数に従った行動例として、年末、宝くじ売り場に人が殺到する(※)ということが挙げられます。

(※)年末ジャンボ宝くじの売上は毎年1,000億円にものぼります。

年末ジャンボ宝くじで1等に当選する確率(2000万分の1)は、落雷が原因で死亡する確率(70万分の1)や麻雀で天和をあがる確率(33万分の1)に比べても極めて低いにもかかわらず、人々はもしかすると1等・前後賞合わせて10億円が当たるかもしれないと過度な期待をし、売り場に長蛇の列ができるのです。

また、確率加重関数において、利益が出るときと損失が出るときの人々の感じ方は以下のように異なる傾向にあります。

  • 利益が出るとき:低い確率に対してより過大な評価をし、高い確率を過小評価する
  • 損失が出るとき:低い確率に対する過大評価傾向は小さく、また、高い確率への過小評価傾向も小さい

不合理性の逆を行き「利食いは遅く」×「損切りは早く」

ここまで話をしてきたプロスペクト理論の主要な結論の一つとして、人々は利益が出ているときはリスク回避的(ローリスクローリターンを好む)となり、損失が出ているときはリスク愛好的(ハイリスクハイリターンを好む)となるというものがあります。

利益が出ているときは、早く利益確定して換金したいという気持ちが強く働き、損失が出ているときは、損失を確定するよりも、たとえリスクを冒してでも、参照点である買値まで株を持ち続けたがる傾向にあるというのです。

「利食いは遅く、損切りは早く」は、そのような人々の傾向と逆の行動を取るよう注意喚起をしている投資格言の一つと言えます。

自分の買値より上がったからさっさと売ってしまった、買値より下がっているけど意地でも保有を継続するなど、自分の買値を基準として感情に流された売買をしていては、利益の最大化を図ることは難しくなってしまいます。

安定した利益を出していくためにも、できる限り客観的な視点から利食い・損切りを行っていくことをお勧めします。

なのなの

サラリーマン兼業投資家

※本記事は『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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