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年金月6万円、80代母の「大丈夫」を信じた悲惨な末路…〈ワンオペ介護〉の壮絶。回避する方法は?

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月17日 11時45分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

介護で特に大きな負担となる「親の認知症」。自分の親は元気だし、認知症にはならないだろうと思っていませんか? しかしそれは、小さな異変を見逃しているだけかもしれません。本記事では、親が認知症にならないための予防策について、老人ホーム事業を営む株式会社ハピネスランズの代表であり老後資金アドバイザーの伊藤敬子氏が、チェックリストや具体的な予防方法とともに解説します。

「ワンオペ介護」は回避すべきだが…

介護には身体的な介助と、精神的な介護があります。では、実際のところどちらが大変なのでしょうか?

もしも親が認知症になってしまい、ひとり暮らしが難しくなったときのことを想像してみてください。親と同居し、介護を行うという選択をする人も多いでしょう。そうした親との同居、親への介護を自分ひとりで行うのは、非常に苦しいことです。

自分ひとりで行う介護を「ワンオペ介護」と呼びますが、ワンオペ介護が悲惨な結末にいたったことをニュースなどで見聞きしたことのある人もいるのではないでしょうか。介護する人にとって、認知症やうつ病などの精神的な介護は、特に大きな負担となるのです。

ワンオペ介護により、親と壮絶な時間を過ごすことになる人は少なくありません。介護から解放される時間がないのです。休日はもちろん休憩さえ取れなければ、心身ともに疲れ果てて介護する側の子供が体調を崩しても仕方ないでしょう。

以下のように考えている人は、楽観的すぎるかもしれません。

年金は月6万円、ひとりで暮らす母…80歳を過ぎたけど親は自由気ままが一番

子が親を気にかけすぎて、親の行動を制限してしまうのはよくないと考える人もいるでしょう。たとえば、80代の高齢両親について。父が先立ち、ひとりになった母が気が付くと認知症に。父が亡くなったことにより年金収入が減ってしまっていて、母は家計も困窮していた……。このようなケースは、女性のほうが平均寿命の長い日本ではよくあることです。

親の「大丈夫」を信じて、放っておいて年2回(盆暮れなど)だけしか帰らないのでは、認知症やうつ病などを発症する危険性があります。

老夫婦でも2人暮らしなら大丈夫

では、ひとり暮らしでなければ大丈夫かというと、そうではありません。老々介護の場合は生活が単調になりやすいため、脳への刺激が不十分になる可能性があります。ここでも、配偶者がワンオペ介護になる危険性があります。

子供と同居なら大丈夫

それならば、「子供と同居している親はさすがに大丈夫なのでは?」と考える人もいるでしょう。常に子供が親と一緒にいる状態ならば、十分な刺激のある生活を送れるかもしれません。しかしながら、そうした状況をつくることが本当にできるのでしょうか? 子供も日中は仕事があるなら、親はひとりという状態ではありませんか? 1日8時間以上ひとりならば、生活環境はひとり暮らしとあまり変わりません。

それに対して親子3世代で子育てしている世帯などには十分な刺激があるように見受けられます。結局、昔ながらの人間の営みには自助作用があり、我々は近年、単身世帯で暮らすようになったことにより、いろいろな問題が噴出しているのです。

「大丈夫」を信じた結果、認知症やうつ病などを発症した親を介護することになるかもしれません。ひとりっ子や独身というケースも多い現代においては、高齢となった両親の介護を1人で担う可能性も高いでしょう。きょうだいがいてもさまざまな事情により介護に携われないことも多く、1人に負担が集中してしまう、つまり「ワンオペ介護」になってしまうのです。

親の認知症は防げるか?

現代においてワンオペ介護になる可能性は、ひと昔前と比較し、高まっているでしょう。では、ワンオペ介護という状態に陥らないために、そもそも親が認知症を発症しないように、子供の立場からはなにができるのでしょうか? 

それは、親の生活を意図的に忙しく活動的にすることです。認知症予防には、

1.栄養

2.運動

3.コミュニケーション

が重要です。欧米では認知症患者が減ったのに、日本では認知症患者が増えているという事実をご存じでしょうか? 少し古いデータになりますが、2013年の国際的学術誌『Lancet』に、イギリスの75歳以上の高齢者に占める認知症の割合が、過去20年間で減少したというデータが発表されました。2016年の認知症対策・国際アルツフォーラムでは、米国のマサチューセッツ州で実施されている研究から、過去40年間にわたり、認知症の新規患者が減少していたと発表されました。

なぜなのでしょうか? 筆者は、日本人には「コミュニケーション」が圧倒的に足りていないため、と考えています。

現代日本の介護のプロである筆者にとって、人生で年金をもらい始めることができる60代~70代はもはや高齢者とはいえません。若者のように元気な人たちも多くいます。むしろ60代~70代は介護される側ではなく、日本の介護業界を支える側であるといっても過言ではないでしょう。

労働から解放され、お金と時間を両方手に入れた世代は自分の趣味に熱中したり、仲間を作ったり、旅行したり若者とさして変わらぬ生活ができます。怖いのは、そのあとの80代~90代にかけての期間です。

認知症予備軍チェックリスト:1問1点/10点

・病院などの予定を忘れてしまう。 ・新しいことにチャレンジするのが苦手になってきた。 ・料理が面倒になった。 ・買い置きなどの物が増えた(同じものをため込む)。 ・部屋が汚くなってきた。 ・お風呂に入るのも節約なのか、面倒なのか毎日でなくなった。 ・友達が減ってきた(親族や友人の死別も含む)。 ・ゴミが分別できなくなってきた。 ・飲む薬が1日5錠以上ある。 ・テレビを爆音で観てしまう。

あなたの親御さんは何点でしょう? このなかで3点以上のチェックが入ったら要注意です。

これが、ひとり暮らしや老夫婦2人暮らしがもう困難なほど「老化している=認知機能が低下している」サインといえます。では、親の認知症はどのように防げばいいのでしょうか? そもそも防ぐことは可能なのでしょうか?

回答としては、「ある程度の努力で防げる!」というのが筆者の考えです。筆者が考える「ある程度の努力」とは、親の生活を刺激的にスケジューリングすることです。

ただ、子供だけで親の生活を刺激的にするのは、非常に大きな苦労を伴うというのも事実です。

認知症とはいくつかの脳の病状の総称で、病名ではありません。いわば誰にでも起こり得る「老化」です。誰でもなることができる自然な現象なのです。怖いのは本人には病識がないので、周囲が苦しむということです。親が認知症になって困るのは、本人ではなく子供たちであるといえるわけです。

コミュニケーションをどう充足するか

「認知症にだけはなりたくない」と多くの方がいいます。

それならば、ひとり暮らしで1番足りなくなる「コミュニケーション」を最も簡単に充足してくれるのは、デイサービスやレクリエーションの多い有料老人ホームに入ることだと、筆者は考えます。

老人は少しずつ積み重なる生活の変化のなかで、友人や親族が減っていきます。そもそも年長者なのに、知らないことだらけのチャレンジを若者に交じってやっていくことは簡単ではないのです。

ひとりの力には限界があります。老人会やボランティアには、介護士がいません。仲間に入って活動しやすいように人間関係を取り持ってくれたり、同世代のコミュニケーションを円滑にしてもらったりできるデイサービスや老人ホームのレクリエーションが重要になります。

認知症対策でコミュニケーションが重要なワケ

コミュニケーションが、なぜ認知症対策として有効かというと、簡単にいえば「頭を使う」からです。そのため、デイサービスに行く以外に、仕事をリタイアせずに働き続けている人のほうが、たくさん頭を使う分、老化しにくいようです。

1人でできる脳にいい活動

・日記を書く ・家計簿をつける/生協を注文する ・クロスワードパズルを解く ・本を読む ・散歩などの運動や筋トレをする

さらに、これらのことを複数人と一緒に行うと、気を使ったり、相手の言葉を理解しようとしたり、もっと脳を使います。

複数の人とする脳にいい活動

・音楽や芸術を楽しむ ・ゲームをする(麻雀、囲碁、将棋、トランプ、オセロなど。これも対人間のほうが効果が高い) ・ゲーム形式で運動する ・会話しながら散歩する

究極的にいえば、地方でまだ残る大家族のように、親子3世代・4世代・多世代同居することも解決策でしょう。

しかし現代ではそれも難しいので、近年では若者同居との多世代のシェアハウスなども少しずつ企画されています。そのようなところへの引越しを検討されるのも解決策かもしれません。

伊藤 敬子

株式会社ハピネスランズ 代表

老後資金アドバイザー

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