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世帯年収550万円の地方在住30代夫婦、「月10万円」余裕があるが…夫の親との同居生活を「あと5年」我慢して続ける理由【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月9日 11時45分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

マイホームを検討する際、頭金ゼロですぐに購入する場合と、ある程度貯金をして頭金を用意する場合では、どちらのほうがメリットが大きいのでしょうか? 本記事ではFP1級の川淵ゆかり氏が、Aさん夫婦の事例とともにシミュレーションに基づき、頭金アリナシで住宅ローンの借入金を比較します。

頭金ゼロで購入するか? 頭金を貯めて購入するか?

地元で幼なじみの女性と結婚した35歳男性のAさんは、現在はAさんの両親と同居していますが、同じ敷地内に一戸建てを夫婦用に新築することを考えています。ふたりの世帯年収は約550万円です。

結婚のために貯蓄はほとんどなくなってしまいましたが、毎月10万円程度は住まい用に出せるため、すぐに建て始めるか、それとも頭金を5年ほど貯めたあとに建てるかで悩んで相談に来られた方です。

老後の生活が心配なAさんは、「借入金を少しでも減らすために、頭金を貯めてから家を建てよう」と言います。一方で、奥さんは「そんなに変わらないんじゃないの? いまの家をでられるなら早く出たいし。40歳でローンを組むよりも35歳で組んだほうがいいんじゃない?」と意見がわかれています。

頭金ゼロと頭金ありをシミュレーションで比較

Aさんが言うように、毎月10万円を住まいの費用として使えるのであれば、

・頭金ゼロですぐに毎月10万円返済の35年ローンで住まいを購入する。 ・毎月10万円を5年間貯蓄し、5年後に30年ローンで住まいを購入する。

といった方法が考えられます(いずれも完済年齢は70歳)。どのくらい差が出るのか、試算してみました。

(1)頭金ゼロですぐに毎月10万円返済の35年ローンで住まいを購入する場合 毎月10万円の返済だと、金利1.960%で約3,000万円を借りることができます。 3,000万円を35年ローンで借りた場合、毎月の返済額は9万8,764円、総返済額は約4,148万円となります。

※フラット35 2024年2月の最頻金利で算出

(2) 毎月10万円を5年間貯蓄し、5年後に30年ローンで住まいを購入する場合 毎月10万円を5年間貯蓄していくと、元金だけで600万円を作ることができます。 これを頭金とすれば、借入金額は600万円減らすことができ、2,400万円の借り入れに減らすことができます。 2,400万円を30年ローンで借りた場合、毎月の返済額は8万8,229円、総返済額は約3,176万円となります。

※フラット35(1)と同じ金利で算出

どちらもローン完済年齢は70歳ですが、(1)の頭金ゼロの場合は、利息分で1,100万円以上の支払いになるのに対し、(2)の頭金を貯めた場合は毎月の返済額を1万円以上も減らすことができ、利息分も700万円程度となり、400万円も違ってきます。

400万円も利息分が変わることを聞いて、奥さんはビックリします。「400万円は大きいね。その分を老後のための資金に回すことができるし。あと5年くらい我慢しようかしら」

なお、比較のために同じ金利で計算をしましたが、フラット35の場合、頭金を1割以上準備することで、金利を下げることができますので、さらに返済額を減らすことができます。こういった点からも、頭金を準備することはメリットがあります。

老後の負担をさらに減らす返済方法

さらに、この8万8,229円の返済額を当初予定の約10万円にすることで、返済期間を短縮することができますから、老後の負担を大きく減らすことができます。

(3) 毎月10万円を5年間貯蓄し、5年後に月の返済額10万円のローンで住まいを購入する場合 2,400万円を26年ローンで借りた場合、毎月の返済額は98,242円、総返済額は約3,065万円となります。

※フラット35(1)(2)と同じ金利で算出

返済期間を4年も短縮することができます。ローンの完済年齢を70歳から66歳に短縮することができるのはもちろん、収入がダウンする60代のローン残高も大きく違ってきます。

(1)の場合 60歳時点のローン残高:約1,075万円 65歳時点のローン残高:約564万円

(3)の場合 60歳時点のローン残高:約  667万円 65歳時点のローン残高:約117万円

これからの住まいの買い方

新型コロナ以降、家計の状況にも大きな変化がありました。収入が減ってしまう、場合によっては仕事がなくなってしまう人もいました。さらに電気代やガス代が上昇もあり、食料品の値上げも毎月のようにニュースになっています。金利の上昇もいつになるか、とささやかれるようになり、以前よりも先行きの不透明感は増している状況です。

ですから、5年後の住宅ローンの金利は誰にもわかりませんし、同じ3,000万円の予算でいまと同じような家を建てられる保証はありません。

しかし、よく計画も立てずに頭金ゼロであわてて住まいを購入してしまうのはリスクが大きすぎます。「いま、買ってしまって繰り上げ返済すればいい」という考えもありますが、住宅ローンを返済しながら繰り上げ返済の資金も併せて作っていく余裕のないご家庭もあります。繰り上げ返済することを前提に住宅ローンを組むことはリスクが高すぎます。

一番重要なのは、「めいっぱい借りないこと」です。「借りられる金額=返せる金額」ではありません。将来が見えにくい時代ですから、「背伸びして理想の住まいを入手する」のではなく、「身の丈にあった住まいを手に入れる」ことを考えて計画していきましょう。

Aさん夫妻は、「とりあえず、すぐに家を建てないで、2~3年は頭金を作っていくことに専念しようと思います。景気もどうなるかわからないので、状況を見ながら建てるタイミングや物件を決めてみようと思います」とのことでした。

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表

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