巧みな営業トークにご用心…銀行員が「外貨建て保険」を勧める本当の理由
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月11日 10時45分
銀行は顧客の口座にどれくらいのお金がいつ入金されたか、すべて把握しています。時にはこれを利用して、銀行の方から営業をかけてくることもあるのです。本記事では、ファイナンシャル・プランナーの横川由理氏の著書『知らなきゃ損! インフレってなに?』(自由国民社)から、外貨建て保険の勧誘をはじめ、銀行の営業において我々が注意すべき点について解説します。
登場人物
かあさん(横川由理) FPとして活躍する本書の著者。「正義の味方になる」「迷ったらやる」「専門用語を使わない」をモットーに、資産運用に悩む人たちにわかりやすくアドバイスを行う。桃太郎の育ての母。
猫の桃太郎(ももちゃん) 生まれたばかりで迷子になり、横川さんの息子の由比(ゆい)君に保護された♂猫。横川家に迎えられ、かあさんが哺乳瓶でミルクをあげてすくすくと育った。人間と話ができる不思議な能力を持つ。
銀行の「無料相談」につられてはいけないワケ
桃太郎:お金や投資について、銀行に相談してみようと思うんだけど。
かあさん:いいえ、銀行へ行ってはいけません!
桃太郎:え、なんで? お金のプロが無料で相談に乗ってくれるんだよ!
かあさん:ももちゃん「タダより高いものはない」って意味、わかる? 無償で何かをもらうと、お礼にお金がかかったり、頼まれごとを断りづらくなったりで、かえって高くつくということなの。
桃太郎:銀行には近づいちゃいけないんだね…。
かあさん:自分から銀行へ相談に行くこともあるでしょうけど、自分から行かなくとも営業されることもあるの。銀行は顧客の口座にどれくらいお金が入金されたか、全部わかるわよね。これを利用する。保険金や退職金の支払い、つまり大きな入金があったときね。そんなときはすかさず営業を仕掛けてくる。電話攻撃、手紙攻撃よ。しかも手書きで来るわ。手土産持って家まで押し掛けるケースもあるからね。
桃太郎:どうして?
かあさん:銀行が儲かる金融商品を売るために決まってるでしょ!
桃太郎:お客さんが儲かる金融商品じゃあないの?
かあさん:まさか! 今、NISA口座の獲得合戦が始まっているけど、NISA口座って銀行にとって全然儲からないわ。なぜ、獲得合戦をしているのかっていうと、NISA口座を突破口にして、ほかの金融商品を売るきっかけにしようと考えているのよ。
桃太郎:ええっ……(プルプル、桃太郎震える)。
銀行員が巧みに勧める「外貨建て保険」に要注意
かあさん:次に外貨建て保険のお話をするわ。外貨とは外国のお金のことよ。たとえば、アメリカなら米ドル。イギリスならポンドね。外貨建て保険は、米ドルなど外貨で運用する保険のことよ。銀行に資産運用の相談に行くでしょ。そうすると、こんなことをいわれるの。「お客様は資産が毎日変動して、一喜一憂する商品と、資産が着実に積み上がっていく商品ではどちらがお好みですか?」
桃太郎:そりゃあ、資産が着実に積み上がっていく商品だよね? 着実ってどういう意味だっけ?
かあさん:確実に増えていくという意味よ。ももは、銀行員がどの商品に誘導していたかわかる?
桃太郎:自分で選んだんだよ!
かあさん:ブッブー! この表現はふたつ目の商品に誘導しているわ。一喜一憂する商品は、投資信託のことで、着実に増えるのが外貨建て保険のこと。これは、「投資信託と外貨建ての保険のどちらがいいですか?」って聞いているのよ。このいい方、ずるいわよね。外貨建て保険に誘導しているのが私からは見え見えよ!
覚えておいて。一喜一憂するなんて不安をあおるときは、何かを売りつけようとするときなの。ところで、銀行はどうして、外貨建て保険を売りたいと思う?
桃太郎:お得な商品だから!
かあさん:「銀行にとってお得な商品」ね。銀行の本業は、私たちのお金を又貸しして利ザヤを儲けることなのよ。
桃太郎:そうなの?
かあさん:でも、日本は低金利だったから、利ザヤを儲けるといってもほんのわずかしか儲からないの。そこで、銀行は保険を売るというアルバイトを始めました。投資信託を売るアルバイトはずいぶん前からやっていたのだけどね。ももちゃん、アルバイトするなら時給が高いほうがいいでしょ?
桃太郎:もちろん!
かあさん:最近は購入時の手数料が無料の投資信託が増えてきたし、もともと購入時手数料は1%から3%くらいだったの。
そこで、銀行は保険を売ったほうが儲かると考えたのよ。外貨建て保険の手数料は7%くらいだから、100万円分の保険に入ると7万円が銀行の収入になるわ。投資信託だと同じ100万円を売っても、儲けは1万円から3万円。銀行は手数料の高い外貨建て保険を売りたい。で、さっきみたいに誘導してくる。
外貨建て保険には入ってはいけません。外貨建て保険に入るときと保険金をもらうときとの両方で両替手数料がかかるし、本当のアメリカの金利はもっと高いのに、外貨建て保険では低く提供されている。一見金利が高くても、実際はお得じゃないのよ。
それから、投資信託を勧めてくることもあるけど、銀行員が勧めてくる投資信託は、手数料が高いから気をつけてね。
横川由理 ファイナンシャル・プランナー
※本記事は『知らなきゃ損! インフレってなに?』(自由国民社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
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