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年金月16万円・80代夫を亡くした70代共働き妻、専業主婦に劣る遺族年金額を思わず二度見「なにかの間違いでは」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月12日 10時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

夫を亡くした妻の生活を支える「遺族年金」。しかし、長年働いてきた「共働きの妻」と家庭を守ってきた「専業主婦の妻」の場合には、納得できかねる差があるのをご存じだろうか。実情を見ていく。

パートナーと死別・おひとり様になるリスク、女性のほうが3倍高い

あらゆる世代が関心を寄せる「自分の年金の受取額」の問題。

「あまりに少なすぎる」

「こんな金額では生活が成り立たない」

といった声がしばしば聞かれるものの、この制度プラス自身の預貯金等で、現在の高齢者たちの多くは生活が成り立っている、という現実もある。

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によれば、厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給の老齢基礎年金を含めて老齢年金が14万4,982円。65歳以上の受給権者の平均年金月額は男性が16万7,388円、女性が10万9,165円となっている。

一方で、厚生労働省『令和4年 人口動態統計』によると、1年間に亡くなった人は156.6万人。そのうち男性は79.7万人で、結婚していた人は47.0万人。つまり1年間で「夫に先立たれた妻」が47万人になるということだ。

なお、亡くなった女性は76.8万人で、そのうち結婚していた人は16.4万人という統計から、パートナーと死に別れて「おひとり様」になるリスクは、女性の方が3倍高いことになる。

遺族年金「亡くなった夫の年金額の4分の3」といわれるが…

では、夫に先立たれた場合、妻の年金はどうなるのだろうか? よく耳にするのが、「亡くなった夫がもらっていた年金の4分の3を、遺族年金としてもらえる」という説明だ。

例として、80代の夫を亡くした70代の専業主婦の妻の遺族年金額を考えてみよう。

元サラリーマンの80代の夫は、平均的な年金額を受給し、かつ、国民年金を満額受給していたとする。

日本年金機構の説明によると、遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、「亡くなった方の年金の加入状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給される」とある。 亡くなった方の年金の納付状況・遺族年金を受け取る方の年齢・優先順位などの条件をすべて満たしている場合、遺族年金を受け取ることができるという。

まず「遺族基礎年金」だが、例に挙げた70代妻の場合、もらえない可能性が高い。遺族基礎年金がもらえるのは、「子」または「子をもつ配偶者」であり、ここでいう子は、18歳になった年度の3月31日までにある子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子だ。70代では、該当する子がいるとは考えにくいだろう。

そして「遺族厚生年金」だが、これを受けられる遺族は、配偶者、子ども、父母、孫、祖父母であり、優先順位もこの順番となっている。よって、80代で厚生年金を受け取っていた夫を亡くした女性は遺族厚生年金がもらえることがわかる。遺族厚生年金は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3を受け取れる。

これらの点を総合すると、「平均的な年金額の元サラリーマン夫」が亡くなった場合、国民年金=満額受給だとした場合、厚生年金部分は10万円ほど。その4分の3、およそ月7万5,000円が遺族年金としてもらえるということになる。

遺族年金額が少ない「共働き妻」、夫亡きあとの人生設計も綿密に

上記の説明を聞くと「たったそれだけ!?」と慌てる専業主婦妻も少なくない。

だが、安心してほしい。正確には、併給される国民年金を除いた厚生年金部分のおよそ4分の3であり、専業主婦の場合、自分がもらっている国民年金と遺族厚生年金をもらうことができる。本人が国民年金を満額受給しているなら、「国民年金6.8万円」+「遺族年金7.5万円」で、月額およそ14.3万円を受給できることになる。

注意が必要なのは、共働きだった妻のほうだ。

平均的な厚生年金額で、国民年金が満額受給だとすると「国民年金+厚生年金=10.9万円」+「遺族年金7.5万円」で、月額18.4万円がもらえると思ってしまうが、実際は違う。

遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合、老齢厚生年金は全額支給、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となる。女性の平均的な年金額だとすると、遺族厚生年金7.5万円のうち、女性の厚生年金部分である4.1万円は支給停止となり、その差額である3.4万円だけ遺族年金としてもらえることになる。

つまり、もらえる遺族年金額は、共働き妻のほうが専業主婦よりも少なくなるケースが多いのだ。さらに、遺族年金は非課税なのに対し、老齢年金は課税対象となる。そのため、65歳以上の場合、老齢年金が158万円以上であれば課税され、額面の85~90%の手取り額となる。

長年働いてきた妻は、思わず自身の支給額を二度見して、「なにかの間違いでは?」と口走ってしまうかもしれない。 

納得できないかもしれないが、共働きだった妻が、専業主婦の妻より年金額が少なくなるのは制度上の決まりであり、泣いても叫んでもどうしようもない。

共働き妻にとっては厳しい側面もあるが、人生100年時代、定年後も引き続き就労する人は増えている。この制度を見越したうえで、定年後の働き方や、老後資産の形成について、しっかりと検討する必要があるといえる。

[参考資料]

厚生労働省『令和4年 人口動態統計』

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

日本年金機構『遺族年金』

THE GOLO ONLINE 編集部

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