【行ってきた】本を読みながら夢の世界へ……。 新感覚ホステル「BOOK AND BED TOKYO」
&GP / 2015年11月15日 21時0分
【行ってきた】本を読みながら夢の世界へ……。 新感覚ホステル「BOOK AND BED TOKYO」
〝泊まれる本屋〟をコンセプトにしたホステルが11月5日、東京・池袋にオープンした。その名も『BOOK AND BED TOKYO(ブック アンド ベッド トウキョウ)』。本好きとしては非常に興味をそそられるネーミングだ。ありそうでなかったテーマを実現したこの宿泊施設に、さっそく予約を入れてみた!
■本棚の中にベッド!こりゃ楽しそうだぞ!
立地はJRの池袋駅西口から徒歩2分の雑居ビル。7階でエレベーターを降りると、映画のチケット販売所のような小窓だけのフロントがお目見え。
ベルを鳴らすと小窓が開き、中にはスタッフが
まずはそこで受付を済ませる。薄暗いし、狭いし、ちょっと怪しい雰囲気。鍵のナンバーが書かれたカードを受け取り、入り口のナンバーキーを押して中に入る。重いドアの先には洒落た本棚が設置されていて、ジャンルレスの本たちがズラリとお出迎え。ここで、一気にテンションがあがる!
思わずパノラマで撮ってみた!本だらけ!
壁面を本棚が覆う!
反対側を見ても、奥までずーっと本棚です
本は全部で1700冊。純文学、マンガ、写真集、絵本、英書など、まんべんなく取りそろえてあるため、老若男女問わずに楽しめる印象。
この絶妙なバランスの書籍は、渋谷にあるスタイリッシュな書店「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)」がセレクトしていると聞いて、妙に納得した。図書館のようにシーンと静まり返った空間ではなく、ほどよいBGMがかかっているのも読書欲をそそる。
はやる気持ちを抑え、まずは自分の寝る場所を確認しておこう。今回指定されたベッドは、本棚の中に設置されているBOOK SHELFタイプだった。これ以外に、ベッドだけが独立して並んでいるBUNKタイプがあり、両タイプ合わせて30床。
今回はBOOK SHELFタイプに宿泊。本棚の間に個室が。サイズはカプセルホテルくらい。入口はカーテンを閉じることができる
BOOK SHELFタイプは横にカーテンがついていて寝台列車のようなスタイル。BUNKタイプは縦長の寝床に潜り込む形でカプセルホテルのよう。
どちらもそれぞれに違った良さがある。シーツや枕カバーは自分でセッティングする。この辺はホステルの基本なので、初体験の人はビックリしないように。
2段ベッドが並ぶBUNKタイプ。プライベート感はこちらのほうが強い
部屋の中はコンパクト。照明がひとつ、ハンガー掛けふたつ
さて、ベッドメイキングをしていつでも寝られるセッティングをしたら、そこからはもう本読み放題の時間。好みの本を書棚からチョイスし、共有のロビースペースにある大きなソファでダラダラ、ゴロゴロ、くつろぎながら読めるのである。
そして、眠くなったらいつでも横になれるベッドも確保してある。もちろん、終電の心配もする必要はない。な、なんたる幸せ!
さっそく、ホットコーヒー(150円)を飲みながら、自分ではまず購入しないような『おじさん図鑑』や『和の庭 図案集』など幾冊かチョイスし、眺めてほのぼのしていたが、だんだん続きモノのマンガにシフトし、自分のベッドに持ち込んで寝転がって読むようになった。
ベッドにこもって読みふける……
カーテンを開けていると丸見えに思えるが、かがんだり、のぞきこまないと目線が合うことはない。気になる人はカーテンを閉めて
ミニマルなスペースで自分の世界に入り込むのは、この上なく落ち着く。まだ早い時間だというのに、読みながらいつの間にかウトウトと寝てしまっていた。そして、それはこのスペースの意図するところでもあった。
「本を読みながらいつに間にか〝寝落ち〟する幸せを体感して欲しいんです」そう語るのは、運営会社であるアールストアの広報・力丸聡さん。本を読むためでも寝るためでもなく、〝どのように眠りに落ちるのか〟を重視して、本とベッドを組み合わせたスペースを考えついたという。
設計を担当したサポーズデザインオフィスの谷尻 誠さん
設計を担当したのは、suppose design office(サポーズデザインオフィス)の谷尻誠さん、吉田愛さん、阿部隼さん。〝本に囲まれて眠るという新しい価値観〟を意識して設計を手がけたようだ。確かに、ここにはふかふかのベッドや低反発の枕などは一切ない。幸せな眠りに誘う役割は本が果たしてくれるからだ。
そして、もうひとつの幸せな眠りの代表格として挙げられる〝二度寝〟も、ここでは存分に楽しめる。寝落ちして目覚め、また本を手に取りまどろむ。なんとも贅沢なルーティンだ。シャワーは24時間いつでも使うことができるので、朝シャンするもよし、寝落ち前に浴びて寝る準備万端で読書に耽るもよし、両方もよし。
清潔なシャワー室が3つ、トレイが3つある
シャワー室の前には洗面
深夜になるにつれ、BGMの音量も照明も下がっていき、徐々に眠りに近づけるような配慮が感じられる。そして、朝になると窓から差し込む朝日のやわらかな光で、気持ちよく目覚められる。
自宅でも朝日は入るのだが、ここでは贅沢な時間の使い方をしたせいか、ちょっと特別なスッキリとした目覚めだった。室内にはフリーのWiFiが設置されているが、時にはインターネットからも離れ、テレビもないスペースでひたすら読書をするのも悪くない。
朝になれば明るい光が。朝食をとりながらチェックアウトまでゆっくりするのもいい
旅行者や海外からの観光客だけでなく、日々、仕事に追われて「もう寝なくちゃ」と強制的に1日を終了している人たちにも是非、利用してみてほしい。ここにいる間は神経をオフにして、好きなだけ読書と睡眠に浸ることで、都会のビルの中なのに、なぜかリフレッシュできる。
また、友人知人と一緒に利用して、互いの読んだ本を交換するような交流ができるのも、〝泊まれる本屋〟ならでは。宿泊せず昼間だけ利用することも可能なので、まずは気軽に立ち寄って、この空間を体感するところからはじめてみよう。
BOOK AND BED TOKYO
東京都豊島区西池袋1-17-7 ルミエールビル7階
http://bookandbedtokyo.com/
【宿泊】
時間/チェックイン 16:00 チェックアウト 11:00
料金/平日3500(COMPACT)、4500円(STANDARD)税抜、土日祝前日は変動あり
【デイタイム利用】
時間/13:00~19:00
料金/1500円(税抜)
席数/8席 (予約不可)
※ベッドは利用できません。
(取材・文/高橋さやか)
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