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堺雅人&麻生久美子、キャリア豊富な2人も吹き替えに苦労 カモ一家の家族愛・夫婦愛に感じた思いとは

クランクイン! / 2024年3月13日 7時0分

(左から)堺雅人、麻生久美子

 『ミニオンズ』『怪盗グルー』シリーズを手掛けたイルミネーションの最新作『FLY!/フライ!』で主人公となるカモ一家の両親の日本語吹き替えを担当した堺雅人と麻生久美子。作品中で抜群のコンビネーションを見せる2人に吹き替え収録時のエピソードや、演じたキャラクターに感じた思いなどを聞いた。

◆キャリア豊富な2人が感じる吹き替えの難しさとは?

 大ヒット作『ミニオンズ』『怪盗グルー』『SING/シング』『ペット』シリーズを生み出し、全世界累計興行収入13億ドル(約2000億円)超え、日本でも140億円突破の特大ヒットとなった『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を手掛けたイルミネーション。同アニメーション・スタジオが、『SING/シング』以来7年ぶりの完全オリジナルストーリーで贈る本作は、渡り鳥なのに1度も移動をしたことがないカモの一家の初めての大移動を描いた心温まる物語だ。

 堺が演じるマックは、神経質だけどピュアで、家族を思う気持ちは誰よりも強い父ガモ。そんなマックに寄り添う、明るく頼れる家族の要の母ガモ・パムを麻生が担当する。マックの方針で渡り鳥なのに一度も池から出たことのない一家だったが、ふとした出会いから大冒険へと繰り出すことになる。

――本作のオファーをお聞きになった時はどう思われましたか?

堺:台本を読む前にやります!と。「カモの役? やります!」と即答でした。だってカモの役ですよ? なかなかできないですからね。鴨南蛮も好きなんです(笑)。

麻生:食べるほうですか?(笑)

堺:まずカモ役ということに惹かれて、台本を読んでみると、すごくシンプルで王道なお話だと思ったんです。おとぎ話みたいでもあり、奇をてらうこともなく、本当にいい家族が頑張って冒険に出て、いろいろ大変な目にも遭って…という力強いお話だなと。その素晴らしさを損なうことのないように、現場に入って三間雅文監督のご指導をいただきながら演じていった感じです。

麻生:私はイルミネーションの作品には子育て中にすごく助けていただいたので、出演オファーは本当にうれしかったです。イルミネーションの最新作!しかもオリジナルで7年ぶりって一体どんな世界なんだろう?とワクワクして台本を開いたところ、堺さんもおっしゃったように、王道なストーリーが本当に良くって! 何度も観返したくなる作品ってやっぱり王道なものが多いじゃないですか。そこにすごく惹かれました。

でも、自分が演じさせていただくのがカモのお母さんということで、そういう観点から読んでみると、「どうしよう…。お話は面白いけれども、どうやって作っていこう?」と不安もありました。大作ですし「私で大丈夫かな?」と心配で…。本当にドキドキしながらずっと台本を読んでいました。

――麻生さんはこれまで声優として参加された作品も多いので、不安があったというのは驚きです。

麻生:日本の作品では声優経験は何作かありますが、吹き替えは2作目。こんなに出番やセリフが多い作品は初めてでした。

――キャリア豊富なお二人ですが、やはり吹き替えというのは、特別な難しさがありますか?

堺:僕は実写作品の吹き替えを担当したこともありますが、「この方はなぜこのような芝居をしたのだろう…?」と考え込んだこともありましたね。

麻生:そういう時は、気持ちは乗りますか?

堺:乗らないですね…。英語のトーンに合わせていくとしっくりこなかったり、乗り越えなきゃいけない演出のハードルがいっぱいあって。演出の方にはご迷惑をおかけしましたが、その時はすごく勉強になりました。

でも今回、三間監督から「キャラクターを肉体としてもっと想像してください」と言われたんです。マイクは普通自分の前にあるので、つい前に向かって話しちゃうんだけど、相手が後ろにいる時は意識を後ろに向けなきゃいけない。相手との距離感、その場に何人いて、誰に聞かせたくて誰に聞かせたくないのかなど、キャラクターの肉体を想像すればするほど、声っていうのは緻密になっていくと。「その通りです! すみませんでした!」って本当に勉強になりました。

そういえば、ダンおじさんを演じられた大ベテランの羽佐間道夫さんも「息と脈拍を、声を当てる俳優さんに合わせる」と、おっしゃっていました。前回の吹き替えのときは、俳優さんの肉体をちゃんとイメージできていなかったのかもしれません。三間監督とのお仕事は本当に楽しくて、ずっとやっていたい感じでした。

――麻生さんはいかがでしたか?

麻生:吹き替えですと、英語を話している映像に日本語のセリフを当てていくので、単純に口の動きを合わせるのも難しいですし、感情を乗せるというのも、英語だと言葉の順番が逆だったりするので難しいなと思うところもあったんです。でも、三間監督とお話している時に、実は向こうは(ボイスキャストが)演技をして、そこからアニメにしていると初めて知って! だからこんなに違うんだなと驚きました。そんなやり方あるの?って。

――俳優さんとしては、やはり演技を先にできたほうがやりやすいものですか?

堺:ものによりますね。その時のお芝居がしっかり設定が決まっているのであれば、そのほうがいいけれど、なんにもない中で芝居をしろって言われたら、たとえば本作ではカモがサギとしゃべるんですけど、身長差がはっきり分からないと芝居のやり方も分からない。シチュエーションがしっかり分からないと、この距離にいるそのサギっていうのが分からないですから。

三間さんは、オリジナルの音源に対しては厳しかったですね。これはマネしないでくださいと。僕が思ったのは、日本のアニメーションが培ってきた技術というか文化の蓄積は素晴らしいんだなと。ひょっとしたらオリジナルに勝てるとしたらそこなんだろうなと感じました。僕の本当の望みを言うと、世界中の人に、言葉は分からないまでも日本版の『FLY!/フライ!』の音、日本版の三間監督の音で聴くのが一番『FLY!/フライ!』だよねと思ってもらえたら。それが一番の僕の野望。

麻生:お~!!

堺:世界で一番いいものを作りたいっていう、三間さんの気持ちを感じましたし、技術的に追いついていないんだけど、なんとかそこに近づきたいと思うくらい素晴らしいものを監督は提示してくださいました。

◆堺による「マックのパムへの思い」解説に麻生も感心


――今回演じられたキャラクターについてはいかがでしたか?

麻生:私は新しいことをするのが大好きだし、やりたいことがたくさんあるタイプなんです。新しいことをいっぱい見てみたい、子どもたちにも新しいことをたくさんやらせてあげたいと思っていたりと、パムと似ているんですよね。私の場合いろんなことが続かないっていう問題が別にあるんですけど(笑)。

――(笑)。子どもたちや夫であるマックへの愛情を常に失わないパムも、そんなパムを大切に思うマックも、本当に素敵な家族でした。

堺:本作は愛の物語ですよね。なんでマックが“渡り”をしないのかと考えたら、パムのことが好きだったからだと思うんです。僕の解釈ですが。マックは繁殖期の、メスを惹きつけるためのオスガモの羽色をしているんです。天敵にも見つかりやすいのに、なんでこんな目立つ格好をしているのかといったら、パムのことを本当に好きで、この人を失いたくないからなんじゃないかなと。

カモは1回の繁殖期につき10羽くらい子どもが孵るそうなんですけど、マックとパムには、ダックスとグウェンという2羽しか残っていない。きっとパムは以前ほかの子どもを失ったことがあって、とても悲しんだと思うんだよね。そんな悲しむパムの顔をマックは見たくないから、子どもたちのことも危険から遠ざけて守りたいと思っているんじゃないかと。そう考えたら、物語がグッと僕の中でヒリヒリするものになったんですよね。だとしたら、そんな思いをしたパムが「冒険に出たい」と言った時に、マックはきっと「えー!」と思ったと思うんですよ。「いいの?」って。そうだったら素敵だなと思って。

麻生:堺さん、そこまで考えられていてすごいです…。

堺:カルガモの親子の行進とかいうけれど、あの子たちがみんな親ガモになったら大変なことになりますからね。結構犠牲になったり…。

麻生:いやだー。母ガモの声をやった身としては、これからニュースの見方が変わってしまうかも…。

でも、本当にマックやパムはいい家族ですよね。ずっと“渡り”をしてこなかったけど、一歩勇気を踏み出してみたからこそ見える景色や新しい世界がある。今までと同じようにずっと同じ場所にとどまっていたら、ここまでの家族の絆や子どもたちの成長にたどりつけなかったと思うんです。マックやパムの姿からは、そういう一歩を踏み出す勇気の大切さがよく分かるし、皆さんにもそう感じてもらえる映画になっているのではないかなと思います。

堺:僕はマック派なので、パムの考えに従います(笑)。マックが見たい景色というよりは、パムが見たい景色をパムの隣で一緒に見たいです。

麻生:(笑)。今回お話を聞いていて、堺さんはやっぱりいい旦那さんで、いいパパなんだなって思いました。

堺:何事も平穏が一番!(笑)

(取材・文:田中ハルマ 写真:松林満美)

 映画『FLY!/フライ!』は、3月15日公開。

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