米朝関係の行方 カギ握る米政府内主導権争い
Japan In-depth / 2018年6月14日 9時31分
島田洋一(福井県立大学教授)
「島田洋一の国際政治力」
【まとめ】
・6月12日米朝首脳会談の合意文書は曖昧かつ無原則。
・米対北朝鮮政策は政府内部の主導権争いの行方に掛かっている。
・北朝鮮体制転換目指すボルトン派と「平和共存」目指す国務省派が対立。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=40425でお読みください。】
6月12日の米朝首脳会談で、北朝鮮の暴虐な独裁者を立派な一国のリーダーであるかの如く遇し、曖昧かつ無原則な合意文書に署名したトランプ米大統領を、宮家邦彦氏が「交渉の達人ではなく、興行の達人だった」と評していた。うまい言い方だと思う。もっとも事態はまだ進行中である。制裁も解除されていない。
かねてボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が、繰り返し北朝鮮に騙される国務省の生え抜き外交エリートらを、ある興行師の「カモは毎分生まれる」(There’s a sucker born every minute.)という言葉を引いて批判してきた。
あれほど「従来の大統領と違って自分は騙されない」と豪語してきたトランプがなぜ危うい首脳間合意に踏み込んだのか。しかも今回はボルトンが補佐官として付いていたのである。
結局トランプが、国務省に取り込まれたポンペオ国務長官に仕切り役を委ねた結果という他ない。
▲ボルトン大統領補佐官 出典:flickr photo by Michael Vadon
▲写真 ポンペオ米国務長官 @シンガポール 2018年6月11日 出典:在日米国大使館
アメリカの対北朝鮮政策の行方は、北との対立点が何かということより、米政府内部の主導権争いの行方に掛かっている。単純化して言えば、北朝鮮の体制転換を目指すボルトン派と、妥協を重ねつつ「平和共存」を目指す国務省派のいずれにトランプ大統領が主導権を委ねるかである。
人権にもテロにも目をつぶったシンガポールにおけるトランプ外交に、野党民主党のみならず、共和党の有力議員からも強い疑問の声が上がっている。
例えば前回大統領選にも出たルビオ上院議員は、「金正恩の下での残虐行為に終局をもたらさないような『取引』は良い取引ではない」とトランプ式ディールをツイッターで批判している。
この記事に関連するニュース
-
焦点:「トランプ2.0」に備えよ、同盟各国が陰に陽に働きかけ
ロイター / 2024年4月25日 15時33分
-
「第2次トランプ政権も日本重視」=アジア外交の一貫性主張―前米国務次官補
時事通信 / 2024年4月21日 14時12分
-
岸田首相、ユーモアで成果強調 米副大統領ら主催の昼食会
共同通信 / 2024年4月12日 11時15分
-
米大統領補佐官が今週サウジ訪問、皇太子と会談へ
ロイター / 2024年4月2日 14時29分
-
米ネオコン外交の終わりと日本の矜持
ニューズウィーク日本版 / 2024年3月30日 14時30分
ランキング
-
1元モー娘、市井氏が議員辞職 参院、在職1日は最短
共同通信 / 2024年4月26日 10時48分
-
2「富士山を遮断」人気撮影スポットに幅20メートルの黒幕を町が設置へ 観光客の“マナー違反”に「最終手段をとらざるを得なかった」 観光客・住民から様々な声【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月26日 13時20分
-
3万博着工遅れで露見した日本の建築士の能力不足「世界を知らない」 一級建築士が証言
東スポWEB / 2024年4月25日 6時18分
-
4「子ども乗せてんのよ!」大炎上“爆走ママチャリ”の危険と“晒す側”にもある問題点
週刊女性PRIME / 2024年4月26日 6時0分
-
5那須2遺体、容疑者の車から血の付いたハンマー見つかる 高額報酬受領もほのめかす
産経ニュース / 2024年4月26日 17時49分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください