新聞よ、おごるなかれ!
Japan In-depth / 2018年9月5日 17時43分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・トランプ大統領は自分を非難する報道はフェイクニュースと断じ、主要新聞は大統領を叩き続ける。
・客観報道という米ジャーナリズムの原則は空疎となった。
・しかし「報道と主張を明確に区分する伝統的ジャーナリズムの基本へ回帰せよ」と強調する新聞も。
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新聞よ、おごるなかれ! ニュースメディアよ、おごるなかれ!
アメリカでのトランプ大統領とメディアとの戦いをみていると、ついこんな感想を抱いてしまう。私自身がもう半世紀も新聞記者として活動し、ニュースメディアの世界に身をおいてきたのに、おかしな感想かもしれない。だが新聞記者であるからこそ、感じてしまう思いだともいえそうだ。
私の疑問を簡単にいえば、新聞が民主的な選挙の結果、選ばれた政治指導者を選挙ではない方法で追い落とすことに全力をあげるといういまのアメリカでの現象への懐疑だともいえる。新聞というのはそんなにえらいのか、選挙の結果よりも自分たちの政治的な判断が正しいと断ずることは傲慢ではないのか。
もちろん新聞が政権のあり方を批判するのは正当な権利である。義務でもあろう。だがその政権の存在そのものをスタート時から完全否定するというのでは、いくらなんでも行き過ぎなのではないか。新聞に政権を決める実際の権利がないことは明白ではないのか。その権利を持つのは国民全体のはずではないのか。そんな疑問を禁じえない。
トランプ大統領が自分を非難するニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストといった大手新聞を「アメリカ国民の敵」とまで呼んで敵視することは、もうあまりに知られた現象である。こうした民主党系の新聞の報道はみなフェイクニュースと断じてしまう。この言動に行き過ぎがあることも否定できない。
写真)トランプ大統領
出典) Gage Skidmore
主要新聞の側も連日連夜、トランプ大統領の言葉や行動を叩き続ける。国民の多数派が支持する側面には光をあてず、もっぱら非だけに集中して拡大する。客観報道というジャーナリズムの原則はどうみても、空疎となってしまった。
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