南相馬市の妊婦内部被爆報告
Japan In-depth / 2019年7月25日 8時52分
上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)
【まとめ】
・南相馬市の妊婦からは検出感度以上のセシウムは検出されず。
・妊婦は食材選びに細心注意継続。風評解消は地道な発信要する。
・不安に怯える生活を送る妊婦たちに寄り添い続けた医師がいた。
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7月9日、英国医師会が発行する「BMJオープン誌」に「福島第一原発事故後の南相馬市の妊婦の放射性セシウムによる内部被曝と地元食材の消費行動」という論文が掲載された。著者は南相馬市立総合病院の山本佳奈医師たちだ。
この研究は福島第一原発事故の歴史の記録として、長く参照されるものになるだろう。本稿では、この研究の概要とその背景をご紹介したい。
▲写真 山本佳奈医師 出典:山本佳奈 facebook
南相馬市は福島第一原発の北14~38キロに位置する。原発事故で放出された放射性物質により広範な地域が汚染された。南相馬市は2011年7月から南相馬市立総合病院にて、ホールボディカウンター(WBC)を用いた内部被曝検査を開始した。この中に妊婦も含まれた。
この研究は2012年4月から16年2月までの間に内部被曝検査を受けた579人の妊婦の合計804回の検査を分析したものだ。受診者の年齢中央値は30歳(範囲16~43歳)である。
原発事故後、南相馬市では市立総合病院に加え、西潤マタニティクリニック、原町中央産婦人科医院が分娩を取り扱っていた。南相馬市では、どの医療機関にかかっていても、どこに居住していても、希望すれば無料で内部被曝検査を受けることが出来た。回数は妊娠初期(9~12週)に1回、および後期(36週頃)に1回だ。
▲写真 ホールボディカウンター 出典:ふくしま復興ステーション 復興情報ポータルサイト
この検査の際、食品の消費活動に関するアンケート調査も行われた。具体的には米、肉、魚、野菜/果物、きのこ、牛乳という6つの食品の入手方法について、以下の4つの選択肢から選んでもらった。
タイプ1 原産地(福島県内か県外か)に関する情報に基づきスーパーで購入する
タイプ2 原産地を気にせず、スーパーで購入する
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