NYで頻発アジア系への暴行
Japan In-depth / 2021年3月2日 11時0分
柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)
【まとめ】
・アジア系アメリカ人連盟、アジア人への暴行を止めさせようと集会を開いた。
・白昼、アジア系住民に対する暴行が頻発している。
・「模範的な移民」という印象からターゲットにされている側面も。
長年、ニューヨークで主に日本のテレビメディアの為の撮影をしているが、こんなにも当事者感をもって臨んだ取材もめずらしい。
先週末の取材は決して他人事ではない、個人の感情が混ざってしまう取材だった。
2月27日、AAF(Asian American Federation、アジア系アメリカ人連盟)という団体が、増え続けるアジア人への暴行を止めさせようと、マンハッタンの官庁街の広場で集会を開いた。目の前が連邦裁判所、横にはニューヨーク市警本部、裁判所の裏はチャイナタウン、という場所だ。
元々、この集会には個人的に撮影に行こうと思っていたのだが、直前になって在京テレビ局からの仕事として行くこととなったため、現場で取材したことの詳細はここでは書けないが、取材を終えてみると、仕事を超えた、自分の気持が大きくゆさぶられる結果の撮影となってしまった。
全米各地で、昨年来、アジア系の人間を狙った犯罪(ヘイトクライム)が多発している。ニューヨークでは特にその傾向が顕著で、殴られる、暴行されると言ったケースが続発している。
昨年秋には、ニューヨーク在住の日本人ミュージシャンが地下鉄で若者の集団に暴行され骨折などの重傷を負う事件も発生。報道によれば、改札口を集団が塞ぎ、通り過ぎようとしたところ押され「ぶつかった」と因縁をつけられたあげく、殴る蹴るの暴行を受けた、という。集団のうちの少なくとも一人は「チャイニーズ」という言葉を発しながら暴行に及んだと言われている。
現地の日本人が巻き込まれた、というおそろしい事件ではあったが、正直、その時はまだ「他人事」であった。
事件が起きた場所は自分の住む地域と環境も違うし、そこはそのような事件が起きやすい地域だったから起きた事件、と思った。
ただ、事件が起きたのがまだ明るい、9月の午後7時だったことが気になった。
かつてはニューヨークで事件に巻き込まれるのは「行ってはいけない場所に行ってはいけない時間に行く」からだ、とよく言われた。だが、この事件は少なくともそういう時間帯に起きてはいない。
以前は事件に巻き込まれる時間帯は、ほとんどが深夜だった。
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