米インテュイティブ・マシーンズ、世界初の民間企業による月面着陸に成功、計画は短縮の可能性(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月28日 10時55分
米国航空宇宙局(NASA)は2月22日、米宇宙開発企業のインテュイティブ・マシーンズ(テキサス州ヒューストン)の月着陸船「オデュッセウス」が月面着陸に成功したと発表した。民間企業としては世界初、米国にとっても、1972年のアポロ17号の月面着陸以来となる快挙となった。
今回の計画の「IM-1(Intuitive Machines-1)」は「オデュッセウス」と名付けた同社の月面着陸船「NOVA-C」を月の南極付近のクレーターに着陸させ、NASAの6つの実験器具やそのほかのペイロード(注1)を運用させることを目的としている。NASAによると、同機は2月29日までの運用が計画されている。
アルテミス計画(注2)の一部である今回の計画は、月面にNASAなどのペイロードを輸送する商業月面輸送サービス(CLPS)計画の一環として行われた。CLPSへの参加資格を与えられた14社のうち、同社とアストロボティック・テクノロジーの2社がCLPS計画の最初の2計画として選定されていた。アストロボティック・テクノロジーが失敗に終わったことで(2024年1月10日記事参照)、インテュイティブ・マシーンズが世界初の民間による月面着陸を達成したかたちとなった。
なお、同社は2回目の計画のIM-2を2024年内に実現したいと述べており(スペースニュース2023年11月14日)、IM-2では、月面探査車を開発している日系宇宙開発スタートアップのダイモンによる月面探査車「YAOKI(やおき)」が月面に輸送される予定だ。
月面への着陸はいまだ難しく、ピンポイント着陸を目指していた日本の小型月着陸実証機(SLIM)も、計画どおり目的地の100メートル内の着陸に成功したが、最終的に想定と異なる姿勢で静定している。
オデュッセウスも今回の着陸に際し、機体は安定して通信が可能となっているものの、計器の不具合により、予定より1.5キロ先に着陸し、横倒しになったと、2月26日にインテュイティブ・マシーンズが発表した。それに伴い、計画が想定より短い期間で終了する可能性があるとしている。
(注1)ロケットによって打ち上げる貨物のこと。
(注2)NASAがアポロ計画の後継として提案した複数の月面探査プログラムの総称で、将来的に有人火星探査を行う際の足がかりとして、月面に持続可能な基地の設立を目指している。有人月面着陸が2025年末に予定されていたが、2026年9月に延期が決まっている(2024年1月16日記事参照)。
(谷本皓哉)
(米国)
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