2023年のドイツの対中国貿易、輸出入ともに大幅減、中国への直接投資額は過去最高予測（ドイツ、中国、米国）

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ドイツ連邦統計局は2月14日、2023年の貿易に関する統計を発表した。同局のプレスリリースと統計によると、2023年の輸出は前年比2.0％減の1兆5,623億5,900万ユーロ、輸入は10.1％減の1兆3,527億9,800万ユーロ。貿易黒字は2,095億6,100万ユーロで、黒字額は輸入の大幅減により前年から1,209億6,100万ユーロ増となった。

品目別にみると、輸出は最大の輸出品目の乗用車（構成比10.5％）が前年比10.4％増と好調。機用品（航空機などで使用される貨物）、再輸入品（2.8％）の20.6％増も輸出額を押し上げたものの、その他医薬品（4.0％）の12.4％減、電力（0.4％）の66.3％減などが押し下げて前年から減少。輸入は機用品、再輸入品（6.0％）が34.4％増、乗用車（5.3％）が10.7％増だったが、原油・粗油（3.1％）の29.3％減、天然ガス（2.1％）の59.0％減、有機・無機化合物（1.6％）の44.9％減がマイナスに大きく寄与して大幅減となった。

国・地域別にみると、最大の貿易相手国は中国（輸出入金額の合計2,530億5,600万ユーロ）、次いで米国（2,523億5,000万ユーロ）。米国への輸出は1,579億4,400万ユーロ（前年比1.1％増）、輸入は944億600万ユーロ（1.1％増）と、輸出入ともに微増だったが、中国への輸出が973億2,000万ユーロ（8.8％減）、輸入が1,557億3,700万ユーロ（19.2％減）と、輸出入ともに大幅減だったため、米中の貿易額の差が縮まった。

中国との貿易関係を詳しくみると（添付資料表参照）、輸出は、最大の輸出品目の乗用車（構成比15.5％）の前年比22.4％減、自動車部品（8.6％）の10.2％減が輸出全体の落ち込みに大きく寄与した。無機元素・酸化物（0.8%）の52.8％減も響いた。

中国からの輸入は、自動データ処理機械（構成比8.7％）の前年比22.7％減、熱電子管・半導体（4.8％）の17.8％減、家具（1.8％）の30.2％減、有機・無機化合物（1.7％）の84.5％減、その他化学工業製品（0.5％）の67.5％減などが輸入全体を大きく押し下げた。これらの品目の減少に相殺されるかたちとなったが、その他電気機器（9.1％）の15.1％増と乗用車（2.5％）の2.6倍はプラスに寄与した。2023年にドイツが中国から輸入したバッテリー式の乗用車（注1）は前年比3.6倍で、中国から輸入した乗用車の83.3%を占めた（いずれも金額ベース）。

2023年の中国への直接投資は過去最高も、中心は収益の再投資

2023年の中国の対内直接投資額（国際収支ベース、フロー）は前年比81.7％減の330億ドルと大幅に減少したものの（2024年2月21日記事参照）、ドイツの主要経済研究所の1つのケルン経済研究所（IWケルン）は、ドイツから中国（香港を含む）への直接投資額は過去最高となると予測している。IWケルンは2月16日、ドイツから中国・香港への2023年の対外直接投資額は前年の114億ユーロ超から約5億ユーロ増加し、過去最高の119億ユーロの見込みとのレポートを発表（添付資料図参照）。2023年の対中投資額はドイツの対外直接投資総額の10.3％を占めるという。ただし、対中投資の内訳では、収益の再投資が150億ユーロで、再投資以外のその他の投資（注2）は30億ユーロのマイナス。また、同レポートは、2020年以降のドイツ企業の動向に関してドイツ連邦銀行の統計を分析すると、少数の大企業とその他大多数の中堅企業では対中投資の様相が異なるようで、一部の中堅企業は中国との関わりを減らす、または引き揚げていることを裏付ける調査結果もあるとした。

（注1）ドイツ連邦統計局が貿易統計で使用するWAコードの87038010。乗用車のコードWA8703は国連標準国際貿易分類（SITC）コード781に等しい。ドイツのWAコードはEUの合同関税品目分類表（CN）に基づくCNコードの番号と合致。CNコードの詳細はジェトロのEU関税制度のページを参照。

（注2）日本の国際収支関連統計の直接投資に関する統計で、株式資本（資本の拠出やM＆A、不動産取得など）と負債性資本（直接投資関係にある当事者間の資金貸借や、債券の取得処分）に該当するもの。

（二片すず）

（ドイツ、中国、米国）