「ヤリス」ベースのハイトワゴン登場か!? なぜ派生車を次々投入? トヨタが目論む戦略とは
くるまのニュース / 2020年11月5日 7時10分
2020年2月に登場したトヨタ「ヤリス」は好調な販売を記録しています。そして派生としてSUVの「ヤリスクロス」やスポーツ4WDの「GRヤリス」が登場していますが、これだけにとどまらず、ハイトワゴン投入の可能性もあるようです。なぜトヨタはたくさんの派生車を登場させるのでしょうか。
■ヤリスファミリーが今後も増加する!?
2020年2月にトヨタが「ヤリス」を発売したとき、筆者(渡辺陽一郎)は開発者から「新しいプラットフォームを開発して、ヤリスしか作らないということはないでしょう」という話を聞きました。
実際にヤリスが登場した後、2020年8月には同じプラットフォームを使ったSUVの「ヤリスクロス」、9月にはスポーツ4WDの「GRヤリス」が加わっています。
GRヤリスは専用の3ドアボディを採用して、プラットフォームの前側はヤリスと同じ「GA-B」ですが、後ろ側は「カローラ」などと共通の「GA-C」に強化されています。
開発者の言葉通り、ヤリスの発売から短期間でヤリスクロスとGRヤリスが投入されているのです。
ヤリスのようなコンパクトカーは、日本国内と海外の両市場で販売されますが、価格が安く薄利多売の商品です。
そのため軽自動車と同様に、共通のエンジンやプラットフォームを使いながら、複数の車種を開発して大量に売る必要があります。
そうなるとヤリスクロスとGRヤリスだけでは終わらないでしょう。次に考えられるのが、全高を1600mm以上に高めたハイトワゴンです。
ヤリスをベースにしたハイトワゴンは、以前トヨタが販売していた「ファンカーゴ」に相当するコンパクトなモデルで、ボディは「シエンタ」よりも小さく抑えることが予想されます。
「ルーミー」とシエンタの中間に位置する大きさで、全長は約4m。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は、シエンタを50mmほど上まわる2600mm前後まで伸ばされ、設計の古くなった「ポルテ/スペイド」の後継モデルに位置付けられるでしょう。
そうなると、空間効率が優れたトヨタの小型車は、価格がもっとも安いベーシックなルーミー、中間に位置するコンパクトで上質なヤリスベースのハイトワゴン、3列シートのシエンタという具合にラインナップを連続的にそろえられます。
ヤリスのプラットフォームは上質で素性も優れているため、車両重量の増加、高重心化、動力性能の向上にも対応しやすいです。そこでヤリスクロス、GRヤリスに続き、ハイトワゴンも手掛けるというわけです。
国内市場のニーズを考えると、ヤリスをベースにした5ナンバーサイズのセダンも開発して欲しいです。
継続生産型の「カローラアクシオ」が1か月に1000台から1400台ほど登録され、5ドアハッチバックの「カローラスポーツ」に近い台数を売っています。
現行カローラアクシオの主なユーザーは法人ですが、先代モデルであることから、今日のクルマとしては安全装備や走行安定性が見劣りします。そこでヤリスをベースに5ナンバーサイズのコンパクトセダンを開発すれば、この欠点を解消できます。
海外も含めたセダンの販売不振を考えると、ヤリスセダンの実現は客観的には難しいですが、投入されれば日本の市場では歓迎されるでしょう。
かつての「ヴィッツ」をベースに造られたセダンの「プラッツ」と「ベルタ」は、5ナンバーサイズのカローラセダンが現役で好調に売れていたから伸び悩みましたが、いまは状況が変わっています。
■カローラクロス追加でトヨタのSUV拡充へ
今後国内での登場が予想されるトヨタ車として、SUVの「カローラクロス」が挙げられます。
タイではすでに販売されており、ボディサイズは全長4460mm×全幅1825mm×全高1620mmです。
日本導入が期待されるトヨタ「カローラクロス」
ホイールベースは2640mmなので共通のプラットフォームを使う「C-HR」と同じで、ボディサイズもC-HRに近く、エンジンは1.8リッターガソリンと同ハイブリッドが用意されています。
トヨタのSUVにはさまざまなモデルがラインナップされており、コンパクトサイズでは、都会派のヤリスクロス、ワイルド系の「ライズ」、ミドルサイズでは、都会派のC-HR、ワイルド系のカローラクロスがあります。
ラージサイズでは、都会派の「ハリアー」、ワイルド系の「RAV4」、本格オフロードの「ランドクルーザープラド」、さらにはキングサイズのオフロード車として「ランドクルーザー」が存在しています。
カローラクロスは、ボディサイズなどの数値はC-HRと重複しますが、SUVは同じサイズでも複数の持ち味を表現できます。
とくにSUVは人気の高いカテゴリなので、都会的なヤリスクロスと野性味が伴うライズは、両車ともコンパクトなサイズが人気を集めて好調に売れています。多少の競争は生じても、好みに応じて選び分けられるのが魅力です。
そうなると都会的なC-HR、野性的でオーソドックスなSUVのカローラクロスも両立が可能です。C-HRの外観は5ドアクーペ風で、SUVとしてはボディサイズの割に後席と荷室が狭いため、むしろカローラクロスがミドルサイズSUVの主力になるといえるでしょう。
2.5リッターのハイブリッドを用意するラージサイズSUVには、すでにハリアーとRAV4が用意されています。従ってカローラクロスが登場すれば、各サイズに、都会派とワイルド系を用意できるわけです。
このように売れ筋のカテゴリに、基本部分を共通化した複数の車種を用意するのは、昔からトヨタの得意ワザでした。
セダンが好調に売れていた2000年頃には、コンパクトなプラッツやベルタ、ミドルサイズの「ビスタ」、「アルテッツァ」、「プログレ」、ラージサイズの「マークII」3姉妹車、「アリスト」、「ウィンダム」という具合に豊富にそろえていました。
このうちの数車種は、いまでは後継モデルがレクサスブランドで扱われていますが、売れ行きはトヨタブランド時代が多かったです。
売れ筋のコンパクトカーとSUVについては、今後もラインナップを充実させる余地があるでしょう。そして、そのうえで不人気車や姉妹車が廃止されることになります。
2020年5月以降、トヨタではすべての販売系列で全車を扱うようになりました。2020年9月には、「ヴェルファイア」の登録台数が「アルファード」のわずか12%まで落ち込むなど販売格差が拡大していますが、好調に売れる車種には弾みが付いています。
そしてそれまでは、たとえば「カムリ」から「クラウン」に上級化する場合、基本的には別の販売店で購入する必要がありましたが、いまは全店が全車を売るので販売店を変える面倒はありません。
同様にスペース重視の車種も、ルーミーからヤリスベースのハイトワゴン、シエンタを経て、ヴォクシーやアルファードという乗り替えも起こり得ます。
つまり今後のトヨタでは、ダウンサイジングというメーカーや販売会社にとってマイナスの流れを食い止め、上級モデルを提案しやすくなり、それも踏まえた上で、ヤリスのハイトワゴンやカローラクロスが設定されるのです。
かつてのカローラからコロナ、マークII、クラウンという上級移行は、トヨタ的な商法と揶揄されたこともありますが、ユーザーは自分のサクセスを愛車の乗り替えに反映させて喜びを実感することができました。
いつの時代でも、クルマは夢を持てる対象であって欲しいです。そこに向けたチャレンジは、まさにいまこそ必要とされているように思います。
これはトヨタに限った話ではありません。カーライフにはストーリーが大切で、その欠如が、昨今の販売不振の一因になっているのです。
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