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「ダメージ大」「でも読んじゃう」 人間の闇をリアルに描いた「鬱マンガ」3選

マグミクス / 2024年3月6日 20時10分

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■心して読まないと精神が擦り減っていく鬱マンガ

 エンタメ要素が強い作風と一線を画すいわゆる「鬱マンガ」には、「重い展開だけど先が気になる」中毒性があり、多くの人を惹きつけてます。今回は、人間の闇を深く描いたマンガ作品を振り返りましょう。

●『遺書、公開。』(作:陽東太郎)

 2017年から「月刊ガンガンJOKER」で連載されていた『遺書、公開。』は、灰嶺(かいれい)中学の2年D組を舞台に、「担任を含めたクラスメイト全員の序列を記した不審なメールが届く」「序列1位の姫山椿が校内で自殺」という不可解な出来事が起こり、クラスメイト同士で疑心暗鬼になっていくという学園ミステリー作品です。

 そして自殺した姫山の葬儀後、クラスメイトのみんなが教室に戻ると、各生徒の机の上には死んだはずの姫山からの遺書が置いてありました。一同は「死者からの手紙」に動揺を隠せないなか、「自殺した理由がわかるかもしれない」という理由で、各自の遺書を公開することになります。

 そこから生徒同士が遺書を書いた犯人を突き止めるために、怪しい人物を探したり、虚偽を報告していないか疑ったりと、お互いがお互いを信用できない状態になっていくのでした。全9巻で人間のダークな側面を描き切っており、鬱描写に加えて遺書によって新事実が少しずつ明らかになっていくのが見どころです。

 実際に読んだ人からは、「『姫山に何が起こったのか?』というただ一点だけの謎なのに、それが気になってしまって一気読みした」「スクールカーストというダーティな部分の題材による、ドス黒い人間模様がクセになる」などの絶賛の声が出ていました。

●『闇金ウシジマくん』(作:真鍋昌平)

 裏社会を通じて人の闇を描いたマンガ『闇金ウシジマくん』は、外せない作品でしょう。同作は、主人公の丑嶋馨が経営する闇金融「カウカウファイナンス」に訪れる客たちを通じて、社会の闇を描いたマンガです。

 フィクションでありながらリアリティを帯びた残虐描写、鬱展開が多く、ほとんどの債務者は報われない最後を迎えます。たとえば1巻の「若い女くん」編に登場する26歳のOLは、職場の女性たちの価値観と合わせるため、海外旅行やブランド物の費用を準備しようと、カウカウファイナンスを利用し、そこから「10日で5割」という暴利によって転落人生を歩むことになります。

 借金返済のため丑嶋の指示によって風俗で働き始め、それが会社にバレて退社して、最後は薬物中毒になって廃人に変わり果ててしまうのでした。「若い女くん」編のような精神的ダメージを受けるエピソードは確かに多いですが、なかには「フリーターくん」編のように借金返済のため、一生懸命働くという少し前向きになれるラストがあるのも同作の魅力でしょう。

 ちなみに、以前バラエティ番組『これ余談なんですけど・・・』に真鍋先生が出演された際、4巻から始まる「ギャル汚くん」編のラストの「全裸で木にしばりつけられる」という場面について、先生は「実際やったという話を聞いて…」と話していました。

 真鍋先生による取材を元に話が描かれているので、読み進めるほど「本当にフィクション?」と思ってしまうほどのリアルな怖さを味わえるのも、『ウシジマくん』の醍醐味なのではないでしょうか。

●『血の轍』(作:押見修造)

「毒親」をテーマにしたマンガ『血の轍』は、徐々に迫りくる「狂気」を味わえる鬱マンガです。

 同作は主人公で中学2年生の長部静一と、息子に対して過保護な母の静子の関係を描いたヒューマンドラマで、第5話までこれといって大きなトラブルや鬱展開は登場しません。しかし、静子が静一を愛する場面やふたりの会話はどことなく違和感があり、常に不穏な空気が漂っています。

 そして、第6話で物語は急変します。長部一家と親戚で山登りしていた際、静子が崖っぷちでふざけていた静一のいとこであるしげるを突き落とすのです。しげるは意識不明の重体となるも、静子は「バランスを崩して落ちた」と虚偽の証言をして、静一も事実を語りませんでした。

 ここから母による異常で狂気的な愛情が見え始め、話の内容もどんどん重くなっていくのです。読むだけでかなりのカロリーを消費するような重い展開の同作は、「毒親の本質を描いている貴重な一作」「この作品でしか味わえない種類の怖さがある」「疲れているときは絶対に読まない方がいい」と、さまざまな反響を呼んでいます。

(LUIS FIELD)

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