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平凡な子ほど"地元の個人塾"で化けるワケ

プレジデントオンライン / 2019年3月24日 11時15分

プレジデントFamilyムック『塾・習い事選び大百科 2019完全保存版』に収録の「全国の進学塾、補習塾を徹底比較」より。全国の主要塾の合格実績や規模などの塾選びに役立つデータが多数紹介されている。

「学歴」を左右するのは「塾歴」だ。塾に詳しい3人の専門家によれば「中学受験を考えているなら、大手塾の合格実績や授業のスピード、親の負担度などを確認して決めるといい。一方、地元密着の中小塾に通うなら、高校・大学受験を見据えて学びの楽しさに気づかせたり、小さな達成を積み重ねて自己肯定感を育てたりするといい」という。あなたの子供に合うのはどちらか――。

※本稿は、プレジデントFamilyムック『塾・習い事選び大百科 2019完全保存版』の記事再編集したものです。

▼塾選びの専門家

石田達人さん

子供の中学受験をきっかけに約10年間、塾の合格実績を独自調査。『塾ランキング』(首都圏版、関西・中四国版)の著者。自身のサイトで各中学校別の塾の合格実績を公開中。

西村則康さん

プロ家庭教師。名門指導会代表。塾の事情に詳しく「塾ソムリエ」としても活躍中。近著に『共働きだからできる中学受験必勝法!』がある。

おおたとしまささん

育児・教育ジャーナリスト。私立中学や中学受験の取材を数多くしてきた。『進学塾という選択』『親が後悔しない、子供に失敗させない中学受験塾の選び方』などの著作がある。

■「入塾テストで上位になれる塾」がおすすめな理由とは?

中学受験でまず遭遇する悩ましいことの一つが、進学塾の選び方だ。

「中学受験に詳しくないのであれば、とりあえず大手塾という選択はありだと思います」と言うのは、育児・教育ジャーナリストのおおたとしまささんだ。

どこもカリキュラムがしっかりしていて、受験動向などの情報にも強く、志望校ごとの合格ノウハウの蓄積もあるからだ。

「特に中学受験が初めてという親御さんにとっては、ファミレスのような、全部揃っているという安心感があると思います」

一方、志望校がある程度決まっているなら、その志望校に強い塾を選ぶのが基本というのは、長年にわたって主要塾の合格実績を分析してきた、中学受験カウンセラーの石田達人さんだ。

「おすすめするのは、『その学校に多くの合格者を出している上位三つの塾』を見ること。3塾の合格者を合計すると、おそらく合格者全体の半分ぐらいを占めるはずです。その中で、必ずしも1位にこだわる必要はなく、三つの中から子供のタイプに合いそうな塾を選べばいいと思います」

トップ3に入るぐらい多くの合格者を出している塾なら、その志望校への対策はできているだろうし、指導のノウハウもあるはずだからだ。

「それに、同じ志望校を目指す仲間がたくさんいるほうが、頑張る励みになります」(石田さん)

■宿題やプリントの管理と、親の負担が大きい塾には注意

もう一つ重要なのは、親のサポートがどのくらい必要かということだ。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/woraput)

「特に首都圏の塾は、学習習慣付けやプリント、宿題の管理は各家庭で、というスタンスをとるところがほとんどです。共働きなどで時間に余裕がないご家庭には負担が大きい塾があることも知っていてください」

首都圏と関西で指導経験がある「塾ソムリエ」の西村則康さんは言う。志望校がはっきり決まっていない場合は、どうすればいいのか。

「それなら、入塾時点の学力に合わせて塾を選ぶのがおすすめです。いくつかの塾で入塾テストを受け上位で受かった塾を選ぶのです」と西村さんはアドバイスする。

入塾テストの成績は、塾のクラス決めだけでなく、入塾後の授業についていけるかに関わってくる。各進学塾でテキストの難易度や授業のスピードは違い、基本的にその塾の上位クラスに合わせている。子供の学力レベルとのミスマッチが大きすぎれば、結局は学力を伸ばせない。

「どこの塾でもそうですが、最下位クラスの子はおそらく授業のうちの10%もわかっていません。それよりは、塾をかえてその子に合った指導を受けたほうが、成績は上がります」(西村さん)

入った塾がどうしても合わない場合は塾をかえる転塾、あるいは同じ塾の中で別の校舎にする「転校舎」を考えることになる。

■大手塾は「校舎」によって良しあし(実績差)がある

校舎が複数ある大手塾の場合、「校舎選び」という観点もあるとおおたさんは言う。

「塾全体の合格実績だけでなく、校舎ごとの実績も確かめましょう。うまくいっている校舎には、力のある校舎長がいます。逆に校舎長がころころ代わっている校舎は、少し気をつけたほうがいいかもしれません」

通塾距離も気になるポイントだが、「電車で1時間というのは非現実的でも、30分程度なら通ってしまったほうが、あとで振り返ったときに悔いが残らないと思います」(おおたさん)。

■中学受験はしないが、学力を身につけさせるための補習塾選び

一方、必ずしも中学受験を考えているわけではないけれど、後々の高校や大学の受験を見据えて、小学生のうちに塾に通わせたい――そう考える家庭もあるだろう。そんな家庭へのアドバイスをおおたとしまささんにうかがった。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Milatas)

まずは塾に行く目的を親が明確にすることが大事だと言う。

「中学受験はしないけれど塾には通わせたいなら、学校の成績を上げることやテストの点にあまりとらわれないほうがいいですね」

中学受験をすることを前提にした場合、塾通いの目的とは「受験本番の日までに志望校に合格できるだけの学力をつけること」になる。明確な締め切りが決まっているため、塾が決めた学習のペースについていけるかが重要で、子供本人はしばしば勉強を「させられている」という受け身の態度になりがちだ。

「もし受験と関係なく塾に通わせるのであれば、学びの楽しさに気づかせたり、そこで小さな達成を積み重ねて自己肯定感を育てていったりといった土台づくりを、子供に合わせたペースで行えます。子育てとして長期的に考えて、小6の終わりの時点で到達する学力は高くないかもしれないけれど、学習習慣をつけることを主眼とするのがいいと思います」

■話がかみ合わない営業トークの塾はやめるべき

では実際に、塾を選ぶ際は何がポイントになるか。地域に密着した中小塾が対象になるだろう。

「まずは塾長や塾の責任者と話をしてみて、きちんとコミュニケーションが取れるかを確かめましょう」とおおたさん。

ここで大事なのは、親の気持ちに寄り添いながら、こちらの問いかけにきちんと答えてくれるかどうかだ。

「100パーセントこちらが望んだ答えでなくても、親が気にしていることをきちんと受け止めて、こういう方向で一緒に頑張っていきませんかといった回答をしてくれれば安心です。一人一人の状況に合わせて対応してくれるのが、中小の塾の一番の良さ。それが期待できないなら大手塾のほうがいいです。逆に政治家の答弁みたいに一方的だったり、営業トーク的だったり、話がかみ合わなかったりする場合は要注意です」

教室をどんどん新規開校したり、生徒数を増やしたりと、やたらと拡大路線の塾も要注意だ。もう一つ確かめたいのは、塾長や講師の人間性が魅力的かどうか。

「先生が子供のロールモデルになるかどうかです。『こんな大人が世の中にはいるんだ』と、子供が素直に憧れるような人がいいですね。そういう人がそばにいると、子供はすごく力を出します。学校の先生や親とは違うタイプのユニークさがある先生がいる塾がいいでしょう」

親とも学校の先生とも違う「第三の大人」としての役割を期待する、というわけだ。

■中小の塾の中には中学受験コースがある場合も

中小の塾の中には、補習コースと、中学受験コースの両方を持っている塾もある。子供の希望によっては中学受験をするという選択肢もある場合は、その塾が使っているテキストに注目してみよう。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Milatas)

「栄光ゼミナールが使用している『中学受験新演習シリーズ』は他の塾でも取り入れられておりいい教材です。四谷大塚の『予習シリーズ』は難関校向けです。このどちらかを取り入れているなら安心です。オリジナル教材を開発するのは非常に手間がかかりますから、教材は評価の高い大手のものを取り入れて、子供の学習レベルに合わせた指導に注力してくれる塾がいいでしょう」

中学受験をしない場合でも、家庭で中学受験の基礎問題レベルの勉強をすることをおおたさんはすすめる。高校受験をはじめ後々の学びの基礎にもなるからだ。

「中学受験の基礎問題レベルぐらいは、受験をしない小学生でも勉強しておくべき内容だと思います。小学校の高学年で習う割合、公約数・公倍数、速さなどの概念は、中学以降数学だけでなく広く用いるので、使いこなせるようになっておくべきだし、国語の文章を論理的に読み解く訓練を小学生のうちにしておかないと教科書すら読めなくなってしまいかねません」

■【地元の中小塾この3つのポイントは必ず確認しよう】

1.塾長に子供の学習の悩みや気になることを話してみて、親身に話を聞いてくれるか
2.先生が子供のロールモデルになりそうか
3.営業に熱心すぎたり、教室数を増やしたりなど、塾の規模を急拡大しようとしていないか

(雑誌エディター/ライター 川口 昌人 写真=iStock.com)

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