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在宅ワークの人必見! 「捨てない片づけ」の魔法

プレジデントオンライン / 2020年5月17日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages

必要ない物はどんどん捨てていく、いわゆる“断捨離”が流行中。しかし「捨てようと思っても、捨てるものがない」と途方に暮れる人も。今回は、物への愛情が深く、ついつい溜め込んでしまう人を救う、新時代の片づけ方を紹介する。

■捨てなくても片づけはできる

現代における片づけは「捨てる」ことが大前提となっています。みんながみんな物を捨てて、ミニマリストにならなければならないのでしょうか。

否、私はそうではないと思います。

もちろん、ゴミや使わない紙袋などが部屋を占拠している場合は、捨てたほうがいいですが、本やコレクション品など、愛着のある物まで手放す必要はありません。むしろ残しておいたほうが精神衛生上いいでしょう。

それらはたとえばクリエーティブな発想が必要となる職業の人にとっては、アイデアを想起させる物、愛すべき物のはず。一辺倒に「邪魔な物」として処分することは、必ずしも正しいとはいえません。

「どうしても捨てられない」「捨てたくない物がある」という人のために、私は「捨てない片づけ」を提唱しています。1度にすべてを処分するのではなく、いったん使用頻度ごとに分けるやり方です。

よく使う物を自分の近くに、あまり使わないものをそれより遠くに、使わないけれど記念にとっておきたい物は箱に詰めて収納していきます。

その場で取捨選択できない場合は、パソコンのメールやデータのアーカイブ機能と同じように、収納箱へ一時保管をする習慣をつければ、使うか使わないかわからない物に囲まれた不便な生活とはオサラバできます。物理的な片づけはできなくても、データやメールの整理はできるビジネスパーソンは一定数いらっしゃいます。物に対しても「アーカイブ」することで、「捨てない片づけ」が可能になります。

■整理の軸は「1週間」で考える

さっそく、デスクの片づけ法を伝授いたしましょう。

まず、デスクを何もない状態にするか、作業スペースを確保するところから始めましょう。

次に、片づける物をジャンル分けします。このとき、収納グッズを増やすことはやめてください。物がいっこうに減らず、今後も増えていく一方です。

限られたスペース内でいかに整理するかと考えたほうが、「捨てない、でも、片づく」が実現しやすくなります。

デスクの整理は、まずは文房具から着手。文房具をすべてデスクの上に出しましょう。そして、ここ1週間で毎日使う物、たまに使う物、滅多に使わない物、使わない物に頻度分けします。

毎日使う物はペン立てや引き出しの上段に入れ、いつでも使える距離に置きます。貰い物の筆記具や替え芯など使用頻度が低い物は、チャック付きポリ袋に入れてしまっておきます。

ホチキス、ハサミ、クリアファイル、クリップなど、たまにしか使わない物は、引き出し上段の奥や2段目といった、すぐには目につかない場所へしまいます。この「すぐ目につかない場所」というのが、実は仕事の効率を左右する重要なポイントになります。

人は視覚に捉えた物を、脳内で無意識に記憶保存する習性があるのをご存じでしょうか。不要な物が常に視野に入っていると、それだけで脳の仕事が増え、気が散り、集中力が下がります。そういう意味でも、デスク上は極力必要な物だけを置いたほうがいいでしょう。

また、ホチキス、ハサミ、クリアファイルなどは、各自が1つずつ所有する必要はなく、シェアして使える物です。部署の予算で購入して共有棚に置き皆で使うようにすれば、整理面でもコスパ面でもメリットになります。たとえばクリップは、そのほとんどがコピーした紙をまとめるときに使用しますよね。個人のデスクに置かず、コピー機のそばに置いたほうが効率的です。

このように「自分のテリトリー内にすべての物を納めようとしないこと」が、使い勝手良く、作業効率アップにもつながる片づけのもう1つのポイントです。

オフィスのデスクは本来、誰もが使いやすいように設計されています。テーブル面の高さ、引き出しの深さ、奥行き、どれも緻密な計算のうえに決められているものなんです。足元に収納ボックスを置いたり、デスクを改造することは、最高に使いやすい状態をわざわざ崩していることと同じです。

今ある状態のなかでベストの整理を行うほうが、デスクをより上手に使いこなせます。そして作業効率アップにもつながるのです。

文房具のうち、ここ1週間で使う可能性がない物は、箱に詰めて棚や倉庫へ保管しましょう。

「1週間」という区切りにも大きな意味があります。本来なら毎日整理するのが理想ですが、そもそも片づけが苦手なのに毎日やるのは苦痛ですよね。かといって、月に1度だと期間があきすぎて、その間に散らかってしまいます。

程良いタイミングとして、1週間がベストなのです。

毎週同じ曜日にしておくとルーティンにしやすいですよ。私は金曜日に設定し、1週間の業務の締めくくりとして、デスクをキレイにしてから帰ります。こうすると、翌週も気持ちよくスタートできます。

月曜日から木曜日の間も、終業時はデスク上に何も置かれていない状態にしてから帰ることが理想です。文房具も本も、コップも引き出しにしまう。そして翌朝、出勤したら引き出しから取り出すように習慣づけると、わざわざ片づけの時間を別に設けなくとも、毎日キレイな状態にしておくことが可能です。

■今週中にその本読むの?

文房具の整理が終わったら次は本の整理です。基本的には文房具と同じ手順です。

毎日読んだり資料にしたりするマスト本と、資料的要素はあるけれど時々しか開かない参照本、滅多に開かないけれど保管しておきたい記録本に分けます。マスト本はデスクの上、参照本は引き出しや棚にアーカイブするか、共有棚に置いて部署の皆で読めるようにしておきます。

本や雑誌の一部だけが必要な場合は、そこだけ撮影して画像データとして保存し、読まない部分は思い切って処分を。こうすれば、デスクに本が積み上がることは少なくなるでしょう。

また、分厚い本や難しい辞書などがデスクに積まれていると、視界に入り気が散ってしまいます。作業に集中したいときは積み上げないほうがいいでしょう。いわゆる積ん読は、5冊くらいならOKですが、それを超えると「まだ読めていない」というストレス、人によっては恐怖を感じますので、注意が必要です。

デスクでは本を読まないのに本を置く人がいますが、未読の本は読む期限を決めて、読まないなら片づけましょう。電車の中で本を読む人なら、カバンの中に入れておくのがおすすめです。

記録のための本は、基本的には開きません。箱に入れて棚や倉庫で保管しましょう。

最近では、収納サブスクというサービスも登場しています。その1つ、安価で物を預かってくれる「サマリーポケット」は、預けた荷物を画像データで管理可能。何を預けたかがすぐわかり、欲しいときに取り出すことができるので便利です。トランクルームを借りるまでもないという荷物量なら、こういったサービスを検討するのもいいでしょう。

■「他人と共有」も整理術の1つ

文房具、本が終わったら、最後に書類を片づけます。書類はもっとも仕分けが難しく量も多いです。文房具や本で要領を得てきた後に片づけることをおすすめしています。

デスクの片づけ
PIXTA=写真

書類も本同様に整理をしていきましょう。その日に必要なマスト書類、1週間中に必要な参照書類、使う予定はないけれど保管しておきたい記録書類に分けましょう。

処分するか否か迷うものは、段ボール箱等で1週間限定のアーカイブ置き場をつくりましょう。そこへまとめておくと便利です。そして翌週、改めて検討するのを忘れずに。本と同じく、一部分だけが必要な書類は、そこだけ画像データにして保存を。場所を取らずに済みます。

データ化できる書類は可能な限りデータ化すると、リモートワークしやすい環境づくりにもつながります。「自分の職種はリモートワークに向かない」と思っていても、必要な物をデータ化してみると意外にできるかもしれません。

併せて、部署内の片づけが苦手な人には、重要な書類を預けないようにしましょう。必要な書類が紙の山に埋もれ、探すのに時間を要す恐れが。それよりも、共有スペースに置くようにし、誰もがチェックできる状態に整えたほうが効率的です。

自分自身が片づけられないタイプであれば、片づけが得意な人と物を共有するのをおすすめします。いっそ預けてしまったりしたほうが、いつもスッキリとした状態を保ちやすくなりますよ。

■すっきりデスクで仕事の効率アップ

以上、説明した「ジャンル分け片づけ」は短時間にとどめておきましょう。物に愛着がある方でも、1日3時間が限度です。片づけが苦手な方は、一気にやるよりも、30分とか1時間でもいいので、ちょこまかやるほうが楽かもしれません。

これから新しいものを買い足すときは、目についたものを買う“サプライファースト”ではなく、必要な物を買う“ディマンドファースト”にします。新商品や好きなデザインが出たから買うのではなく、いま必要か否かを考えること。それが常にキレイなデスク環境をつくるコツでもあります。

この場合も、個々人で所有する必要があるものか、部署等でシェアして使えるものかを見極めて。シェアできるものは部署単位で購入したほうが、整理面でもコスト面でもパフォーマンスは上がります。

デスクをキレイにしておくことは、さまざまなメリットをもたらします。

まず、忘れ物が減ります。先ほども述べたように、デスク上に物が少ないと、無駄な情報を無意識に記憶することがなくなり、必要な情報だけをしっかり脳に記憶させることができます。

書類や未読の書籍などであふれていると、それらに関するタスクを常に潜在意識が記憶し続けなければならず、本当に必要な情報を記憶するスペースが減ってしまいます。片づけは、脳をマルチタスクからシングルタスクにし、記憶領域を広げることができるのです。

無駄な情報を記憶する必要がなくなると、気も散らなくなります。気が散らなくなれば自ずと集中力がアップし、ダラダラと残業しないようになります。

また、デスクがキレイな状態であれば、コーヒーブレークのたびにわざわざ外へ出なくても、デスクでもじゅうぶんにくつろげます。移動時間のロスを防げますね。

ジャンル分け片づけ

■整理ベタはダメ人間じゃない!

繰り返しになりますが、愛すべき物は無理して捨てる必要はありません。手元にあるほうが落ち着くのなら、どうぞ置いてください。ワクワクする物が目の前にある場合は、脳もポジティブに記憶します。自分の好きなものばかりに囲まれた雑貨店をつくるイメージです。

反対に、ストレスを感じるものは積極的に片づけを。無駄な記憶をしなくて済み、良質な記憶ができるようになります。

片づけられないと「だらしない性格」の烙印を押されてしまいがちですが、私はそうは思いません。物への愛着から手放せないだけの、愛情深い人ともいえるでしょう。

愛着ある物をいかに上手に整理するか、その方法と置けるスペースを知り、日々のルーティンにできれば、誰でも捨てずに片づけられるようになります。

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米田 まりな(こめだ・まりな)
整理収納アドバイザー1級。東京大学卒業後、住友商事に入社。現在はスマホ収納サービス「サマリーポケット」を運営するサマリー社に出向。著書に『モノが多い 部屋が狭い 時間がない でも、捨てられない人の捨てない片づけ』。

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(米田 まりな 構成=力武亜矢)

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