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「今年の夏休みは危険」子供をダメにする"在宅ワーク親"の口ぐせ

プレジデントオンライン / 2021年7月12日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

小学生の夏休みが近づいている。子供が意欲を持って勉強できるようにするには、どうすればいいのか。プロ家庭教師集団名門指導会の西村則康さんは「親がリモートワークで家にいる場合が心配だ。親と子が一緒に過ごす時間が長いと、うまくいかなくなるケースがある」と指摘する――。

■「親のリモートワーク」に抱く不安

コロナ2度目の夏がやって来た。昨年は、一学期のコロナ休校のしわ寄せで夏休みが短くなり、中学受験生は学校の授業を受けた後に、塾の夏期講習を受けるといった非常にハードな夏になった。コロナ初年度ということもあり、親も子も不安な夏を過ごしたに違いない。しかし今年は、休校の影響もなく、いつもの夏休みになる。

変化があるといえば、親の働き方だ。コロナ禍で東京オリンピック・パラリンピックが開催されることになり、多くの企業はリモートワークを推奨している。今は出勤しているけれど、開催期間だけリモートワークになる人もいるだろう。日ごろ、共働きで十分な受験サポートをしてあげられない親は、「お昼ごはんの心配もしなくていいし、家で勉強を見てあげられるからよかった」と思っているかもしれない。だが、私は「これはまずいな」と不安がよぎった。親と子が一緒に過ごす時間が長くなると、かえってうまくいかなくなるケースをいくつも見てきたからだ。

■親の小言が子どものやる気を奪う

まず、親の小言が増える。一緒にいる時間が長いと、子どものダメなところばかりが目に入ってしまうからだ。なかなか勉強を始めないと「早く勉強を始めなさい!」と叱り、ダラダラ勉強していると「そんなんじゃ合格できないわよ!」と発破をかけ、問題が解けなければ「なんでこんな問題が解けないの?」と責める。これを毎日やられては、子供はたまったもんじゃない。ムカついて親子喧嘩に発展するか、子供のやる気を奪うか。こうなってしまうと、一緒にいるメリットは何もない。

子供の勉強に関わるのなら、短所を見つけて修正しようとするのではなくて、長所を見つけてそこを伸ばすことを意識してほしい。親は子供のよいところに目を向ける意識をしてほしい。多少勉強を始める時間が遅くても、自分から始めようとする姿勢が見えたら、「おっ、エライね! 頑張っているね!」とほめる。たとえ問題が解けなくても、考えた形跡が見えたら「ちゃんと図に書いて考えたんだね。考え方としてはいいと思うよ。でも、ここで計算ミスをしちゃったんだね。落ち着いて計算したら、合っていたかもね」と、できているところは認め、「あと少し頑張ればできる」と思わせてあげる。そうやって、子供に自信を与える言葉を渡してほしい。でないと、子供は頑張れないからだ。

■夏休みの塾は「学習量が多く、授業スピードが速い」

小学校が長期休みになる夏休みは、中学受験生にとっては受験勉強に集中できる貴重な期間だ。特に6年生の夏休みは「受験の天王山」といわれているほど重要で、ここでどれだけ頑張れるかが合否を分ける。大手進学塾の夏のスケジュールは、お盆休みを除いてほぼ毎日授業がある。平常授業よりも授業時間が長く、しかもそれが毎日続く。

さらに子供たちを大変にさせているのは、学習量の多さと授業のスピードの速さだ。例えばサピックスの6年生の平常の算数カリキュラムは、7月なら「速さ」「平面図形総合」「ニュートン算」の3単元だが、夏期講習カリキュラムでは、「数の性質」「割合」「速さ」「場合の数」「平面図形」など全部で18単元を学習する。平常授業の6倍も勉強するのだ。5年生においても14単元と平常の約4倍にのぼる。平常授業よりも授業時間が長いとはいえ、これだけの単元を学習するとなると、授業のスピードも速くなる。

■宿題は取捨選択、お盆休みの学習計画は事前に決める

しかも、宿題が毎日たくさん出る。翌日は違う単元を学習するので、今日習ったことは今日中に覚えなければ、積み残しが増えていくばかりだ。だが、出された宿題をすべてやるのは物理的に不可能だ。そこで、宿題の取捨選択が必要になる。

私が勧めているのは、「○△×学習法」だ。授業中に理解できたものには○、まだ完璧には理解できていないけれど、あと少し頑張ればできそうなものには△、まったく理解できないものには×をつけておく。宿題としてやるべきものは、あと少し頑張ればできそうな△の問題だ。ここが理解できるようになれば、よしとする。そうやって、割り切って進めていかなければ、量でつぶされてしまう。

受験生の休みは本当に少ない。四谷大塚の夏のスケジュールを見ると、4~5日連続で授業があり、1日休みがあって、また4~5日連続で授業……をくり返す。まとまった休みはお盆の5日間だけだ。それが6年生だけでなく、4、5年生もほぼ同じであることに驚く。たまの休みはゆっくりしたいと思うが、そうは言っていられない。いくら宿題の取捨選択をしても、いくつかの積み残しがあるからだ。1日休みは、それに取り組む日にする。お盆休みは、あらかじめ何をするか決めておくといいだろう。小学6年生なら志望校に出やすいレベルの問題だけ復習する、小学4、5年生なら、夏期講習で習った新しい単元を復習するなど、子供の理解度に合わせて、やるべきことを決めておく。

だが、夏休み中ずっと勉強だけでは、子供も参ってしまうだろう。1日くらいは思いっきり遊べる日を作ってあげてほしい。

親子
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

■6年生は夏休みから入試を意識した学習に変わる

6年生は1学期までは、新しい単元を学ぶインプット型の学習だが、夏休みから演習を中心としたアウトプット型の学習に変わる。ここから、入試を意識していく狙いがあるのだ。授業では、実際に入試に出た問題や類題を解く。まだ入試問題を解き慣れていない受験生には、難しく感じるだろう。塾側が難しい問題を出すのは、「入試を甘く見るなよ」と受験生に危機感を与えるためだ。授業では「この3問を15分で解いてみよう」と演習から始まる。

だが、時間内に全問正解できる子はまずいない。難しい問題を前に頭を抱えているだけの子もいる。でも、まずは1問でもいいから「絶対に正解するぞ」という気持ちで挑んでほしい。ここで問題に集中し、自力で解く訓練をする。そうやって、本番を意識して取り組むことが大事だ。

勉強
写真=iStock.com/jittawit.21
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/jittawit.21

■夏の成果を左右するのは「親の懐の大きさ」

コロナのあるなしにかかわらず、中学受験生の夏は、毎年ハードになっている。これだけの量と、これだけの難度の高い問題に挑むには、子供の心の安定が欠かせない。リモートワークになったことで、子供の勉強に深く関わろうと思っている親は少なくないが、その関わりには十分に気をつけてほしい。

子供の成績を伸ばしたければ、親は子供が気持ちよく勉強できる環境を考えることが大切だ。眠いのを我慢させて、夜遅くまで勉強をさせるのではなく、「この子が気分良く勉強できるのは、何時頃だろう?」とわが子をよく観察し、勉強に集中できるベストな時間帯を探ってみてほしい。また、勉強に集中できないようなら、場所を変えてみたり、負担の少ない教科に変えてみたりするなどの工夫も必要だ。

また、受験生なのだから「塾に行くのは当たり前」「出された宿題はやるのが当たり前」と思わないでほしい。本来であれば、小学生の子供の生活は遊びが中心だ。遊びたいのを我慢して、高い目標に向かって取り組んでいる。それだけでもすごいことなのだ。だから、少しでも頑張っていたら、大いに褒めてあげよう。そうやって、子供のいいところをたくさん見つけ、褒める。そうすれば、親のリモートワークは子供の受験にとってプラスになるだろう。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。

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(プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康 構成=石渡真由美)

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