科学的なモニタリングと評価に基づく政策立案へ向け、提言書公開
PR TIMES / 2024年3月4日 15時45分
―慢性疾患・栄養課題からパンデミック下の超過死亡、社会的・経済的影響まで―
[提言書 全文はこちら]
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4426
野村周平主席研究員を中心とする研究班では、ヘルス・メトリクス(定量的健康アウトカム指標)を用い、(1)「21世紀における国民健康づくり運動」における政策評価、(2)COVID-19流行期の超過死亡や死亡場所の動向(高齢者施設における死亡数等)、循環器疾患や自殺といった間接的な死亡リスク、(3)超過死亡の迅速なモニタリング、(4) COVID-19と東京オリンピックにおける政策評価、など日々の暮らしに直結する慢性疾患・栄養課題からパンデミックがもたらした社会的・経済的影響まで、包括的に分析を行ってまいりました。
データに基づく意思決定を通じた、保健医療システムの透明化や効率性、そして人々の健康の向上に資するべく、このたび分析結果を提言書としてまとめ、公開いたします。
本成果は、少子高齢化、医療費の高騰などが、我が国の保健医療システムの持続可能性を脅かす中、科学的なモニタリングと評価に基づく政策立案に貢献することが期待されます。
「ヘルス・メトリクスを用いた政策インパクトのモニタリングと評価に関する研究」提言要旨
(1) NCDs(非感染性疾患)の予防と管理強化のための全国的な取り組みの推進
・健康リスクに対する税政策と行動変容の促進
・消費者データ等を活用した公衆衛生介入のPDCAサイクルの促進
・先進的なデータ分析と個別化された予防策の開発、独立機関によるデータ分析と検証の促進
(2) 健康危機に対応するための包括的戦略: 間接的な死亡リスクへの対応と社会的サポート体制の強化
・COVID-19における直接的・間接的死亡リスクへの対策強化
・高齢者の医療・介護体制の見直しとの連携強化
(3) 推計データ(例:超過死亡)活用によるリアルタイムモニタリングの推進
・リアルタイムでの死亡データの公開の推進、データ収集プロセスの高速化と効率化
・超過死亡モニタリングの継続的な運用と質の向上、超過死亡モニタリングの標準的なプロトコルの開発
(4) パンデミック下の大規模イベント開催:感染症リスクの再評価と予防策強化に向けた公衆教育の推進
・大規模イベントの感染症リスク評価基準の見直しと実用的なガイドライン策定
・予防策の強化と人々への啓発推進
(5) インターネット調査を含むボトムアップ型データ基盤の整備
・パンデミックなどの急性の事象に対するタイムリーなデータ基盤の整備・活用
・ボトムアップ型で自律し、分散化したデータの活用およびそれを推進する研究者の育成
[研究プログラム]
「ポスト・コロナ時代における持続可能かつレジリエントな医療・看護・介護システムの構築に関する研究」
https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=33
「ヘルス・メトリクスを用いた政策インパクトのモニタリングと評価に関する研究」
https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=34
[執筆者]
野村周平 主席研究員、慶應義塾大学医学部 特任准教授
Md. Mizanur Rahman 主席研究員、一橋大学社会科学高等研究院(HIAS) 准教授
大田えりか 研究主幹、聖路加国際大学大学院看護学研究科国際看護学 教授
尾谷仁美 研究員、大阪大学医学系研究科 博士課程
田淵貴大 主席研究員、東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学分野 准教授
諸見里拓宏 主席研究員、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター腎・リウマチ科 部長
米岡大輔 主席研究員、国立感染症研究所 室長(第12室)
渋谷健司 研究主幹
[研究プログラム関連成果一覧]
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4089
*……………………………………………………………………………………*
◇◆東京財団政策研究所の方向性◆◇
戦後75年が過ぎ、国内外を問わず、社会の大きな転換が進んでいます。この大転換は、戦後の政治・経済・社会の体制から本格的に脱皮し、市民一人ひとりが独立した人間として自らの人生と社会の充実、国家の再生、平和の維持に携わる新しい時代を日本にもたらしています。また、この新たな時代を創るための政策研究・実践のイノベーター(革新者)として、戦後の体制からの独立した政策シンクタンクが必要とされています。
当財団の研究部門は、この大転換期が求める日本再生のイノベーターを目指します。
◇◆取り組む分野◆◇
国際情勢と歴史認識への冷静な視座のもと、下記5領域で約30の研究プログラムを並行して進めています。
I. 経済・財政、環境・資源・エネルギー
II. 健康・医療・看護・介護
III. 教育・人材育成、雇用・社会保障
IV. 科学技術、イノベーション
V. デジタル革命、デジタル化による社会構造転換
[画像: https://prtimes.jp/i/56667/37/resize/d56667-37-4741120344b8f51e1185-0.jpg ]
所在地:〒106-6234 東京都港区六本木三丁目二番一号 六本木グランドタワー34階
URL:https://www.tkfd.or.jp/
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