小説の言葉がこれほど自由であっていいのかと、選考委員を驚かせ、「新しい文学の爆誕」と言わしめた、第四十七回すばる文学賞受賞作・大田ステファニー歓人さんの『みどりいせき』が刊行された。
小学校時代に野球のバッテリーを組んでいた「春」と「僕」を中心に、ドラッグビジネスに手を染めた高校生たちの青春が、饒舌な口語体で鮮烈に語られていく。そのぶっ飛んだドライブ感に最初はたじろぐものの、いつしか読み手はその世界に夢中になり、危うい高揚感に包まれる。こんな小説を爆誕させた、規格外の新人作家は、受賞の言葉も贈賞式でのスピーチも斬新で、「どもう、ステファニーだお」「次はクリスタルすばるちゃん人形をゲトりたい」と、独特なバイブスで語りかけて来る。彼は一体、何者なのか――。
この作品を読んだときから激推しすると決めたという選考委員の金原ひとみさんを、大田さんは「ひとみ姉さん」と呼んで敬愛する。お二人の対談では、未曽有の青春小説が生まれた背景や、取得した言語の手法について、さまざまな視点から楽しい探訪が展開します。
構成=宮内千和子/撮影=山口真由子