焼肉食べ放題店の元経営者が明かす、注文されると“苦しい”メニュー。上・中・下の価格帯で店が一番儲かるのは
日刊SPA! / 2024年3月17日 8時54分
焼肉ライクの店舗(筆者撮影)
焼肉の市場規模は、店舗数2万2000店、年商約1兆2000億円と推計されている(2019年12月、日本フードサービス協会調べ)。コロナ禍での焼肉は、テーブルごとに吸気ダクトが備えられた店内設備が「換気がいい=3密回避」とのイメージが定着。加えて、外出規制で外食したくても外出できない中、どうせ行くなら、1回の外食で満足したいと人気が集中した。
昔、贅沢な外食と位置づけられていた焼肉だが、最近ではファミリー層向けが進展し、勢力を拡大してきている。特に焼肉食べ放題は、経営側から見ても、客単価が高く、オペレーションや会計も単純。人件費の抑制など費用構造的にも最適で、一時は業績不振に苦しむ居酒屋など異業種からの参入が相次いだ。
今回は家族連れに人気の焼肉食べ放題「焼肉きんぐ」と、孤食を希望する客をターゲットにした「焼肉ライク」の経営モデルの違いと今後の展望について、分析してみたい。
◆「牛角」は店舗数減少。家族連れに人気「焼肉きんぐ」
人気の焼肉チェーンだが、各社の公式サイトやIRデータを見ると、1位は牛角588店(24年3月7日時点)、2位は焼肉きんぐ318店(同時点)となっている。だが、牛角が店舗数を減らしているのに、焼肉きんぐは前年比6%増と勢いが店舗数に表れている。
食べ放題が人気の焼肉きんぐは、焼肉の基本である肉質が高く、キムチ・サラダ・石焼ビビンバ・冷麺といったバリエーション豊かな一品料理が一部コースでは無制限に食べられるのが魅力である。加えて、食べ放題メニューが税込み3058円~とリーズナブル。落ち着いて食事ができる個室感覚のレイアウト、若い子を中心とした元気で笑顔あふれる接客などが、ファミリー客に人気のようだ。
運営元である物語コーポレーションは、1949年愛知県におでん割烹店の創業からスタート。80年代後半から90年代にかけて同県を中心に海鮮料理屋を展開し、95年にオープンした「焼肉一番カルビ」を機に焼肉事業へと参入。しかし同チェーンは芽が出ず、2001年に開店した丸源ラーメンが当初の中核事業となった。
焼肉きんぐの1号店をオープンしたのは07年。様々な業態の飲食店を展開していたが、特に丸源ラーメンと焼肉きんぐの拡大が競争力の源泉に。そして現在、焼肉きんぐは300店、丸源ラーメンは190店舗を突破し、17のブランドを展開している成長著しい企業である。
◆「内心ほくそ笑んだ」儲けのカラクリ
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