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利用者4.8倍増!笑顔を生む手指消毒器の秘密 つい試したくなる仕掛けはこうして生まれた

東洋経済オンライン / 2023年11月30日 9時0分

2016年8月26日(金)から9月15日(木)にかけて、大阪大学豊中キャンパスの近くにある石橋商店街のパン屋さん「タローパン」にて、通常の試食と試食投票を交互に行って利用人数を計測する実験を行った。その結果、通常の試食のときは来店者のうちの約11%(460人中52人)が試食をしたのに対し、試食投票のときは来店者のうち約20%(521人中104人)が試食して投票した。投票の仕掛けによって利用者が1.8倍に増えたという結果になった。

なお、投票するためには両方のパンの味見をしなければならないことも重要である。食べたことのないものは、購買対象の候補(考慮集合)には入らない。試食して美味しかったパンは考慮集合に入り、今後購入される可能性が高まるので、この仕掛けは販売促進の仕掛けにもなっている。

休憩ガチャ

報告、連絡、相談の頭文字をとった報連相は社内コミュニケーションの基本であるが、不十分だと感じている組織は多い。そこで、2019年10月1日(火)から2019年10月31日(木)の平日にかけて、ある企業(社員数116名)の休憩室に仕掛けを施したカプセルトイを設置した。

カプセルトイの中には、ヘルシーなお菓子を入れたカプセルと、ミッションが書かれた紙を入れたカプセルを同数入れた。ミッションは、「朝礼で有益な情報を共有してください」「業務で接する機会が少ない仲間に話しかけてください」などコミュニケーション促進に関する21種類と、「ストレッチをしてみよう」「今週はなるべく階段を使用してください」など健康促進・リフレッシュに関する21種類からなる。

また、カプセル回収ボックスを2つ用意し、それぞれに「行動をする」「行動しない(お菓子のカプセル)」の張り紙をつけ、カプセルを捨てる際に行動するかしないか意見を表明してもらうようにした。

カプセルトイの設置期間終了後にアンケートを実施したところ、「行動する」にカプセルを入れたことをきっかけとして実際に行動を起こした人が、コミュニケーション促進で50%(22人中11人)、健康促進・リフレッシュで59%(17人中10人)いたことがわかった。

仕掛けは、したい理由を作ってあげることで、優先順位を高めるものである。優先順位さえ高くなれば、あとは行動できるまで自分でやりくりして、さまざまな阻害要因をすっとばしてくれるだろう。

著者は、行動の選択肢を魅力的に見せることを「そそる」と呼んでいる。

そそる仕掛けは、場合によっては面倒になったり、余計に時間がかかったりすることもある。しかし、したいこととのトレードオフなので、したいことの優先順位が十分に高くなれば問題ないのである。

松村 真宏:大阪大学大学院経済学研究科教授

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