MS、GoogleにMeta、Amazon参戦も「生成AI」の勢力図 日常使いから企業向けまで各社ガチンコ対決
東洋経済オンライン / 2023年12月20日 7時30分
ChatGPTのリリースから1周年を間近に控えた11月17日、突如OpenAIの理事会によるサム・アルトマンCEOの解任劇において、終始彼と同社を背後から支えたのがサティア・ナデラCEO率いるマイクロソフトだ。お家騒動を経て、OpenAIとマイクロソフトの連携は一層強化され、今後生成AIを軸に大きく塗り替わっていくIT業界をリードしていくと見られている。
先行者が手を結んだ最強タッグ
OpenAI/マイクロソフト連合の最大の強みは先行者利益だ。確かにグーグルも生成AIの技術力では引けを取らないが、実際にChatGPTというヒット商品を世に送り出したのはOpenAIが最初だ。
また、そのベースとなるGPT-4などLLM(大規模言語モデル)を自社の検索エンジンや業務用ソフトなど、主力商品に導入する点ではマイクロソフトが先んじた。それらの過程で発生した数々の問題や齟齬も含め、同連合は生成AIの開発・商品化で豊富な経験を積んでいる。
ただし必ずしもすべてがうまくいっているわけではない。OpenAIと共同開発した(生成AIの一種)対話型の検索エンジン「Bing(ビング)」を投入したが、検索エンジン市場に占める同社シェアは3%程度と以前とほぼ同じだ。
グーグルも今後、検索エンジンに対話型AIを本格的に組み込んでくることを勘案すれば、マイクロソフトがこの分野のシェアを奪うことは容易ではなかろう。
一方、クラウド市場ではOpenAIとの提携が大きな成果を生み出している。マイクロソフト・アジュールなどクラウド事業の売り上げは2023年第3四半期に243億ドル(約3兆5000億円)と、前年同期比で29%も増加。急成長の背景には、多くの企業ユーザーが生成AIを導入する際、間接的にアジュールなどのクラウド・サービスを利用していることがある。
生成AI「Copilot」を組み込んだクラウド型のオフィス・アプリ「マイクロソフト365」が今後、どの程度売り上げを伸ばすかはもう少し様子を見ないとわからないが、こちらも同社のクラウド事業の収益拡大につながるはずだ。
こう見てくると、生成AIを中心に生まれ変わろうとしているIT産業において、マイクロソフトは好位置につけていると言えそうだ。
主力事業の戦略見直しを迫られるグーグル
2023年のChatGPTを嚆矢とする生成AIブームにおいてグーグルは明らかに出遅れた。
本来、生成AIのベースにある「トランスフォーマー」と呼ばれる技術はグーグルの研究者が発案したものであるだけに、同社の出遅れはいわゆる「イノベーターのジレンマ」の典型と見られた。グーグルは「検索エンジン」という1990年代の画期的技術に執着したが故に、「生成AI」という2020年代のさらに革命的な技術には消極的になってしまった。
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