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佐々木麟太郎の「5000万円奨学金」に見る日米差 「日本と違って凄い!」…とは単純には言えない

東洋経済オンライン / 2024年3月1日 7時20分

岩手県花巻東高等学校の佐々木麟太郎内野手。「フルスカラシップ」が話題になっていますが、日本とアメリカで奨学金制度はそのように違うのでしょうか?(写真:東京スポーツ/アフロ)

2月14日、高校史上最多の通算140本塁打を放った最強スラッガーである、岩手県花巻東高等学校の佐々木麟太郎内野手が、「世界大学ランキング」で2位を誇るアメリカの名門・スタンフォード大学に「フルスカラシップ(全額奨学金)」で進学することが大きな話題となった。

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佐々木麟太郎の「フルスカラシップ」が話題に

日本の報道陣の取材に応えた、同校の野球部監督であるデービッド・エスカー氏は「彼はフルスカラシップ。学費も寮費も100%大学が負担する」と明かしている。

各誌の報道によると、スタンフォード大学は奨学金なしで4年間通った場合、日本円で約5000万円の学費がかかるという。ちなみに、同校の合格率は2022年で3.68%という超狭き門である。

なお、「アメリカの大学は日本よりも金がかかる」というイメージもあるが、その実態についてニューヨーク在住ジャーナリスト・編集者の安部かすみ氏はYahoo!ニュースに転載された「佐々木麟太郎は全額奨学金で進学、スタンフォード大の監督明かす 学費は4年で約5000万円」という「日刊スポーツ」の記事のオーサーコメントで、次のように解説している。

「NYU【引用者註:ニューヨーク大学の略】で今年の学費は2セメスター以上のフルタイムで年間6万ドル近く、住居や生活費に2万5000ドル(教科書代は別)と言われていますから、スタンフォード大の学費を聞いてもそんなものかなと思います。しかし通常奨学金というのは基本的にはアメリカ人もしくは永住者対象のものであり、またアメリカ人であっても「全額」というのはそれほど多くない。また大抵がローンで、卒業後就職して多くの人が苦労しながら毎月返済する中、(アメリカからすると)外国人である佐々木選手を全額奨学金待遇とは恵まれていると感じると同時に大学側からも特待生として相当期待されていることが伝わってきます」

いかに、今回の佐々木内野手の進学が衝撃的なことなのか、野球ファンはもちろんのこと、高校野球に詳しくない筆者ですら、十分に理解できる。

その一方で「奨学金なんだから、結局は返さないといけないのでは?」と疑問を抱く読者もいただろう。

しかし、アメリカおよび海外でいう「奨学金(スカラシップ)」とは「返済不要の給付型奨学金」を指し、日本のような「貸与型」ではないのだ。

そして「フルスカラシップ」というのは前出のエスカー監督がいうように、留学先大学での授業料はもちろん、住居費や食費も免除もしくは支給される制度である(それを今回の報道では各メディアが「全額奨学金」と直訳しているのだが、正直わかりにくい……)。

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