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テレビ局の株価が今になって「爆上がり」した必然 日テレの"発表"が引き金、キー局は軒並み高騰

東洋経済オンライン / 2024年3月7日 7時0分

長らく低迷していた民放キー局の株価が高騰している。背景にある投資家の思惑とは?(右下写真:尾形文繁撮影、左上・左下写真:編集部撮影、右上画像:日テレ公式HPより)

「テレビ業界を見る目が変わった」――。

【図表で見る】民放キー局4社の株価推移。TBSは1年前から2.2倍に跳ね上がっている

機関投資家らの間で今、そんな声が数多く上がっているという。

長らく低迷していた大手テレビ局の株価が、ここに来て軒並み急騰している。テレビ東京ホールディングスを除いた民放キー局4社の株価は、2024年初から1~3割程度上昇。1年前と比べると2~8割超も上昇し、TBSホールディングスに至っては約2.2倍に跳ね上がっている。

足元の株価が急騰したきっかけは、2024年2月1日に日本テレビホールディングス(以下、日テレ)が発表した1本のリリース。6月に開催される定時株主総会で定款の変更を提案し、株主名簿への記載を拒否された外国人についても配当を受け取れるようにする、というものだ。

配当が対象外だった理由

放送法では外資による放送局支配を防ぐため、放送局に対して議決権ベースでの外国人株主の比率を20%未満にするように定めている。そのため、これまで日テレは外資比率が20%以上となる場合に、該当する外国人の株主名簿への記載を拒否し、議決権や配当付与の対象外とする措置をとってきた。

日テレの株式の外国人直接保有割合は3月1日時点で21.89%。6月に開催される定時株主総会で定款変更が承認されれば、今後は20%を超えた外国人株主に対しても配当が支払われる。

なぜ日テレは、このタイミングで方針転換を決めたのか。

実は日テレでは今回の発表以前から、外国人の直接保有割合が20%を若干超えて推移する期間が長く続いていた。

日テレによると、新たな株主名簿を作成する際に外資比率が20%を超える場合には、前回の名簿に記載がある者を優先的に記載したうえで、残りを新たな株主の保有割合に応じて按分する形式をとっていた。そのため外国人株主にとっては、株式を取得したタイミングでは、議決権や配当を受け取れるか否かがわからない状況となっていた。

今回の定款変更によってこうした不確実性が軽減され、外国人が同社の株式を取得しやすくなる。

さらに日テレは、定款変更のリリースと合わせて、上限70億円(発行済株式総数の1.93%)の自己株取得も発表している。一般的に自己株取得を行うと、市場での発行済株式数が減少するため、既存株主の議決権比率が高まる。そのため、外国人株主の議決権比率が20%を超過し、配当を付与できなくなる懸念から、これまでは自己株取得をしづらい状況にあった。

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