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斎藤幸平氏「大学で『古典』を読むべき理由」 新入学生に贈る令和版「大学で何を学ぶか」

東洋経済オンライン / 2024年3月30日 10時30分

なぜ古典を読むべきなのでしょうか?(写真:horiphoto/PIXTA)

現在、学校のみならずビジネス社会においても「教養」がブームとなっている。そもそも「教養」とは何か。なぜ「教養」が必要なのか。

3万5000部のベストセラー『読書大全』の著者・堀内勉氏が、行き過ぎた資本主義社会や気候変動問題に警鐘を鳴らし続ける東大准教授の斎藤幸平氏に、「持続可能社会と教養」をテーマとして、「教養とは何か」「人はなぜ学ぶのか」についてインタビューを行った。

東大を中退してアメリカの大学へ

堀内:現在、私が所長を務めている多摩大学の社会的投資研究所は、2024年4月にサステナビリティ経営研究所と名称を改めることになりました。そこではソーシャルファイナンスに加えて、社会と企業のサステナビリティ(持続可能性)を同時に研究していこうと考えているので、持続可能社会の重要性を訴えている斎藤さんにお話をうかがいたいと思っていました。

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私がいま「教養」をテーマにした本を書いていることもあって、「教養とは何か」「教養と大学教育について」「教養を社会にどう生かすか」などについて、お話しいただければと思います。

最初に、斎藤さんの歩まれた学業のキャリアが面白くて、高校卒業後、4月に東大に入って、わずか数カ月後の9月にアメリカの大学に入学されていますね。

斎藤:高校時代、私は日本の大学教育制度に疑問を感じていて、アメリカの大学に行きたいと考えていました。なぜかと言うと、高校の段階で理系・文系に分けられ、まだ何をするのかもよくわからないのに、大学に入る段階で法学部や経済学部、工学部といった専攻コースを決められることに違和感を覚えていたからです。

高校時代に「9・11」や「イラク戦争」といった衝撃的な事件が起きたのですが、私はそもそも理系だったので、歴史の授業は少ないし、そもそも高校では、経済や地政学といった現代社会を理解するための知識を学ぶことはできない。そのような状態で専攻を決めることは到底できないと思ったのです。

そうした中で自分でいろいろ本を読んだ時に、当時私が強く影響を受けたのがノーム・チョムスキーとエドワード・サイードといったアメリカの知識人でした。アメリカではチョムスキーのように本来は言語哲学が専門の学者でも、戦争や外交について社会主義の視点から積極的に発言していましたし、サイードはその著書で「知識人というのは、アマチュア主義として自分の専門以外のことでも必要な発信や、社会問題に対してコミットメントしていくことが重要だ」と言っていて、彼らに強い刺激を受けて、日本よりもアメリカで学びたいという気持ちが大きくなりました。

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