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80年代、東大駒場に流れていた自由な風の正体 異色の教養シリーズ「欲望の資本主義」の原点

東洋経済オンライン / 2024年4月18日 10時30分

教養を身につけて不安定な時代を乗り切りたい…。そもそも「教養」とは?(写真:Rhetorica/PIXTA)

現在、学校のみならずビジネス社会においても「教養」がブームとなっている。そもそも「教養」とは何か。なぜ「教養」が必要なのか。

3万5000部のベストセラー『読書大全』の著者・堀内勉氏が、「爆笑問題のニッポンの教養」や「欲望の資本主義」「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」など数々の教養番組を世に送り出してきたNHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサーの丸山俊一氏に、プロデューサーとしての原点や、不透明な時代において「教養コンテンツ」をどう届けるかについてインタビューを行った。

堀内:丸山さんはNHK番組のプロデューサーとして、その名も「爆笑問題のニッポンの教養」をはじめとして、「ニッポンのジレンマ」や「欲望の資本主義」シリーズ、さらに現在放送中の「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」など、教養的な番組を多く手掛けてこられました。とくにブレークしたのは「欲望の資本主義」シリーズかと思いますが、なぜこれらの番組を世に出そうと思われたのか、背景にある問題意識などについてお話しいただけますでしょうか。

丸山:どの企画も決して最初から形が見えていたというわけでもなく、時代や社会とどう線を結び、テーマを表現するか? 映像を通して試行錯誤し、問いと仮説を投げかける精神が、それぞれの形をとったということだと思います。映像という装置をいかにして「思考するツール」とできるか? 視聴者の皆さんといかに時代や社会を共に考えるフレームを共有できるか?という問題意識が常にありました。それがたまたま、聖俗硬軟さまざまな表現をとり、報道、ドラマ、科学……といったジャンルに収まりきらないものになっていったと言えるのかもしれません。

着想の原点にある教養ラジオ的思考

堀内:実は、私の身内がNHKに勤めていました。また大学時代のクラスメイトがNHKの解説委員長を務めたりと、個人的にはNHKに対してとても親近感があるのでなかなか言いにくいのですが、NHKの番組というのはどうしても教科書的で、予定調和と言うか、起承転結がしっかりし過ぎていて面白みに欠けるものが多い印象があります。

そういう中で、いかにして教科書的ではない「欲望の資本主義」のような番組が生み出されたのか。そのあたりを教えていただければと思うんですけど。そもそも、このシリーズが始まった頃に資本主義を題材に番組を作るということ自体、かなりの冒険だったのではないかと思いますが。

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