「高齢者の運転事故」は糖質・塩分摂りすぎを疑え 「脳ドック」データでわかった意外な因果関係
東洋経済オンライン / 2024年4月10日 16時0分
人々の健康意識が高まり、医学の進歩によって本来人間の体に必要とされる栄養素の過剰摂取がもたらす影響が明らかになるにつれ、「糖質や塩分を摂りすぎないようにしよう」がある種の常識になりました。糖質は糖尿病、塩分は高血圧のもととなり、それが命の危険をまねく大きな病気につながることが知られるようになったからです。でもじつは、糖質と塩分が高齢ドライバーの安全運転を阻害する要因にもなることをご存じでしょうか。
ここでは日本初の「自動車運転外来」を開設した認知症専門医・朴啓彰氏の著書『75歳を越えても安全運転できる運転脳を鍛える本』より、一部引用・再編集して、糖質と塩分の過剰摂取が高齢ドライバーの安全運転に与える影響に迫り、事故を防ぐために推奨される食事や生活習慣を紹介していきます。
糖質の過剰摂取が脳にダメージを与える
テレビや動画を見ていると、「糖質ゼロ」や「糖質オフ」を売りにした商品のCMを最近よく目にします。糖質を制限すると、健康増進効果やダイエット効果に期待できる――ここに注目した飲料メーカーや食品メーカーが、健康や痩身を求める消費者の需要に応えようとして、さまざまな商品を開発している様子が伝わってきます。
とくにビールならびにビール系飲料、チューハイ類などについては、糖質オフ祭りといっても過言ではないような新商品のラインナップです。麺類市場もその動きは活発で、おからやこんにゃくを主原料とする糖質ゼロ麺や、高たんぱく・低糖質をうたうインスタントラーメンが登場するなど、糖質制限ブームはとどまるところを知りません。
体の組織をつくったり、調子を整えたり、エネルギー源になったりと、人間の生命活動に不可欠な栄養素はおもに5つ。「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「ビタミン」「ミネラル」で、これらは“五大栄養素”と呼ばれます。糖質は、炭水化物の一員です。
ですので糖質は、本来人間の体にとって必要な栄養素ということになります。しかし、過剰に摂取してしまうと、さまざまな弊害を引き起こすのです。
糖質を摂りすぎると血糖値が上昇し、これが肥満や糖尿病の原因になります。肥満や糖尿病は、神経の障害、目の障害、腎臓の障害、脳梗塞や心筋梗塞など、ありとあらゆる合併症のリスクがあり、まさに“万病のもと”といえるのです。だからこれだけ、糖質制限に注目が集まっているのでしょう。
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