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線路を守る東鉄工業が「失敗できる」唯一の場所 実習線や「駅」、大型保線機械もある研修施設

東洋経済オンライン / 2024年4月18日 6時30分

茨城県つくばみらい市にある「東鉄総合研修センター」。実習用の大型保線機械と“紫峰ヶ丘駅”(記者撮影)

首都圏のJR線に乗っていて、なにげなく窓の外を眺めていると、線路脇の大型保線機械を目にすることがある。

【写真60枚を見る】ここなら失敗しても大丈夫、東鉄工業の研修施設を独占取材。実習用に配備されている大型保線機械「マルタイ」の内部は?「安全研修室」では実際起きた事故もリアルに体験

その側面の「TOTETSU」「東鉄工業」の文字は、通勤通学などで毎日電車を利用する人にとっては無意識のうちに記憶に刻まれているに違いない。

鉄道に強いゼネコン

東鉄工業は鉄道関連のメンテナンスや土木、建築を手がける総合建設会社。もとは1943年に鉄道省の要請で関東の建設業者が設立した国策会社「東京鐡道工業」が始まり。現在の名工建設(名古屋市)や第一建設工業(新潟市)、大鉄工業(大阪市)などもこのころ誕生している。

戦後の1952年に商号を東鉄工業に変更。1962年に東京証券取引所2部に上場、1972年に1部に指定替えした。現在は東証プライム市場に所属する。2023年3月期の連結売上高は1246億円で、4分の3を鉄道関連工事が占める。JR東日本との結びつきが強く、2022年11月に同社の持分法適用会社となったが、ほかの鉄道事業者の工事も実績を着実に増やしている。

レールやマクラギの交換などメンテナンス工事を担う「線路部門」、橋梁や立体交差、ホームドア関連を中心とする「土木部門」、駅関連施設などの「建築部門」が収益の柱。建物の屋上・壁面の緑化事業をはじめとする「環境部門」も力を入れているという。

本社は明治神宮外苑に近いJR中央本線・信濃町駅に直結したビルにある。同社は東京ヤクルトスワローズのオフィシャルスポンサーで、神宮球場の外野フェンスに大きく書かれた社名が存在感を示している。

2022年4月、茨城県つくばみらい市に「東鉄総合研修センター」を本格稼働させた。最寄り駅はつくばエクスプレスの区間快速で秋葉原から約40分のみらい平。そこから徒歩約10分、紫峰ヶ丘の一角にある。紫峰ヶ丘は2024年の地価公示結果で上昇率が県内1位の地点がある住宅地で、周囲には真新しい一戸建てが建ち並ぶ。

研修センターは広さが約4万㎡。神宮球場のグラウンドが3つ入る面積の敷地に、教室や宿泊設備を備えた研修棟、土木・建築の実寸大模型を用意した実習棟のほか、屋外に駅のホームや踏切、トンネル、総延長約830mの4本の線路からなる実習線がある。「実習線を備えた研修施設としては、国内トップクラスの規模」(同社)という。全長40mのホームには「紫峰ヶ丘」の駅名標がある。

実習用の大型保線機械も

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