[新人戦]初陣で全国1勝、準優勝校とPK戦の熱戦も選手権は「悔しい」大会、全国8強狙う新生・明秀日立が鹿島にPK戦勝利
ゲキサカ / 2016年1月24日 0時4分
[1.23 茨城県新人戦準決勝 明秀日立高 0-0(PK4-3)鹿島高 鹿島ハイツ]
平成27年度茨城県高校サッカー新人大会は23日に準決勝と決勝を行い、全国高校選手権出場の明秀日立高と鹿島高との準決勝は0-0で突入したPK戦の末、明秀日立が4-3で競り勝った。
前半から互いに主導権を握り合う展開。立ち上がりは鹿島のキープ力高いアタッカー陣に対してやや対応が遅れてしまっていた明秀日立だが、それでも徐々にペースを握り返すと全国高校選手権で2ゴールを挙げた10番MF小磯克文(2年)や期待のFW高野大樹(2年)中心に反撃。16分には右サイドからのパスを受けた高野が絶妙なコントロールでDFの前に出て決定的な右足シュートを打ち込む。
この一撃は鹿島GK宇井優騎(2年)のファインセーブによって防がれたものの、前線でFW岡本和馬(2年)が献身的なチェイシングを見せ、また中盤で昨年からの経験者であるMF大野拓朗(2年)とMF前川翔梧(2年)が球際での強さを発揮する明秀日立がセカンドボールを収めてリズムを掴んだ。だが、前半よりチャンスをつくっていたのは鹿島の方。10番MF廣田翔(2年)を起点とした流れのいい攻撃からMF久尾僚(1年)、FW藤代将太(2年)にボールを繋ぎ、18分にMF金子聖駿(2年)が決定的な右足シュートを放ったほか、藤代が鋭いターンから放った右足シュートや久尾の突破から藤代がチャンスを迎えるなど明秀日立ゴールを脅かした。
選手権に出場した明秀日立は新人戦までの準備期間が少なく、DFラインが安定感を欠くようなシーンが目立った。それでも後半は大野が「前半は結構ミスもあってパッとしなかったですけれども、後半はやりたいことが大分できるようになった。チャンスもつくれましたし」と立て直すことに成功。決定機も作られたが無失点で乗り切り、萬場努監督も「ピンチは多かったけれど個の部分ではそんなに負けなかったかなと思います」と及第点を与える内容で80分間を終えた。迎えたPK戦では先攻・鹿島1人目の久尾の右足シュートがポストを叩くと、明秀日立は1人目の前川からCB黒宮渉(2年)まで4人連続で成功。最後は中盤で高さを発揮するなど奮闘していた鹿島MF郡山圭吾(2年)の右足シュートをGK鈴木翼(2年)が止めて明秀日立が勝利した。
明秀日立は今冬、初出場となった全国高校選手権で32回目出場の名門・四日市中央工高(三重)に2-1で逆転勝ち。また國學院久我山高(東京)との2回戦では0-2の後半36分から同点に追いつく驚異的な粘りを発揮した。結果、PK戦で敗れたものの、全国準優勝校を追い詰めるなど初陣でインパクト残す大会に。健闘した選手たちが満足感を示してもいいような大会だったが、実際は「彼らは涙を流して悔しがっていました」(萬場監督)。目標として掲げていたベスト8入りできたという手応えがあっただけに悔しさが残った。負傷のために國學院久我山戦で途中交代した大野は「悔しかったですね。3年生と最後まで戦いたかったので。負ける試合ではなかったですね」。
だからこそ、今年チームは先輩たちの叶えられなかった目標に再挑戦する意気込みでいる。大野は「去年もそうだったんですけどチームの目標が全国ベスト8だったので去年の先輩を結果でも越えたいですね」と語り、萬場監督は「土台づくりを今、している。目標設定も去年の子達よりも高いから、そういうところの意欲を感じています」。明秀日立はそれぞれが強い個になって組織をつくりあげ、歴史を塗り替えた先輩たちのさらに上を目指す。
(取材・文 吉田太郎)
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