[MOM2305]神村学園FW高橋大悟(3年)_エースの真価を示す同点弾!開始早々に負傷も魂込めた一撃
ゲキサカ / 2017年11月12日 7時46分
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.11 選手権鹿児島県予選準決勝 神村学園高 1-1(PK5-4)鹿児島高 鴨池陸]
「これぞ、高橋大悟」というスーパーゴールだった。1点を追う後半、味方のポストプレーに対して右から中央へと走って来たFW高橋大悟(3年)がパスを受けて左足を振り抜くと、ボールはポストを叩いてゴールへ飛び込んだ。
試合は、11日に行われた第96回全国高校サッカー選手権鹿児島県予選の準決勝。清水エスパルスに入団が内定している高橋を擁する神村学園高は、鹿児島高を相手に苦戦を強いられた。前半から攻撃が機能せず、高橋は左足のすねを負傷。しかも後半は先に点を取られた。高橋は、左足の状態を気にしなければならず、前半15分頃には一度治療のためにベンチ前へ向かった。
中盤と前線の間で味方からのパスを引き出し、相手の背後へピンポイントで落とすパスなどでチャンスメークはしていたが、本来のストロングポイントである決定力を見せる場面は、なかなか訪れなかった。それでも、有村圭一郎監督は「サイドに置いて起点を作ろうかとも思ったけど、ゴールに近いところで勝負するというやり方でやって来たのだから」と中央での勝負を続けた。
判断は正しかった。高橋は、やはりエースだった。1年生の頃からシュートセンスを評価されて主力で起用され、得点力を示して来た男だ。2年生以降は、自分がゴールに向かうだけでなく、味方を生かす、味方に生かされるというプレーも覚えてプレーの幅を広げて来た。
ただ、人間は誰しもあらゆるものを並行して強化するのは難しい。連係を考えるうちに、自分が決めるという気持ちを忘れる瞬間もあった。しかし、集大成となる選手権を迎えるにあたり、高橋は「自分が決めて勝つという気持ちを上積みして持てるようになって来た」という。主将を任されて強まった責任感が、チームプレーと共存できるエースの矜持を生み出していた。後半34分、同点弾は頼れる男の左足で決まった。
試合開始早々に接触プレーで得意の左足を痛めたエースは「どこかで1本、絶対にチャンスが来ると思っていた。それを逃さないと自分に言い聞かせていたし、あの場面でここだと思った。誰かが決めて勝つのではなく、必ずオレが決めて、チームのために……とケガをしてからずっと自分に言い聞かせていた。魂を込めて打ったし、あの瞬間は相手とぶつかって交代になっても良い、何としてもねじ伏せてやると思って蹴った。正直、足の感覚はなかったです。あれは技術じゃなくて、魂」と鮮烈な同点弾を振り返った。
試合は、80分間で逆転することはできず、PK戦に突入。高橋は通例なら1本目を蹴るが、負傷したこともあって5本目を担当して見事に決めた。試合終了後は、仲間に背負われて移動するほどで、翌12日の決勝戦への影響が気がかりだ。だが、どんな状態でもエースの証であるゴールを取ってみせるという気概を持つ今の高橋は、相手にとって脅威になることは間違いない。決勝の相手は、同じくプロ(横浜FM)へ進むDF生駒仁(3年)を擁する鹿児島城西高。2人のうち、1人しか全国大会には進めない。注目の対決となる。
(取材・文 平野貴也)●【特設】高校選手権2017
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