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日経平均株価はどこまでいく?日本株の〝独歩高〞の時代がやってくる可能性も【国際エコノミストが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月6日 12時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

2024年2月22日に日経平均株価が史上最高値を更新しましたが、経済の専門家は今後の見通しをどう考えているのでしょうか。本記事では、『日本経済大復活 ゴールデン・チェンジ』(Gakken)から、著者の今井 澂氏の解説を抜粋してご紹介します。

30年前とまったく同じことが起きている

日経平均株価はバブル崩壊後、約33年ぶりに3万円台に乗せました。市場も強気になりかけていますが、日本の個人投資家はどうも売り越しに甘んじているようです。(株式を貸し借りする)信用取引は増えているけれど、現物取引に関しては売り越しているのです。

日本の個人投資家は株式に本気になりかけているとはいえ、依然として今回の騰勢を完全には信じ切っていない段階なのではないでしょうか。

「複眼経済塾」という投資ビジネススクールの代表(塾長)である渡部清二さんは、『会社四季報』を25年間1号も欠かさず読み込んできた日本株のプロフェッショナルです。彼は、「個人投資家の売り越しについては構造問題が横たわっており、あまり気にしていない」と語ります。

すなわち、個人投資家はIPO(株式新規公開)銘柄を新規上場のタイミングで買い、それをすぐに市場で売却することで利益を得ようとするため、常に売り越し状況にあるからです。

渡部氏は、「日米の株式市場の逆転が起きるのではないか」とにらんでいます。コロナ禍の2020年に作成した資料から読み取ったもので、コロナショックはブラックマンデーの〝再来〞ではないか、ととらえたそうです。

ブラックマンデーの株価暴落があったのは、1987年10月です。その後、1990年まで日米市場はともに株価を上昇させ、1990年でどちらも下落した。分かれ道はそこからで、アメリカは反発して上昇モードに戻った一方、日本株は30年もの間ほぼ上がらない、長い低迷期を迎えました。

その前年の1989年末は日経平均株価が史上最高値をつけましたが、その時点で日本の株式市場の世界全体での時価総額シェアは5割にも達していました。ちょうど今がその正反対で、2023年前半のアメリカ株の世界全体での時価総額シェアが50%と、30年前とまったく同じことが起きているといいます。

先日、日経平均株価が史上最高値を更新しましたが、前回のような割高感は小さいと思います。

エブリシング・バブルで日米の相場が「大逆転」する

現在の日本株の勢いを3年前から適確に言い当てていたのが、エコノミスト、グローバルストラテジストのエミン・ユルマズ氏です。渡部さんの複眼経済塾の塾頭でもあります。トルコ出身で、弱冠16歳で国際生物学オリンピックの世界チャンピオンに輝きました。

賞品の大学留学期間の費用で選んだ留学先が、歴代チャンピオンが好んだ欧米の大学ではなく、日本の東京大学理科一類。天才の名をほしいままにしたエミンさんの進路は学者コースではなく、野村証券でした。

出会って打ち解けてみると、彼の〝日本愛〞が半端でなく筋金入りであることがよくわかります。我々が忘れてしまっている日本人や日本の良さを評価する目線が本当にありがたいと感じます。エミンさんも国の勢いを長期的な目線で見ています。

原油や天然ガス、小麦などのコモディティ価格の上昇、不動産や株価のバブル的な上昇と言った、あらゆる資産価格が上昇することを、エミンさんは「エブリシング・バブル」と呼び、こう語っています。

「いまエブリシング・バブルが起きているのはアメリカだ。日本がエブリシング・バブルになったのは1980年代後半で、それが崩壊してからアメリカ株相場が盛り上がっていった。それと似たようなことは再び日本に起きるだろう」。

「ウォーレン・バフェット氏もそれに気づいている」、とエミンさんは語ります。「彼は日本へやって来て、日本人のお金で日本株に投資しており、そこがすごい」。

エミンさんはアメリカが依然としてバブルが膨らんだままの状態にあり、株価が一度ヒストリカルな水準に戻らなければいけないと考えています。ヒストリカルな水準とは、具体的には「バフェット指数の水準」だといいます。

バフェット指数の考え方とは、「その国に上場している全企業の時価総額の合計は、その国のGDP(国内総生産)の約8割の水準が妥当であろう」というもの。つまり、株式市場の時価総額を名目GDPで割った値がメルクマール(判断指標)になるということです。

アメリカのバフェット指数は2023年4月23日時点で156.3%。ヒストリカル水準の80%の約2倍ですから、かなりオーバーバリュー(割高)だということになります。

「同時期のS&P500の配当利回りは1.7%と歴史的な低水準にある」(ユルマズ氏)

アメリカの1年債、2年債でも4%以上の利回りが出るのですから、値上がり期待を除けば、アメリカ株にお金を回すのが馬鹿馬鹿しくなるような水準ですね。エミンさんは「アメリカの預金金利は0.25%。預金をすべて引き出してアメリカのMMF(マネーマーケットファンド)に入れておけば4%以上の利回りが出る。S&P500の配当利回り1.7%の倍以上だ」と見立てています。

弾けないバブルはありません。エミンさんは、アメリカ株式の割高な状況はいずれ解消されて、通常のバリュエーションに戻ると予想しています。日本株の〝独歩高〞の時代がやってくるかもしれません。

今井 澂

国際エコノミスト

※本記事は『日本経済大復活 ゴールデン・チェンジ』(Gakken)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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