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auが沖縄で「一人勝ち」するワケ 本土とは異なる商習慣「オキナワ・ルール」に学べ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月19日 8時15分

 逆に「細かさをあまり求めない」ということが、プラスに働く場合もある。アバウトなまま走り出すことを「まず行動してやりながら軌道修正する」という、海外企業に多いアジャイル型思考と結び付け「今70点なら、30点の伸びしろがあると考えればいい」と伊波氏は提案する。

 「日本の基準で考えると『アバウトさ』はマイナス要素に見えるかもしれませんが、この考え方自体は世界的にはスタンダードです」(伊波氏)

●auが沖縄でシェア一強を築けたワケ

 伊波氏は強調する。「本土から『沖縄支店』で進出しようとするとあまりうまくいきません。沖縄の資本をちゃんと入れて、沖縄の社名にして、沖縄のリーダーや幹部を使って、沖縄のやり方で進める『現地法人』にすることが大事です」

 それが決定的に現れているのが、携帯キャリアのシェアだ。全国的にはdocomoブランドが業界トップだが、沖縄ではauブランドが約5割のシェアを占め、一強という様相だ。それは、auブランドの現地法人として「沖縄セルラー電話」が存在感を放っていることが大きいといえる。auの名を冠した地元テレビ番組があったり、各種イベントを開催したりと、地元に根付いた活動が多い。中学生時代の筆者は「auは沖縄発の会社だ」と思っていた時期もあるほどだった。

 「沖縄セルラー電話は、沖縄の会社としてのイメージがあり、経営者の顔が見えているからこそあれだけ成功していますし、地域貢献もしています」と伊波氏。沖縄式へと積極的に寄せていくことを吉とする背景について「沖縄の地元愛が強いからです。特にBtoC産業は、この“ルール”を守らないと致命的だと思います」と断言する。

 2024年1月にはこんなニュースも飛びこんできた。旅行会社大手JTBグループの「JTB沖縄」が、4月から「沖縄JTB」に社名を変更するというのだ。「これまで以上に沖縄に根ざした会社を目指す」という理由があるという。

 「たった少しの社名変更に見えますが、すごく意味のあることです。社名の最初に『沖縄』とか『琉球』を付けると“沖縄の会社”になるんですよ。『JTB沖縄』だと、あくまで『JTBの沖縄』ですが、『沖縄JTB』だと『沖縄のJTB』というニュアンスを感じられます」(伊波氏)

●沖縄で「本土ブランド」が有利なケースとは?

 このように、沖縄では「地元企業」が有利であることを述べてきたが、必ずしもそうではないこともある。それは「クオリティーに差があって高単価のビジネスモデル」だという。場合によっては「沖縄ブランド」と「本土ブランド」をうまく使い分けることを、伊波氏は勧めている。

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