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米FRB、政策金利の誘導目標据え置き、長期見通しでは年内3回の利下げペース維持(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月22日 14時40分

添付資料PDFファイル(247 KB)

米国連邦準備制度理事会(FRB)は3月19~20日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を現在の5.25~5.50%に据え置くことを決定した(添付資料図参照)。5会合連続での据え置きとなる。この決定は参加者12人の全会一致だった。発表した声明文のうち金利以外の部分に関しても、わずかに労働市場の記述に文言修正(注1)があった以外は、前回からほぼ変更はなかった。また、今回は声明文と併せ、四半期に1度のFOMC参加者による中長期経済見通しを提示している。主な内容は次のとおり(添付資料表参照)。

(1)FF金利

このところの消費者物価指数(CPI)の上振れ(2024年3月14日記事参照)などから、利下げ回数に変更があるのか注目されていた2024年の政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標の予測中央値については、4.6%(前回見通し4.6%)と、現在の水準(5.255.50%)から3回分(注2)の引き下げという見通しを維持した。後述するようにインフレ率の見通しは若干上振れしており、それにも関わらず、年内の引き下げ回数を維持したという点ではハト派的なスタンスをとったと言える。ただし、個々の参加者のスタンスを見ると、2024年の金利水準について、現在の水準維持を想定する者が2人(前回2人)、1回分の利下げを想定する者が2人(同1人)、2回分の利下げを想定する者が5人(同5人)、3回分の利下げを想定する者が9人(同6人)、4回分の利下げを想定する者が1人(同4人)、6回分の利下げを想定する者は0人(同1人)となっている。これは参加者の過半が引き下げ回数を減少させたことを意味しており、その意味では前回よりも若干タカ派寄りとなったと言える。

2025年については3.9%(前回3.6%)とし、前回会合と比べて引き下げ回数が1回分減少しているほか、長期見通しも2.6%(2.5%)と若干上振れしている。長期見通しの上振れに関しては、ジェローム・パウエル議長が記者会見での質疑で「直感では、金利が(新型コロナウイルスの)パンデミック前の超低水準に回帰するとは思わないが、長期的な金利水準が最終的にどの地点に収まるのかについては、多大な不確実性がある」と述べており、今回の長期金利見通しの上振れが景気に中立的な金利の上振れを意味するかどうかの判断は避けている。

(2)インフレ率

2024年のインフレ率(PCE)の予測中央値は2.4%と、前回見通しと変更はなかったものの、FOMC参加者の予測レンジは2.2~2.9%(前回2.1~2.7%)の間とやや上振れした。また、同コアインフレ率(コアPCE)の予測中央値は2.6%と、前回見通しから0.2ポイント上方修正された。

(3)失業率

2024年の失業率は4.0%(前回4.1%)、2026年は4.0%(同4.1%)と、それぞれ下方修正された。2025年は4.1%で前回と変わらず、長期見通しは4.1%(前回4.0%)とした。

(4)経済成長率

2024年の経済成長率の予測中央値は2.1%(前回1.4%)、2025年は2.0%(同1.8%)、2026年は2.0%(同1.9%)と、それぞれ上方修正された。ただし、長期見通しは1.8%で、前回と変わらなかった。

(注1)「雇用の増加は前年はじめ以降緩やかになったが依然として力強い」との記述が「雇用の増加は依然として力強い」に変更された。

(注2)通常FF金利は0.25ポイントの幅で利上げ・利下げが発表される。

(加藤翔一)

(米国)

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