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米大統領選挙予備選スーパーチューズデー、トランプ氏、バイデン氏ともに事前予想どおり圧勝(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月7日 11時30分

米国で3月5日、2024年大統領選挙に向けて16州と準州の米領サモアで予備選挙が行われた(注1)。共和党ではドナルド・トランプ前大統領が15州中14州で、民主党ではジョー・バイデン大統領が米領サモアを除いた15州全てで、それぞれ勝利を確実にした。近年、大統領選挙が行われる年は、2~3月の火曜日に集中して予備選挙が行われることが慣例化しており、3月5日はスーパーチューズデーと呼ばれている。

共和党では、これまでに複数の主要候補が撤退したことから、トランプ氏とニッキー・ヘイリー元国連大使の事実上の一騎打ちになっていた。共和党の代議員数は2,429人で、大統領候補者として指名されるには、過半数である1,215人以上を獲得する必要がある。スーパーチューズデーでは、代議員数が最多のカリフォルニア州(代議員数169人)、2番目に多いテキサス州(161人)を含め、この日だけで全代議員数の約35%、指名獲得に必要な過半数の70%以上にあたる865人を対象とした予備選挙が実施された。このうち、トランプ氏がバーモント州以外の14州で勝利し、これまでの結果と合わせて、獲得議員数を1,040人まで伸ばした(CNN米国東部時間3月6日10時時点、注2)。3月15日までに行われる共和党予備選挙で争われる代議員数は179人で(注3)、トランプ氏がこれらを全て獲得できれば、過半数到達に必要な残りの代議員を獲得することになる。

一方で、ヘイリー氏はバーモント州で勝利したが(2024年3月7日記事参照)、同州の代議員数は9人のみで、これまでに獲得した代議員数は86人にとどまる。この結果を受け、ヘイリー氏は3月6日、地元のサウスカロライナ州で演説を行い、予備選挙からの撤退を表明した(議会専門誌「ザ・ヒル」3月6日、注4)。ヘイリー氏にとっては、中道派が多いとされた2戦目のニューハンプシャー州や(2024年1月24日記事参照)、地元のサウスカロライナ州で支持を拡大できなかったことが響いた(2024年2月27日記事参照)。

ヘイリー氏の撤退を受け、共和党の上院院内総務のミッチ・マコーネル議員(ケンタッキー州、注5)はトランプ氏支持を表明した(議会専門誌「ザ・ヒル」3月6日)。長年、上院で共和党トップを務めてきたマコーネル氏の支持は、トランプ氏の指名獲得にさらに追い風になる。さらに、トランプ氏は複数のスキャンダルを抱えていることが懸念されていたが、そのうちの1つである選挙への参加資格の有無については、連邦最高裁判所が3月4日に認める判断を下した。コロラド州最高裁判所が、トランプ氏が共和党候補者を決める予備選挙に参加する資格はないとする判決を出していたが(2023年12月21日記事参照)、最高裁は、連邦政府の役職者や候補者に対して合衆国憲法修正第14条第3項(注6)を施行する責任を、憲法は州ではなく議会に課しているとしてこの判断を覆した。ただし、トランプ氏はその他の事案でも起訴されており、2021年1月の連邦議事堂襲撃事件に関する起訴の影響が大きいとの見方が多い。有罪判決を受ければ半数以上が同氏を支持しないとする世論調査もあり(2024年2月1日記事参照)、トランプ氏にとっては、本選に向けて裁判の行方が引き続き注目点になる。

民主党のバイデン氏は、スーパーチューズデーでの予備選挙を含め、これまで全ての州で勝利している。今回、米領サモアで実業家のジェイソン・パーマー氏に敗れたものの、得票率が競っていたことから、6人の代議員数を3人ずつで分け合う見込みだ。この結果、民主党の全代議員数3,934人のうち1,572人を獲得し、過半数である1,968人にまた一歩近づいた。ただし、ミネソタ州では「支持者なし」が19%(CNN、開票率89%時点)となるなど、いくつかの州では、バイデン氏に対する一定の反対票が投じられた。2月27日に行われたミシガン州でも支持者なしが13.2%(CNN、開票率96%時点)に上り、パレスチナ自治区ガザで攻撃を続けるイスラエルを支援する、バイデン政権に対する抗議票とみられている(ロイター3月5日)。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(注1)民主党・共和党ともに予備選挙が行われたのは、アラバマ州、アーカンソー州、カリフォルニア州、コロラド州、マサチューセッツ州、メーン州、ミネソタ州、ノースカロライナ州、オクラホマ州、テネシー州、テキサス州、ユタ州、バージニア州、バーモント州。民主党のみはアイオワ州、米領サモア。共和党のみはアラスカ州。

(注2)本記事中の獲得代議員数は全て、CNNの米国東部時間3月6日午前10時時点の報道内容に基づく。

(注3)共和党の予備選挙は3月8日に米領サモア(代議員数9人)、3月12日にジョージア州(59人)、ミシシッピ州(40人)、ワシントン州(43人)、ハワイ州(19人)、3月15日に北マリアナ諸島(9人)に行われる。これらを合計した代議員数は179人となる。

(注4)ヘイリー氏はトランプ氏に対して、「政治は人々を自分の大義に引き込むことであり、彼らを遠ざけることではない」「今こそ、彼の選択の時だ」と述べるにとどめ、直接的な支持表明はしなかったとみられる。

(注5)マコーネル議員は、2023年11月に院内総務から退くと表明している。

(注6)合衆国憲法修正第14条第3項は、合衆国憲法を支持するとの宣誓をして官職に就いた後に米国に対する暴動や反乱に関与した者は、国または州の官職に就くことはできないと定めている。

(赤平大寿)

(米国)

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