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なぜ学年ビリで不登校だった私は現役で東大に合格できたのか…短期間で成績が急上昇した魔法のノート術

プレジデントオンライン / 2024年3月19日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

どうすれば成績は上がるのか。サイエンスライターの竹内薫さんは「最初にやるべきは、自分にあう勉強法を探すことだ。それをみつけたことで私の成績は短期間で学年ビリからトップになった」という――。(第1回)

※本稿は、竹内薫『東大卒エリートの広く深い学び方』(かんき出版)の一部を抜粋したものです。

■成績ビリだった私が勉強好きになったきっかけ

私が通いはじめた科学教室は、クラスの中で成績がトップの子だけが参加するような教室でした。それなのに、担任の先生はクラスの中で成績がビリだった私を入れてくれたのです。

帰国子女だった私は漢字が苦手で、話す日本語の言葉もあやしかったにもかかわらず、なぜその科学教室に入れてくれたのか?

いまでも時々、当時のことを考えることがあります。これは私の想像にすぎませんが、私が算数や理科が好きなことを見抜き、自分の得意科目で成長できるならばと、考えてくれたのかもしれません。そう思うと、感謝の気持ちしかありません。

実際に科学教室に通ってみると、担任の先生が考えてつくったカリキュラムはワクワクするようなものばかりでした。星座を観察したり、小動物の生態を観察したり……。それはまさに当時、日本の学校の授業にはなかった「プロジェクト型」の学習でした。

「あー、科学ってこんなに面白いんだ!」不登校だった私をそんなふうに、それまで味わったことのなかった気持ちにさせてくれたのが科学だったのです。科学を通じて、私は次第に学校に通えるようになり、学校生活にも馴染めるようになりました。

さらに、科学教室や学校で科学の好きな子たちと仲良くなり、科学に関する本を読み漁り、それとともに漢字も覚えられるようになっていきました。これが、私の人生における最初の「融合学習」だったのかもしれません。

■視覚的な勉強と聴覚的な勉強

おそらく、担任の先生はそうしたことを期待して私を科学教室に誘ってくれたのでしょう。いずれにしても、科学との出合いが私の人生を一歩も二歩も前進させてくれたことはたしかです。しばらくすると必修漢字もすべて覚えきり、アメリカ生活の2年間のブランクを取り戻すことができました。

やっとビリから脱出したものの、中学校に入るくらいまでは成績がよかったというわけではありません。どんなに必死で勉強しても、クラスで真ん中くらいの成績を取るのがやっとでした。

勉強中に頭を抱える子どものイメージ
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

私が中学1年生だったあるとき、だったと思います。そんな私を見かねてなのか、当時小学校の教師をしていた伯母が学習教材を2冊買ってくれました。たしか『自由自在』という参考書と、いまはもうないかもしれませんが『トレーニングペーパー』というドリルです。

特にトレーニングペーパーは、イラストがたくさん入っていて、楽しく勉強できるものでした。それからは、もらった参考書とトレーニングペーパーを使って、主に算数と国語の予習と復習をするようになりました。

しばらくして予習と復習の習慣が身についた頃、勉強中にふと気づいたことがあります。私は視覚的な勉強が苦手なのではないか……と。

■自分にあった勉強の方法

私たちは普段、五感を使って物事を理解しています。「目で見たほうが覚えやすい」という視覚優位タイプや、「音を耳で聞いたほうが覚えやすい」という聴覚優位タイプなど、人によって得意な方法が異なります。これは勉強も同じ。勉強の方法によって、理解力や記憶力に差が出ることがあるのです。

私の場合は、音を耳で聞いたほうが覚えやすい聴覚優位タイプでした。たとえば√2(ルート2)を覚えるとき、「一夜一夜に人見ごろ(ひとよひとよにひとみごろ)」と語呂合わせで覚えたりしますが、このように音で覚えるほうが自分に合うと気づいたのです。

その後は自分で「微分積分」の公式を「上ポンマイナス下ポン」といった語呂や音を勝手につけて、覚えたりするようになりました。ずっとあとになって知ったことですが、多くの天才数学者も、公式に自分が好きな音をつけたり、何か道具を使ったり、なかには勝手に記号をつくったりして覚えていたようです。

伯母からもらった参考書とトレーニングペーパーを使ってひたすら予習と復習を繰り返し、さらに自分に合う勉強法に気づいて暗記に活用したりして学習するうち、私の成績は徐々に上がっていきました。そして中学2年生になったとき、成績で学年トップになったのです。

■万人に共通する正解はない

伯母からもらった参考書にもトレーニングペーパーにも、何か特別な成績アップの秘訣(ひけつ)のようなものが書かれていたわけではありませんでした。基本的な予習と復習のやり方といった、ごく普通の勉強法について書かれていただけだったと記憶しています。

では何が、私の成績を短期間で学年トップまで押し上げてくれたのか?

それは、自分に合う勉強法を見つけることができたことが、一番の要因だったのだと思います。「頑張っているのに成績が上がらない……」「そもそも勉強が面白いって思えない……」そんなふうに感じている人がいるなら、それは自分に合わない勉強のやり方をしているからかもしれません。

まず理解しておいてほしいのは、勉強法は人それぞれであって、万人に共通する正解はないということです。私の経験からは、「この勉強法がおすすめ」や、逆に「この勉強法では意味がない」などというものは、ほとんどないといっても過言ではありません。

自分に合う勉強法を探す秘訣は、まわりの意見に流されず、あくまで「自分に合う勉強法を見つけよう」という気持ちを持つことだと思います。

「勉強が苦手」「勉強が嫌い」という人は、おそらく親や先生などまわりから言われて勉強しているのではないでしょうか。そのような受け身の姿勢ではなく、自分に合う勉強法を探り、工夫しながら見つけるのが理想。試行錯誤を重ねてこそ、自分に合う勉強法が見えてくるものです。

■困ったときの伯母頼み

そのためには、まずはいろいろと試してみることが大切です。私の場合は、先生が板書した文字を見ながら理解するより、自分のペースで知識を得ていくタイプなのだと気づきました。そう、「プロジェクト型の勉強法」です。

この勉強法が自分に合うと気づいてからは、面白いほど成績が伸びていきました。自分に合う方法で勉強すると学ぶことが楽しくなっていき、難なく継続できるようになって、成績が上がっていったのです。

もう1つ、伝えておきたいことがあります。伯母が、またしても参考書を買ってくれたのです。まさに、「困ったときの神頼み」ならぬ、「困ったときの伯母頼み」といったところでしょうか。

その参考書は「ノートの取り方」についての本でした。本のタイトルはもう忘れてしまったのですが、勉強時のノートの取り方について詳しく解説していました。伯母はきっと、私のノートの取り方を見て、「あらあら、こんなぐちゃぐちゃにノートを取って……。これはダメだ!」とでも思ったのでしょう。

■確実に記憶に残るノート術

私はその本を読んで、「ああそうか、みんなはこうやってきれいにノートを取っているんだ」と初めて気づいたのです。以来、その本を活用して、メモした重要箇所に線を引いたり、覚えようと思ったところに小見出しをつけたりして、整理しながらノートを使うようにしました。

竹内薫『東大卒エリートの広く深い学び方』(かんき出版)
竹内薫『東大卒エリートの広く深い学び方』(かんき出版)

もう少し付け加えると、授業中は単にノートを取るだけではなく、あらかじめ少しスペースを空けておいてあとからそこに資料を貼ったり、重要なポイントを書き込んだりと、見た目でもわかりやすいノートの取り方をするようにしました。

こうしたノートの取り方は予習や復習をするときにも役立ちます。あらかじめノートを見やすく整理しておくと、授業のときはその日に教わる内容を事前に予習しているので理解が深まります。

さらに復習で見返すと、確実に記憶に残るようになりました。授業でいきなり先生が新しい内容を教え始めたとしても、「あれ、そういえばこの内容はノートを整理するときに教科書に書いてあったな」とか、「トレーニングペーパーのあそこにあったな」という感じで、記憶を呼び起こしながら関連づけをして授業を受けられるようになりました。

復習をするときは、あらかじめ用意したノートの余白部分に授業で習った重要なポイントを記入しておき、テスト前も余裕を持って勉強できる習慣が身につきました。

自分に合う勉強法を見つけられた私は、2度のビリを体験したにもかかわらず、当時、難関校として知られていた筑波大学附属高校と開成高校に合格することができたのです。

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竹内 薫(たけうち・かおる)
サイエンスライター
1960年、東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科(科学史・科学哲学専攻)、東京大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学理論専攻)。理学博士。大学院を修了後、サイエンスライターとして活動。物理学の解説書や科学評論を中心に100冊あまりの著作物を発刊。物理、数学、脳、宇宙など、幅広いジャンルで発信を続け、執筆だけでなく、テレビやラジオ、講演など精力的に活動している。

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(サイエンスライター 竹内 薫)

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