スパルタやり直し100回でも健気に即答…ワークマンがAI活用で「外注費数百万円→0円」「売上3倍」実例公開
プレジデントオンライン / 2024年4月26日 7時15分
■出社してまず「おはよう」気軽に何でも依頼
【ワークマン】ブランドロゴの制作
私にとっては、常に近くにいるアシスタント的な存在になりました。朝出社すれば「おはよう」とあいさつしますし、ときどき褒めると機嫌が良くなって、なんとなくいいアウトプットをしてくれる気がします。
当社は今年2月に新ブランド「Workman Kids」で子供服市場に参入しました。カラフルなロゴが好評をいただいていますが実は生成AIを利用して作成したものです。私はクリエイティブの部分に携わり、販売促進や広報の担当をしていますが、ロゴをつくるとなると、これまでは外注するのが一般的だったため、時間もコストもかかっていました。今回は、ChatGPTと画像生成AIで内製したため、数百万円のコストを削減することができたのです。
■AIは100回やり直しさせても平気。数百万円レベルの外注費がゼロに
ChatGPTの大きなメリットは、100回やり直しをさせても、「勘弁してください」とは言わないところです。最初から完成度の高いものが出来上がってくることは期待できませんが、人間が手を加えながらプロセスの中でChatGPTを活用することで、大幅な時間短縮とコスト削減が可能になりました。これまでのようにロゴを外注していれば、コンセプトを伝えて最初の案が出てくるまでに2〜3週間かかったはずです。そこから修正を依頼すると、新しい案が出てくるまでに再び2週間ほどかかります。この繰り返しで実際にロゴができるまでに3、4カ月かかっていたでしょう。外注せずChatGPTを活用したことで、すぐ具体的なイメージがアウトプットされ、ブラッシュアップを重ねてより良いデザインに導くことができました。
ロゴをつくったときには、ブランドコンセプトを打ち込んで出力されたロゴのイメージ画像をたたき台にしました。イメージ画像に実際のフォントを当て込んでみるなど、社内で加工を繰り返しながら完成させました。最初は漠然と「こんなロゴが欲しい」と社内で考えていたイメージがChatGPTによって画像化されると、方向性を判断しやすくなります。「フォントは太くしたほうがいい」「カラフルにしたほうがキッズっぽい」など、スタッフからどんどん意見が出てくるようになりました。それを繰り返して正解を掘り当てていく。その結晶が最終的にロゴになったのです。
■ChatGPTをPOPづくりにも活用
最近はPOPづくりにも活用しています。当社ではこれまで、キャッチコピーをいれたPOPは使っていませんでした。POPは利用していましたが、商品名と価格に加え、特徴が少し書かれているシンプルなものだったのです。しかし、当社には機能性が高い商品が多く、それをアピールするために、手書き風POPをつくることにしました。
たとえば、「ワークマンでデニムの上下を売ろうと思うのですが、いいキャッチコピーないですか」とChatGPTに問いかけます。「その商品にはこんな特徴があって」なども付け加えます。あるいは「○文字以内で『親しみやすい表現』『ちょっと強気の表現』『丁寧な表現』で3つの案を出してください」と指定することも可能です。アウトプットされた文案の中に、ヒットするものが出てきます。
■目指すのは「AI Readyの企業」
ワークマンは「AI Readyの企業」を目指しています。AI Readyとは、日々進歩が止まらないAIをいついかなるときでも上手く活用するために準備できている状態を指します。当社は、もともと全社員がエクセルを習得し、それに基づいた数字で話ができるようにすることで、ミーティングを効率化したり、上下関係を超えたコミュニケーションを可能にしてきましたが、AIの進歩はそれを凌ぐ勢いです。現在ChatGPTに関しては「使いたい人は積極的に使って」という会社のスタンスですが、エクセル活用でデジタル慣れしている社員たちの中には、早々から当たり前に業務に組み込んでいる人もいます。特に気負わず、ちょっと相談するくらいの感覚からChatGPTを使い始めるのが、上手に使いこなすためのコツではないでしょうか。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年5月3日号)の特集「AI時代の生き方大全」の一部を再編集したものです。
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株式会社ワークマン 役員待遇営業企画部兼広報部 部長
1996年入社。スーパーバイズ部、開発部を経て2020年4月より現職。SNS等のオウンドメディアやアンバサダーマーケティングなどのほか、広報・PR戦略も担当。
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(株式会社ワークマン 役員待遇営業企画部兼広報部 部長 林 知幸 構成=向山勇 撮影=関竜太)
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