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寿命を延ばそうと糖質制限する人の"落とし穴" 長寿遺伝子サーチュインは活性化するが…

東洋経済オンライン / 2024年3月3日 11時30分

(写真:Nana/PIXTA)

これまで、一般的には人の寿命を人為的に延ばすなど不可能と思われてきました。しかし、近年の科学はそれを可能にするヒントをつかみました。それがサーチュインです。そのヒントを基にした研究者の努力により、人の寿命延長はより現実味を帯びてきたのです。しかも、もたらされた長寿は寝たきりや認知症などを伴わない、いわゆる健康長寿なのです。

このような、いわば「正しい寿命の延ばし方」を査読付き論文の研究をベースに解説した今井伸二郎さんの著書『最新科学で発見された 正しい寿命の延ばし方』より一部抜粋・再構成してお届けします。

前回記事:『「寿命が短くなる」食事とそうではない食事の差』

カロリー制限は基本的に長続きしない

長寿遺伝子サーチュインを活性化させる方法を解説します。最も直接的なサーチュインの活性化は、食事のカロリー制限です。アカゲザルに30%のカロリー制限をすると、サーチュインが活性化され寿命延長が期待できます。

「寿命が短くなる食事」とそうではない食事の差

しかし、この方法はあまりおすすめできません。なぜかというと、意識してカロリーをカットする食事は食欲を激しく刺激し、相当に意思の強い人でない限り長続きしないからです。

我慢できずにカロリー制限した後に通常食に戻すと、かえって過食になってしまう場合が多く、この状況は体重のリバウンドを引き起こしてしまいます。 サーチュインの状態もカロリー制限していた間は順調に活性化していても、制限を解除した直後に脱アセチル化活性は低下し、タンパク質のアセチル化量も元に戻るのみならず、かえって増えてしまう危険性もあります。

仮に、非常に意思が強いという理由でカロリー制限を続けられたとしても、別の問題があります。おそらく、この記事をお読みの方で、今まで風邪をひいたことのない人はいないでしょう。なぜ風邪をひいてしまうのかというと、まず、体温の低下によって免疫系の機能が下がってしまいます。その結果、風邪ウイルスが体内に侵入し、免疫システムが初期防御できずにウイルスが増殖してしまい、感染状態に至ってしまうからです。

免疫系の機能を低下させるのは、体温の低下だけではありません。栄養状態の低下もまた、免疫システムの機能低下を引き起こします。カロリー制限による栄養状態の低下は直接免疫システムの低下をもたらすだけでなく、さらに体温の低下をも引き起こすのです。

食事をすると体が温かくなるのを感じたことがあるでしょう。食事により摂取した栄養素は体内に吸収され、筋肉組織などの細胞内では栄養素は呼吸により得た酸素とともに燃焼されエネルギーとなります。このエネルギーは熱エネルギーのため、当然体温も上昇します。

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