1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「高血圧」が気になる高齢者に教えたい意外な真実 若者も高齢者も「140㎜/Hg以上」基準の疑問

東洋経済オンライン / 2024年3月7日 6時40分

高血圧と糖尿病にまつわる勘違いとは(写真:stpure/PIXTA)

年齢が上がるにつれて、「高血圧」と「糖尿病」を気にし始める人は増えていくもの。数値をめぐって一喜一憂が繰り広げられるこの2つの“病気”ですが、高齢者医療の現場に長年携わってきた和田秀樹氏は「血圧は無理に下げる必要はなく、糖尿病の治療にインスリンが必須という考えは間違っている」と言います。

※本稿は和田氏の新著『「健康常識」という大嘘』より、一部抜粋・再構成のうえお届けします。

血圧が上がったからと過剰に心配する必要はない

日本で血圧の基準が定められたのは1987年のことで、当時、厚生労働省は「上(収縮期血圧)が180㎜/Hg以上」を高血圧の基準としていました。ところが日本高血圧学会は2000年、この基準を「140以上」にまで引き下げました。

さらに2019年になると同会は、高血圧治療ガイドラインの改訂に伴って、高血圧の診断基準は140以上のままとしながらも、それまで正常の血圧とされていた130~139を「高値血圧」(正常よりも高めの血圧)に分類しました。

アメリカで、2017年頃から高血圧の診断基準が140以上から130以上に引き下げられたことに追随した形で、この変更によって数値上の高血圧患者は急増しました。

そしてアメリカでは、年間3000億円程度だった降圧剤の売り上げが、基準値を引き下げた5年後には1兆6300億円にまでハネ上がったといいます。つまり、降圧剤などの高血圧治療薬をつくる製薬会社が潤ったわけです。

実は日本で「140以上」を高血圧とする基準値が示された時、高齢者に関してはそこまで求められず、70代は150未満、80代は160未満なら正常とみなす緩めの診療目標が設定されていました。

高齢者の場合、年齢に伴い血管の弾力性が失われてきて血流が悪くなり、血管に対して血流の圧がかかりやすくなります。そのため全身の臓器に血液をいきわたらせるには、ある程度血圧が高くなければいけません。

若い時よりも血圧が高いからこそ、脳への血流も十分保たれて認知症にかかりにくくなりますし、認知症になっても症状の軽い元気な状態が続くと考えられるのです。それが今では、若年者も高齢者も一律で140未満を正常とする方針に転換されました。

そもそも、100歳以上は高血圧の人が多め 

その一方、30年ほど前から100歳以上の人を対象とした研究を続けている慶應義塾大学医学部のデータでは、100歳以上では高血圧とされる人の多いことがわかっています。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください