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日本の季節行事は「食品廃棄の温床」という現実 外国人が驚く「商品の種類」とパッケージの美さ

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 11時30分

2月に撮影した、イタリア・トリノ市内大型スーパーの野菜売り場。大量に仕入れすぎたということか、20%オフの大セール中だった(筆者撮影)

お菓子を売るために発明されたと言われるホワイトデー。頂き物をしたら必ずお返しをする、という日本人のお行儀の良さ、義理堅さにピタリとハマり、定着した日本独自のイベントが、今では東アジア諸国にまで広まり人気を博しているという。だがイベント的に食べ物を売り買いするその陰で、廃棄の運命をたどるお菓子たちの存在が気になってくる。その日が目前に迫る今、日本と諸外国の食料廃棄について考えてみた。

【画像】両側ともぎっしりパスタが並んだスーパーの商品棚は、さすがパスタの国イタリア

「日本VSイタリア」どれぐらい食品を廃棄している?

世界では毎年25億トンのもの食料が廃棄されているという。2011年には13億トンだったというから、10年で2倍になってしまったのだ。この数字は総生産量の約40%、20億人分の食料を捨てている計算になる一方で、8億2800万人、10人に1人が飢餓状態で、31億人は健康的な食事が得られない状態だという(日本財団ジャーナル)。

作っておいて捨てている。世界中の人に十分に足りるだけ生産していながら栄養不良で死んでいく子どもがいる。人間って、自分も含めていったいどこまでバカなんだ、と悲しくなってくる。そのうえ、食べない食品を生産し輸送するエネルギーやコストも無駄にし、CO2の排出に貢献までしているのだ。世界の人口が激増し、食料難の時代がやってくるという近い将来に向けて、廃棄どころかすべての食料をすべての人に配分できるシステムを構築しなければいけないというのにだ。食料自給率が低い日本は、人ごととしてのんびりしている場合ではないのではないか。

農林水産省のサイトに公開されているデータによると、日本では1年間に523万トンもの食料を廃棄しているという(2021年度推計)。国民全員が、1年間毎日114g、おにぎり1個分の食べ物を捨てていた計算になるという。一方私が暮らしているイタリアの廃棄量は、1人当たり年間75g。パスタの1人前が100gとするなら、イタリア国民全員が毎日、1皿のパスタを4分の3も捨てている、そんなイメージだ。ヨーロッパではイタリアより多く捨てているのはドイツとフランスだけだという。

以上のデータを見てみると、「日本は先進国の中で食料廃棄が多くて、遅れているんじゃないの?!」と言いそうになる。先進国、と条件をつけるのは、途上国の場合は家庭やレストランなどでの廃棄よりも、生産過程や保存の過程で設備、輸送施設の問題から食料がダメになってしまうケースも少なくないというからだ。だが世界の経済大国の中で、特殊な食環境にあると思える日本を他国と比べてみると、本当に日本は廃棄が多くてダメダメなのか?という疑問も湧いてくる。日本の特殊な食環境の具体例と共に、私が暮らしているイタリアの例を交えて、比較考察してみたいと思う。

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