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国内企業が"瞑想"を取り入れてもパッとしない訳 日本人の行動力を上げる「新マインドフルネス」

東洋経済オンライン / 2024年3月26日 9時30分

ただ私(川野)は精神科の医師でもあり、坐禅をするとこんな効果があります、と医学的なエビデンスを挙げて患者さんにおすすめすることもあります。

誰であれ、何かしらご利益があったほうが、実際にやってみようと思えるからです。

おそらく、禅の修行を長く積まれた偉い和尚さまに坐禅の効果を尋ねても、「坐禅をしても、何にもならん」と一言返ってくるでしょう。

それは「ご利益がない」と言っているのではありません。

「ご利益を求める心で修行してはいけないよ」というのが、禅本来の考え方なのです。

「欧米的マインドフルネス」がメジャーに

目的を求めてはいけない、でも実践することにはメリットがある。

この一見矛盾するかのような「日本的マインドフルネス」の考え方が、資本主義に根差した欧米では理解されにくかったために、いろいろな要素を削り落として極めてシンプルにした「欧米的マインドフルネス」が広まったのではないか。

そんなふうに私は考えています。

閑話休題。こうして、禅がマインドフルネスへとアレンジされる過程で、モメンタムの要素は影をひそめていきました。

しかしそれは、欧米においては狙い通りの成果をもたらしたといってもいいでしょう。

リラックスと集中力強化のためのスキルとしてマインドフルネスはわかりやすく体系化され、海外企業に定着していきました。

ところで、このような疑問を持って私は、マインドフルネスをビジネスの世界で実践的に活用することから、経営コンサルタントとして企業内の創造性開発や人材のパフォーマンス改善、組織開発などに取り組んでいる知人の恩田社長に意見交換を持ちかけました。

その際、恩田さんは次のような話をしてくれました。

「欧米の文化は個人主義的に自立心を幼少から醸成するので、もともと前進思考のモメンタム的な素養を持っている人が多いということです。

そんな彼らにとっては、心を癒やす必要性には目が向いても、勢いづける必要性への関心は低かったのかもしれません。

そういった文化の違いを考慮しないで、欧米で流行りだからと丸呑み的に日本に持ち込んでも(逆輸入ですが)、やはり体感的にどこか違和感が生じてくるので定着が難しくなっているのかもしれませんね」

確かにこれも、マインドフルネスとモメンタムが分離してしまった一因のように思えます。

私から見ても、欧米から逆輸入されるかたちで日本に上陸したマインドフルネスは、欧米ほどには定着していないように感じられます。

日米における、マインドフルネスの違い

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