「出世嫌がる若者」理解せぬ中高年社員の意外な盲点 「ワークライフバランス」を重視する納得の理由
東洋経済オンライン / 2024年3月27日 11時50分
現在の若手社員は給料や出世に固執せず、入社数年で辞めてしまう人もめずらしくありません。それはなぜなのでしょうか。著書に『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』などがある漫画家・イラストレーター・グラフィックデザイナーのJamさんが、自身の経験を基に解説します。
「ワークライフバランス」重視する若者との向き合い方
最近の若者は、給料や出世より「ワークライフバランス」を重視する傾向にあります。一世代前に重視された「昇進」や「高い給料」より、「仕事と生活を調和させる」ことのほうが大事だと思う人が増えているのです。
ただ仕事をするだけではなく、やりがいが重要であるのに加え、趣味や休暇や育児など、生活とのバランスが大切だとしています。これは、政府広報の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」でも策定されています。
しかし、昇進や給料のために仕事中心で滅私奉公してきた中高年社員世代からすると、この考え方との間に溝が大きいようです。「ワークライフバランス」を重視する若者たちに、中高年社員たちはどのように向き合っていくべきでしょうか。
今の若者たちはなぜ、出世や給料に執着しなくなってしまったのでしょう? あるアンケートや調査によると、20代の7割以上が特に出世をしたくないそうです。
理由は「出世をすると責任ばかりが増える、それに見合った給料が得られない。忙しくなればプライベートな時間がなくなる、上司を見ていて大変そうだから」などです。つまり、会社で働く上司や先輩を見て、「出世をしてもあまり報われない」と感じているのです。
多くの企業は、一定の年齢を超えると給料の天井が見えてきます。そして、昇進のために残業や転勤などの滅私奉公を求める傾向にあります。これは、なかなか正社員を解雇できない労働関連の法律のせいもあります。
企業側としては「簡単に人を増やしたり解雇したりできないから、忙しいときは残業してほしいし、転勤にも応じてほしい。定年まで雇えるようにするから、給料も生活できるレベルで納得してほしい」というわけです。
また「そういった条件を飲むから、簡単に解雇しないでほしい」と、雇われる側も長い年月これを受け入れてきました。中高年社員世代は滅私奉公にあまり抵抗がないし、「激務=昇進&高収入」が当たり前の価値観の中で生きてきたのです。
そのため、定時に帰ったり転勤を断る「ワークライフバランスを重視する若者」を、「わがまま」や「甘い」と感じたり、理解したりすることが難しいのです。
いつの時代も働き方は変わっていく
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