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「紅麹」と醤油や酒の醸造用「麹」の決定的な違い そもそも「麹」とはどのようなものかを解説

東洋経済オンライン / 2024年3月27日 20時30分

紅麹が用いられている食品として知られる沖縄の「豆腐よう」(写真:kotechai1/PIXTA)

サプリメントによる健康被害の問題で「紅麹」という言葉が連日ニュースに登場するようになりました。原因とされる「未知の成分」の実態や混入経路は特定されていませんが、そもそも「麹」がどのようなものか、ニュースを見て気になった人もいるのではないでしょうか。今回の件とは別に一般的に「紅麹」と発酵食品で使用される「麹」とはどう異なるのか、室町時代から600年続く種麹メーカーの第29代当主であり『ビジネスエリートが知っている 教養としての発酵』の著者である村井裕一郎氏が解説します。

そもそも「麹」とはいったい何か

「麹」とは、米や麦や豆などの穀物に麹菌を生やしたもののことです。米に麹菌が生えれば米麹、麦に麹菌が生えれば麦麹、豆に麹菌が生えれば豆麹、となります。

食卓調味料として使われる塩麹、醤油麹、コンソメ麹などは、それぞれ、塩や醤油、野菜などを麹と混ぜた調味料や料理の名前になります。これは麹と他の食材を混ぜたものであって、「穀物に麹菌を生やしたもの」という本来の麹の定義とは異なります。

では、麹は味噌、醤油、清酒といった醸造食品造りの中でどのように用いられるのでしょうか? 醸造食品においては、麹は酵素の供給源としての役割が大きいです。例えば、日本の清酒造りでは、麹の持つ酵素の力によって、原料であるお米のデンプンが分解され糖になり、その糖を酵母が食べてアルコールを生産します。

今回注目されている紅麹ですが、紅麹は一般的な味噌や醤油、清酒、焼酎などに使われる麹とは生物学的にも異なる菌を使用しており、また、食品として利用される主な目的も異なります。

紅麹は穀物(主に米)に紅麹菌を生やしたものです。紅麹はその名のとおり赤い色をしており、色素、着色料としても用いられてきました。沖縄の「豆腐よう」などが紅麹を使った有名な食品です。また、近年では抽出した色素が着色料としてさまざまな食品に用いられています。

先述のように麹とは「穀物に麹菌を生やしたもの」です。そのため、紅麹も「麹」となります。

一般的な味噌や醤油、清酒、焼酎などに使う麹菌には「アスペルギルス属」と呼ばれるカビの仲間が多く用いられています。それに対して、紅麹に使う紅麹菌は「モナスカス属」と呼ばれるカビの仲間が用いられます。

生物学的に異なる菌でも「麹」と呼ばれる背景

そもそも、私たち人間は、微生物学が発展する前から発酵食品を作ってきました。そのため、生物学的な定義の正確さより、それぞれの文化の中で慣習的に呼んでいた言葉が反映されていることも多くあります。

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