トランプがユダヤ系富豪から巨額献金される事情 タブーを破って米大使館をエルサレム移転
東洋経済オンライン / 2024年7月18日 16時0分
2016年アメリカ大統領選挙では大方の予想を覆し、民主党ヒラリー・クリントン候補を破った共和党ドナルド・トランプ前大統領。
今年11月の大統領選で捲土重来を期すトランプの「勝利の方程式」は、8年前と同じく、リベラルなエリートに反感を持つ親イスラエルのキリスト教福音派の支持と、ユダヤ系大富豪による巨額の献金です。
トランプとイスラエルの密接な関係はいかにして生まれ、育まれたのか。共同通信エルサレム、ニューヨーク支局長などを歴任した、アメリカ・イスラエル関係と宗教の研究者・船津靖氏の新刊『聖書の同盟 アメリカはなぜユダヤ国家を支援するのか』より、一部抜粋、再構成してお届けします。
トランプのタブー破り、米大使館エルサレム移転
ドナルド・トランプ米大統領(在2017〜21)は2017年5月の初外遊でサウジアラビア、イスラエル、パレスチナ自治区を訪問し、トランプ流の中東外交を始めました。現役の米大統領では初めてユダヤ教の聖地「西の壁」(嘆きの壁)で祈りを捧げました。
トランプ政権は2017年12月、イスラエルが第三次中東戦争後に併合したエルサレムをイスラエルの首都と承認し、地中海岸テルアビブの米大使館を山間の聖地エルサレムに移転する方針を発表して世界を驚かせました。イスラエルが1980年にエルサレム首都化を宣言した際、国連安全保障理事会は非難決議を採択しています。トランプの移転決定は国際法違反でしたが、イスラエル国民と米福音派は喝采しました。
翌2018年5月14日、エルサレムで新大使館の開館式典がおこなわれました。イスラエルが独立宣言を発した日からちょうど70年。トランプ政権はその約1週間前、オバマ前大統領が苦心の末に結んだイラン核合意からのアメリカの離脱を宣言していました。
共和党主導の連邦議会が1995年に採択した「エルサレム大使館法」は移転を義務付けていましたが、クリントン、ブッシュ(子)、オバマの歴代大統領は、和平交渉を仲介するアメリカの立場を損なうとして同法の適用を繰り延べる措置を取り続けてきました。
トランプの決定はタブーを破る異例の親イスラエル政策でした。
トランプとユダヤ社会のつながり
大使館の開館セレモニーにはトランプの愛娘イヴァンカ(大統領補佐官)、娘婿のユダヤ教正統派ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問、ラスベガスのユダヤ系大富豪アデルソン夫妻、米キリスト教福音派のへイギー牧師らが参列しました。
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