特集2017年11月21日更新

「4強」に異変!?どうなる回転寿司業界の勢力図

回転寿司チェーンの「4強」や「四天王」などと呼ばれる「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」「かっぱ寿司」。この「4強」について、前回特集した「しのぎを削る回転寿司4強の戦い」以降の動向やトピックスをまとめました。

目次
回転寿司「4強」の現状
■ 「4強」最近の動向&トピックス
スシロー くら寿司 はま寿司 かっぱ寿司

回転寿司「4強」の現状

売上高の順番は「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」「かっぱ寿司」

「4強」それぞれの最近のトピックスを見ていく前に、4強のランキング(売上高による比較)をおさらいしておきます。
ただ、各チェーンを運営する企業の決算期が違っていたり、非上場企業もあるなどして、「最新の数値をきっちりそろえて比較する」というのは難しいのが実情です。そこで、比較的最近(10月に)配信されてきたZUU onlineの記事を参考にしてみます。

直近の各社の有価証券報告書からの売上高ベースで比較すると、あきんどスシローが1477億200万円と業界のトップを走る。
その背中をくらコーポレーションが運営するくら寿司が売上高1136億2635万円、ゼンショーホールディングスが展開するはま寿司が売上高1090億9300万円で激しく追っている構図だ。
【回転寿司チェーン各社の売上高】
順位/店舗/売上高
1. スシロー/1477億200万円
2. くら寿司/1136億2635万円
3. はま寿司/1090億9300万円
4. かっぱ寿司/794億2200万円
5. 元気寿司/349億3657万円

ということで、「スシロー」が2位以下に明確な差をつけて1位。「くら寿司」と「はま寿司」が僅差で2位争い、「かっぱ寿司」は少し水をあけられての4位といったところです。

各社が狙うのは海外市場

4強を筆頭に激しい競争を繰り広げている回転寿司チェーン各社は、最近の数値を見ても売上などを伸ばして「好調」が伝えられている一方で、国内市場だけでは先行きが厳しいとの見方もあります。

消費者の節約志向、少子高齢化による労働力減少に伴う人件費の高騰、回転ずし業界のみならず他の飲食業界との顧客の争奪戦など国内のマーケットの先行きには不透明感が漂う。
こうしたなか、各社にとって成長戦略として取り込みたいのが海外市場だ。

以上のように「4強」の現状を簡単に紹介したところで、次からは4強それぞれの最近の動向を見ていきましょう。

スシロー

業績好調 営業利益は22.6%増

まずは、業界首位のスシロー。相変わらず業績は好調のようです。

持ち株会社スシローグローバルホールディングスの2017年9月期(16年10月〜17年9月)連結業績は、売上高1560億円(前年比5.9%増)、営業利益92億円(22.6%増)と好調。来店客数は累計1億5000万人を突破した。

業界5位の元気寿司と経営統合に向けた協議開始

9月、最大手のあきんどスシローを運営するスシローグローバルホールディングスと5位の元気寿司がそれぞれの大株主である神明のもとで経営統合に向けた協議に入った。

経営統合実現なら「独走態勢」へ

この経営統合が実現すれば、業界2位のくら寿司を大きく引き離して「独走態勢」となりそうです。

スシローの売上高は1477億円で、5位の元気349億円と合わせると、1800億円規模になる。2位のくら寿司の1136億円を軽く凌駕し、以下、ゼンショーHD傘下のはま寿司1090億円、かっぱ寿司794億円なども圧倒することになる。

「独走」っぷりを確認してもらうため、冒頭でも紹介した数値を再掲しておきます。

【回転寿司チェーン各社の売上高】
順位/店舗/売上高
1. スシロー/1477億200万円
2. くら寿司/1136億2635万円
3. はま寿司/1090億9300万円
4. かっぱ寿司/794億2200万円
5. 元気寿司/349億3657万円

経営統合を主導しているのはコメ卸最大手の「神明」

経営統合の舵を取っているコメ卸最大手の神明は元気寿司の親会社で、以前かっぱ寿司と元気寿司との経営統合を目指し、頓挫した過去があります。

神明は2012年、元気寿司と資本業務提携契約を締結。元気寿司の株式の28%を握り、筆頭株主となった。以降、「うまいコメ」にこだわり、「回転しない寿司」を積極的に展開。翌年、元気寿司はかっぱ寿司を展開するカッパ・クリエイトと、将来の経営統合を視野に業務提携契約を締結し、藤尾氏はカッパの社長も兼務した。
だが「元気カッパ連合」は1年足らずで頓挫する。

2018年春に台湾進出 さらなる海外展開も視野

スシローグローバルホールディングスが2018年春に台湾へ進出する。韓国に次ぐ海外展開となる。台湾では将来数十店舗の規模を構想するなど大規模なものとなりそうだ。さらに2019年9月期までに台湾に次ぐ第3、第4のエリアへの展開も視野に入れており、同社の海外展開が本格始動しそうだ。

ちなみに4強の中では、くら寿司、はま寿司がすでに台湾へ出店しています。

経営統合の狙いに海外展開のノウハウ共有も

元気寿司との経営統合の狙いのひとつに「海外展開の強化」があると指摘されています。

スシローが統合に向けたパートナーとして元気寿司を選んだ理由の1つとして、その海外ネットワークが挙げられるだろう。元気寿司は、アメリカや中国、インドネシア、フィリピン、カンボジアなど積極的なネットワークを構築し、海外店舗は158店舗(17年3月末)と、国内店舗数を上回っている。

「地元の旬の天然もの スシロー×羽田市場」をスタート

「チェーンで国産天然魚」に挑戦

11月15日からは、日本各地の天然魚を提供するプロジェクト「地元の旬の天然もの スシロー×羽田市場」をスタートさせています。

これは地方の漁師と直結し、朝獲れた新鮮な魚介類を羽田空港内の「羽田鮮魚センター」を通じて仕分け・加工し、その日のうちに飲食店や小売店に届ける「羽田市場」を運営するCSN地方創生ネットワークとあきんどスシローが資本業務提携し、日本各地の海で取れる旬の天然魚を全国のスシローで提供するというものだ。

価格は180円~280円 回転寿司では「高級ネタ」

価格は180〜280円(以下税別)と、スシローの他商品と比べるとやや強気の価格設定だが、「価値が高いものを価値に見合った価格で提供する。旬の天然ものを展開することで、町のすし屋で季節を感じるような感覚を味わってもらいたい」(水留社長)という。

水留社長「回転寿司の革命になる」

あきんどスシローの水留浩一社長は「地元でとれたおいしい旬のネタを全国のスシローで楽しむことができる。地元の漁師や漁業活性化の一助となることも目指したい。このプロジェクトが成功すれば、回転すしの革命になる」と自信を見せる。

「スシローCafe部」も発足

「スシロー×羽田市場」を発表した11月13日の戦略発表会では、スイーツ分野の強化を目指した新たな取り組み「スシローCafe部」も発表されています。

すしメニューの拡充と同時に、昨年人気店とのコラボメニューを多く展開してきたスイーツ分野では「スシローカフェ部」も発足した。スイーツ好きの意見を多く取り入れ、回転すしチェーンの枠を超えたメニューを開発していくとのこと。

9月末、島根県への出店で「全国制覇」達成

島根県初の店舗となる「出雲小山店」が9月28日にオープンし、これによりスシローは全国47都道府県への出店を達成しました。
これを記念して、島根県ゆかりの食材を使ったメニューなどを期間限定で販売するキャンペーン「全国出店記念祭」も開催されていました。

今年度中に500店舗に到達へ

好調な業績を背景にして上記のように全国各地へ出店を続けるスシローは、500店舗達成も目前に迫ってきたようです。

昨年度は35店舗を新規にオープン。これにより9月末時点で国内計476店舗体制となった。閉店は以前から少なく昨年度は1店舗のみであり、現状のペースを保つことで今年度末までに国内500店舗体制が実現できそうだ。

「Amazon Echo」に予約注文サービスを提供

11月15日より日本語版の発売が開始されたスマートスピーカー「Amazon Echo」。これに呼び掛けるだけで注文できるサービスの提供が、Echo発売と同時に開始されています。

スシローは、家庭などからEchoを通じて「お持ち帰りメニュー」を予約注文できるサービスを、Echo発売後にスタートする。Echoに「スシローのネット注文をしたい」と呼び掛け、Echoとのやりとりを通じて商品を受け取る店舗、日時、メニューなどを伝えると注文が完了。国内全店舗(478店舗)で対応する。
運営会社のあきんどスシローによれば、「今後成長が見込めるAI(人工知能)スピーカー分野にスシローのサービスを対応させることで、さまざまな層のお客さまにスシローの商品を楽しんでもらう狙いがある」という。

くら寿司

くら寿司も業績堅調

6月発表の17年10月期第2四半期の報告によると…

「くら寿司」を運営するくらコーポレーションの17年10月期第2四半期連結決算によると、売上高は前年同期比8.8%増の601億3900万円、純利益は同8.1%増の25億円となった。通期でも売上高は前年同期比4.7%増の1190億500万円、純利益は同2.2%増の45億2800万円を見込み、順調な成長路線を描く。

現時点での最新となる9月発表の第3四半期の数値は…

●29年10月期第3四半期
 売上高:910億7600万円、純利益:33億4300万円
●28年10月期第3四半期
 売上高:840億1500万円、純利益:31億9700万円

前期(同期間)と比べ、売上高は8.4%、純利益は4.6%の増収増益となっている。

一時期は「営業利益23%減」で話題に

堅調な推移を見せるくら寿司ですが、3月に発表された第1四半期の報告書では「営業利益23%減」と報告されたことから、一部で騒がれることになりました。

くらコーポレーションは3月3日、2016年11月~17年1月期の連結決算は売上高が前年比7.3%増の301億円、本業のもうけを示す営業利益が23.1%減の14億円(前年は18億円)と発表しました。営業利益が大幅に減少しました。
同社は営業利益が減少した理由として、新規出店の増加、改装店舗の増加、新商品の販売促進費の増加、施設の建設といった一次的な費用が増加したことを挙げています。
一方、2017年3月4日付日本経済新聞は「最低賃金の引き上げに伴って1億8,000万円の負担が生じ、パート従業員の厚生年金保険への加入義務化も1億2,000万円のコスト増要因となった」と報じ、人件費の増加が主な要因と指摘しています。

この記事では、人件費率が上昇している理由のひとつとして、くら寿司のウリでもあり売上高の増加を支えている「サイドメニューの充実」を挙げ、これにより調理の手間がかかって人件費を押し上げているのではないかとし、「くら寿司の充実しすぎたサイドメニューは諸刃の剣」と指摘しています。

「シャリ野菜」寿司に賛否両論

最近のくら寿司についての話題といえば、何といっても8月末に登場した糖質オフメニューです。中でも「シャリ抜きの寿司」としてシャリの代わりに大根の酢漬けを使用した「シャリ野菜」が大きな話題となりました。

シャリ野菜は、シャリの代わりに「大根の酢漬け」を使ったまったく新しいお寿司。5ミリほどの厚さにカットされた大根を、お酢ベースに砂糖、塩、醤油、ゆず胡椒を加えた特製合わせ酢で味つけしたものです。

「果たして寿司なのか?」ネット上は騒然

この斬新なメニューに対し、「身体に良さそう」「果たして寿司なのか?」「刺身を食べればいいんじゃ…?」といった意見が出て、SNSを中心に賛否両論の声が上がりました。

2017年の夏の驚きは、回転ずしチェーンの「くら寿司」が「低糖質にぎり」を販売し始めたことですね。酢飯の代わりに酢大根を使った握り寿司(?)です。「そこまでして寿司が食べたいの?」って思ったのですが、食べた人たちのSNSでの発言は軒並み高評価でした。
ツイッターユーザーは「こういうのいつかできるだろうと思ってたけどついに来たな」「食の選択肢が増えるのはいいね」「まあシャリ残されるよりは」「なら無理に寿司食わなくていいんじゃねーーーーの!?」など、賛否両論。
「シャリが大根では寿司の味がするのか?」「なんか違う」などと否定的な向きもあった。
一方、挑戦的な試みに理解を示す声も上がっており、「糖尿病や血糖値高めの人にとってはいいと思う」「面白い!とか何だろう?って思わせる」などと書き込まれている。

喧騒をよそに売上は好調 感謝の言葉も

賛否両論ありつつも話題になったおかげか売上は好調なようで、来店客からは感謝の言葉もあるとか。9月15日に配信されてきた記事では、くらコーポレーション常務取締役・製造本部長の久宗裕行氏が以下のように述べています。

――「糖質オフシリーズ」の反響や売上はいかがですか?

「おかげさまで大反響です。私たちが想定する2倍ほど売れています。いつもは夏休みが終わるとお店の売り上げは少し落ち着くのですが、9月に入ってからむしろ勢いを増しています。ありがたいお話です」
――実際にお客さまからはどのような声が届きましたか?

「肥満を気にする方を含め、大変多くの感想をいただきました。驚いたのは『作ってくれてありがとう』といった声です。糖尿病を家族に持つ方から『これまで外食を避けていましたが、これでみんなで食事ができる』と。我々もこのシリーズを始めてみて、そうした方々が多くいらっしゃることを知りました」

上の記事によると、そもそもくら寿司側としては「賛否両論ウェルカム」という姿勢だったようです。また、この記事では「糖質オフシリーズ」の販売に至った理由、開発時の苦労話やこだわり、糖質オフシリーズの今後の展開などについても語られていますので、気になる方はぜひ読んでみてください。

新メニューは「インスタ映え」寿司

回転すしチェーン「無添くら寿司」を運営するくらコーポレーションは、11月3日に新シリーズ「竹姫寿司」計5種類を発売する。メインターゲットは女性で、「いろいろな種類を味わいたい」というニーズと、思わず写真に撮りたくなる「インスタ映え」をアピールする。

またもやネット上では賛否両論

この新メニュー「竹姫寿司」は女性がこだわる「インスタ映え」をターゲットにしているとあって、またもやネット上では賛否両論が。

発表を受け、ネット上では「普通においしそう」「インスタ映え市場は開拓せねばな」といった好意的な声、理解を示す声もある一方で、
「そもそもインスタグラマーくら寿司いくんかな?」
「写真だけ撮って回転レーンに戻す、みたいな話にならなきゃいいけど」
「全然映えてない カリフォルニアロール撮った方がマシ」
と、批判・懸念の声もある。

ただ、くら寿司の広報宣伝部の担当者によると、開発当初は「インスタ映え」という発想はなかったとか。こちらも開発の経緯などについては上の記事をお読みください。

ちなみにインスタではないですが、Twitterを軽く覗いてみたところ賛否両論ありながらも、おおむね好評といった印象でした。

はま寿司

店舗数はスシローも上回って業界No.1

はま寿司は売上高の規模で見ると現在業界3位の位置にいますが、店舗数ではスシローを上回って1位。現時点(11月19日)での「4強」の国内店舗数を調べてみたところ、以下のようになっていました。

1位 はま寿司 483店(47都道府県)
2位 スシロー 481店(47都道府県)
3位 くら寿司 407店(45都府県)
4位 かっぱ寿司 347店(35都府県)

スシローより早く「全国制覇」達成済み

ちなみに、店舗数1位になった時期が気になったので軽く調べてみたところ、フードビジネス総合研究所のコラム記事によると、2016年1月の時点で1位、その1年前(15年1月)は2位であったということから、2015年の間に1位になった可能性が高そうです。
また、上のほうでスシローが9月に全都道府県への出店を達成したという話をしましたが、はま寿司は昨年4月に京都へ「山科椥辻店」を出店して、いち早く“全国制覇”を果たしています。

業績も好評

はま寿司を展開するゼンショーホールディングスの2017年3月期の売上高は前年比3.5%増の5,440億円、営業利益は55%増の187億円でした。純利益は109.7%増の84億円で過去最高となりました。
はま寿司を主力とするファストフードカテゴリーの売上高は前年同期から38億円増加しましたが、増収の主要因としてはま寿司の新規出店が寄与したとゼンショーは発表しています。

ゼンショーホールディングスの重要な収益源に

はま寿司は、牛丼チェーン「すき家」などを運営するゼンショーホールディングス(HD)の一員で、業績が好評なことから「すき家」に次ぐ「第2の収益源」になる勢いだといいます。

ゼンショーHDでは、回転寿司店「はま寿司」が第2の収益源になりそうだ。平日は一皿税別90円という安さで提供し、人気を博している。サイドメニューも好評で、たとえば「旨だし鶏塩ラーメン」は一昨年に100万食以上、昨年は160万食以上を約2カ月間で売り上げる大ヒット商品となった。
はま寿司の17年3月期決算の売上高は前年比8%増の1090億円、経常利益は同6.1%増の45億円となっている。着実に成長している状況だ。第2の収益源としては、はなまると比較して規模が大きいので、吉野家HDを一歩リードしている状況だ。

期間限定の「フェアメニュー」が人気

はま寿司には期間限定の「フェアメニュー」と呼ばれる商品がある。今だと四国・九州の活〆ぶりとろ、北海道・三陸産のさんま、広島産のカキフライ、希少なネタであるのどぐろなどが1皿一貫100円~150円で提供されている。これらのメニューが実にうまい。1皿二貫100円の皿よりも割高だが、店に行くたびにその味にうなり、感動する。

ちなみに、上の記事で紹介されているフェアメニューは11月15日まで。16日からは「冬旬づくしととろ三昧」が開催されています。

値上げの可能性も?

はま寿司の大きな特徴は「平日は一皿90円」という安さ。ただ、ゼンショーHDはグループの飲食店の値上げを検討しているといい、その中に「はま寿司」が含まれるかは全く不透明ですが、値上げの波に飲み込まれる可能性も否定できません。

ゼンショーHDはすき家以外にも、「ココス」「ジョリーパスタ」などのファミリーレストラン、回転ずし「はま寿司」など多くの飲食チェーンを運営している。「さまざまなコスト増はすき家だけにとどまらない。値上げをする方向で、各業態の責任者と商品部が検討している。早いところでは年内もある。入客数や競合他社の動向も勘案して決めたい」(丹羽本部長)。

かっぱ寿司

食べ放題で大盛況 試験実施を経て全店舗で“解禁”

2011年にスシローに抜かれるまで売上高トップだったものの、今では「4強」の中で最下位に後退しているかっぱ寿司。そんな最近のかっぱ寿司で…というより回転寿司業界で最も騒がれた話題といえば、かっぱ寿司の食べ放題と言っていいでしょう。
最初の衝撃は6月に訪れました。

第1弾では「750分待ち」の店舗も?

かっぱ寿司は、6月13日(火)から7月14日(金)の平日14時から17時に、「食べ放題」を20店舗を対象に実施する。
価格を気にせずテーブルいっぱいにお寿司を並べられる同キャンペーン。定番のお寿司をはじめ、 サイドメニューやデザートなど80種以上の商品を対象とした、ドリンクバー付の70分間の食べ放題となる。

この時の食べ放題は20店舗限定のトライアルとして実施。回転寿司での食べ放題は異例の試みであるため、ネットなどでは発表に騒然となる一方、男性1580円、女性1380円(いずれも税抜)という値段設定には「果たしておトクなのか?」という懐疑的な意見も。
しかし、いざフタを開けてみると…

案内表示にカウンター待ち人数68(待ち時間680分)、テーブル待ち人数75(待ち時間750分)とあるのを見た『Twitter』ユーザーからは、「営業時間オーバーしてないか?」といった心配の声が続出。「こんなに人が来るとは想定してなかったんじゃないか」といったツイートも見られました。

大反響につき第2弾「新・食べ放題」を実施

第1弾の食べ放題トライアルは、かっぱ寿司の予想を上回る大反響となりました。かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイトのリリースによると、通常営業時の3~4倍の客が来店したといいます。

開催当初より、予想を上回る大反響をいただき、初日はオペレーションも追いつかずお客様にもご迷惑をおかけいたしましたが、2日目以降は社内でも改善点を洗い出し、徐々にお並びいただくお客様にもスムーズにご利用いただけるようになりました。
期間中のご利用人数としては、初日が3,999人、最も多い日では一日で5,415人、この1ヶ月ではなんと総勢115,765人のお客様にご利用いただき、時間帯比較で通常営業時の3~4倍程度のお客さまにご来店いただきました。

この好調な結果を受け、8月28日~9月8日には対象を36店舗に拡大した「新・食べ放題」がスタート。続く9月25日~10月6日の期間にも対象店舗を変えて「新・食べ放題」が実施されることとなりました。

11月1日よりついに全店舗で実施

こうして数回のトライアルを経て、11月1日からは全店舗を対象とした食べ放題「かっぱの食べホー」がスタートしています。

過去3回、店舗を限定して開催されたかっぱ寿司の「食べ放題」が、いよいよ全店舗で展開。11月1日(木)~22日(水)平日14時~17時に、定番のお寿司やサイドメニューを含む約80種類のメニューが食べ放題で楽しめます。
「不可能と言われた全店舗での食べ放題だが、これまで実施した店舗で好評をいただいた。『近くの店でもやってほしい』『また行きたい』というお客さまからの要望に応え、全店で実施する」(大野健一社長)

「食べ放題」に踏み切った背景とは?

回転寿司チェーンでは異例ともいえる食べ放題のサービスを始めた背景には、4強の中で「1人負け」とされる業績の低下やブランドイメージ刷新のつまづきがあるとされています。

著しい業績悪化

かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイトの業績は悪化しています。2017年3月期の売上高は前年比1.1%減の794億円、本業の儲けを示す営業損益は5億円の赤字(前年同期は25億円の黒字)、最終的な儲けを示す純損益は58億円の赤字(前年同期は52億円の黒字)です。
かっぱ寿司の売上高は低下傾向を示しています。近年は最終赤字に陥ることがしばしばあります。業績悪化が著しい状況です。今回実施した食べ放題のサービスは業績悪化からの起死回生を狙った施策という面もありそうです。

「安っぽい」ブランドイメージ刷新でつまずき

かっぱ寿司の「かっぱ」が絶滅した――。
かっぱ寿司といえば、頭に皿を乗せた全身緑色の「かっぱ」がトレードマークだった。その「かっぱ」が消費者に「安っぽい」という印象を与えていると考え、昨年の10月から「かっぱ」のロゴを外し、皿を数枚重ねた図柄のロゴに差し替えた。そして6月2日、運営会社のカッパ・クリエイトは「かっぱ寿司」の全国330店の看板を新しいロゴに刷新したと発表した。
業績の足を引っ張る要因ともなったのがブランド戦略の見直しだ。かっぱ寿司といえば、文字通り河童をイメージキャラクターにした看板を掲げてきたが、そのブランドロゴを刷新。
スタイリッシュになったブランドイメージは、消費者からの認知向上や客単価アップに一時的な効果をもたらしたが、広告宣伝費と販売促進費などの投資を回収するまでには至らず、結果的には利益を圧迫してしまう形となった。

かっぱ寿司の広報も食べ放題第1弾の際、ブランドイメージ刷新(リブランディング)に言及しています。

かっぱ寿司を運営するカッパクリエイトの広報によると「お客様が値段を気にすることなく、テーブルいっぱいにお寿司を並べるキャンペーンとして企画しました。また、今後リブランディングしたかっぱ寿司の新たな柱とするべく、20店舗を選定しトライアルを開始しました」という今回の食べ放題。

食べ放題を「新生かっぱ寿司」を知ってもらう“きっかけ”に

味には自信があるが、それを知ってもらう機会がない。そのことが今ではかっぱ寿司の経営課題となっている。そこでより多くの人に味を知ってもらおうと誕生したのが"食べ放題"なのだ。
「コロワイドグループに入り。ネタの品質向上に取り組んだ。リブランディングを行ったのも、味の向上を知ってもらう機会にしたかった。今回の食べ放題ももっと知ってもらいたいというのが大きな動機になる」(澄川専務)

食べ放題が話題になったことは、「新生かっぱ寿司」の認知にプラスに作用しているかもしれません。

食べ放題企画は、この新生かっぱ寿司を多くの人に体感してもらうための絶好の機会といえるだろう。食べ放題企画の初回から店舗を限定することで話題づくりの面まで狙ったのかまではわからないが、現時点ではすでに多くの人に認知されている。狙い通りに「食べホー」はいい形でのスタートが切れそうだ。

そして、経営陣も手応えを感じているようです。

大野健一社長は「食べ放題をきっかけに、またかっぱ寿司に行ってみたい、というお客が増えた。認知度も上がった。かっぱ寿司っておいしくなったよね、という声をいただく機会が非常に増えている」と話す。澄川専務も「今までいなかった客層、高校生の姿も多く見えた。おいしいという声も多く大変励みになっている」とする。

利益は出ているのか?

誰もが気になる「利益は出ているの?」という疑問について。澄川浩太専務は「どう考えても薄利な状態」としつつも利益は出ているとし、次のように利益以外のメリットも強調しています。

「原価率は高いが、これまでのトライアルでは収益は出ている。また、(平日の午後という)アイドルタイムを活用できるというメリットもある。ただ、食べ放題によって利益を積み上げるという考えではなく、『新しいかっぱ寿司』を知ってもらうきっかけや、認知度やブランドイメージの向上を目指したいと考えている」(澄川浩太専務)

食べ放題以外の新プロジェクトも始動

「食べホー」が発表された10月26日には、お寿司を一貫ずつ提供する「1皿50円」と、平日のランチサービス「ハッピー平日かっぱ寿司」という2つの新プロジェクトも発表されています。

「一皿50円」は11月下旬よりトライアル開始

一貫オーダーは11月下旬より首都圏10店舗でトライアルを開始。女性や年配の消費者を中心に「二貫ずつだとすぐにお腹いっぱいになってしまう」「いろいろな種類のネタを食べたい」といった声があることを受けて実施が決定したそうです。

「ハッピー平日」は来年1月に商品化予定

平日に来店するユーザー向けのメニューも展開する。ランチセット、丼ぶりメニュー、デザート、女性向けのメニューなど、平日ならではのサービスや商品を開発し、18年初頭をめどに販売を目指す。

食べ放題効果で業績も危機的状況から脱却

運営企業の営業利益が2倍に

かっぱ寿司の業績が持ち直しています。
運営するカッパ・クリエイトは10月31日、2017年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比0.6%増の401億円、本業の儲けを示す営業利益が2倍の2億9,200万円だったと発表しました。厳しい経営状況が続いていましたが、なんとか踏みとどまっています。

「食べ放題」の話題が食べ放題以外での集客にもつながった?

食べ放題は予想を上回る反響があったといいます。時間帯比較で通常営業時の3~4倍程度の来客があり、延べ利用者数は11万人を超えました。各店で行列ができるなど大きな反響がありました。そのことが話題となり、食べ放題キャンペーン以外での集客にもつながったとみられます。

CMによる「新生かっぱ寿司」アピールも集客に貢献か

食べ放題のところでも触れた「新生かっぱ寿司」のアピール方法として、シリーズもののCMも放映されています。

7月からは新たなCMを放映し、話題を集めました。女優の吹石一恵さんが扮する女漁師が、かっぱ寿司社員(岡山天音さん)と共に成長していく姿を描いたシリーズもののCMです。視聴者に「変わったかっぱ寿司」を感じてもらいたいといいます。
どれも、かっぱ寿司が変わっていくことを訴求することに重点を置いたものとなっています。このCMも集客に貢献したと考えられます。

食べ放題へ行く際に気をつけたいポイント

現在開催されている「食べホー」は残念ながら22日で終わってしまいますが、好評ならば再度開催されるかもしれません。
しかし、異例とされる回転寿司の食べ放題だけに、初めてチャレンジする際には戸惑うことがあると思われます。そこで、食べ放題を思う存分楽しむためのポイントをいくつかチェックしておきましょう。

予約時間から食べられるとは限らない

店員さんがめっちゃ忙しそうなのです。店内は混んでいるというほどではないにも関わらず、店員さんは食べ放題システムに慣れていないのか、食べ放題のルールの書いた紙を片手に、バタバタしていました。
15時の予約だったものの、結局食べ放題が始まったのは15時25分(60分間の食べ放題はここからカウント)。予約時間からスタートできないこともある様子です。食べ放題を利用する場合は、時間に余裕をもったほうがいいかもしれません!

食べ放題限定メニューをチェック

食べ放題でしか食べられない限定メニューもいくつか存在します。中でもオススメなのが、ぶるんぶるんの杏仁豆腐。
この弾力の強いブルンブルンな杏仁豆腐と、シャリシャリのフローズンマンゴーの組み合わせが意外と美味しい。後味もサッパリしているので、お寿司が飽きたタイミングに丁度いいです★

残したら罰金

かっぱ寿司の食べ放題では、1貫残すと30円の罰金があります。
たくさん食べたい気持ちがはやるあまり、注文しすぎてしまった……なんてことにならないよう、お気をつけくださいまし!

「原価率」を意識してトクした気分に

“原価率”が重大要素。対象メニューの中から、いかに原価の高いネタをチョイスするか、同時に、原価の安いネタをチョイスしないかにかかっている。
まずは、原価率の高いネタから。最終ページの表にある通り、筆頭は「ウニ」の80%、次いで「マグロ」の75%だ。
そして、「穴子」や「いくら」の原価率も、約60~65%と非常に高い。
他にも「赤貝」「ツブ貝」をはじめとした貝類、旬の期間の短い白身魚などは、原価が高いという。加えて、人気の「サーモン」も、原価率50%を切ることはまずないという。

第2弾となった回転寿司「4強」特集ですが、今回は記事の量からもわかるように、スシローとかっぱ寿司の勢いが感じられる内容となりました。特にスシローは元気寿司との経営統合協議や新たなプロジェクトなど、矢継ぎ早に新戦略を打ち出していて、業界トップならではの勢いを感じます。今後も4強の戦いの行方を楽しみにしつつ、面白い動きがあれば第3弾もやってみたいと考えています。