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森林が大気中マイクロプラスチックを捕捉することを世界で初めて実証--ヒトによるAMPs吸入リスク低減において森林が重要であることを明らかに--

Digital PR Platform / 2024年3月27日 14時5分

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日本女子大学(東京都文京区、学長:篠原聡子)を中心とする研究グループは、大気中のマイクロプラスチック*1が樹冠の葉の表面にあるエピクチラワックスに吸着することを発見し、森林が大気中のマイクロプラスチックの陸上シンク(吸収源)として機能する可能性があることを明らかにしました。
マイクロプラスチックといえば、世界中の海に蓄積しているものを思い浮かべることが多いかもしれませんが、私たちが呼吸する空気中や空にもマイクロプラスチックは存在しています。本研究によって、森林が空気中のマイクロプラスチックの吸収源となり、人類にとって新たに重要な役割を果たしている可能性を明らかにしました。





◆ 森林は、日本国土の約6割、世界の陸地の約3割を占める重要な生態系です。森林には、表面侵食防止、洪水緩和、水源貯留、保健・レクリエーション、水質浄化能、大気浄化能、二酸化炭素吸収など多面的機能があり、これらは生態系サービスと呼ばれています。



◆ 近年、マイクロプラスチックは様々な環境媒体のみならず、人体からの検出も報告されていますが、体内摂取経路として空気吸入が最も多いことが指摘され、大気中マイクロプラスチック(AMPs: Airborne microplastics)に注目が集まっています。しかし、これまで国内外で森林域のAMPsを研究した例はなく、森林樹冠*2によってAMPsがどれくらい捕捉されるのか、どうやって捕捉されるのかについて明らかになっていませんでした。


◆ 本研究グループは、首都圏に位置する日本女子大学西生田キャンパス(神奈川県川崎市)内の森林にて、2022年6 ~ 8月に主要落葉広葉樹であるコナラ葉を採取し、葉面に捕捉されたAMPsの新規分析法を開発し、AMPsの捕捉機構について検討しました。


◆ その結果、AMPsは葉面のエピクチクラワックス*3に強く吸着しており、超純水による葉面洗浄、超音波洗浄では除去しきれず、アルカリ試薬による除去が不可欠であり、先行研究ではAMPsの葉面捕捉量を過小評価していた可能性が明らかになりました。


◆ 本研究の結果を用いると、日本全体のコナラ林(約32,500 km2)は年間約420兆個もの膨大なAMPsを樹冠で捕捉していると推計されます。また、街路樹や公園林などの都市林がヒトのAMPs吸入リスクを低減している可能性、また森林生態系では樹冠に捕捉されたAMPsは落葉とともに林床に落下し、森林生態系に大量に蓄積している可能性が示されました。

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