日本映画「すべての夜を思いだす」海外セールスを担当したのは中国の会社だった 創立メンバーが語る“これまで”と“これから”【アジア映画コラム】
映画.com / 2024年3月10日 6時0分
(C)2022 PFFパートナーズ(ぴあ、ホリプロ、日活)/一般社団法人PFF
北米と肩を並べるほどの産業規模となった中国映画市場。注目作が公開されるたび、驚天動地の興行収入をたたき出していますが、皆さんはその実態をしっかりと把握しているでしょうか? 中国最大のSNS「微博(ウェイボー)」のフォロワー数280万人を有する映画ジャーナリスト・徐昊辰(じょ・こうしん)さんに、同市場の“リアル”、そしてアジア映画関連の話題を語ってもらいます!
3月2日から公開されている清原惟監督の最新作「すべての夜を思いだす」は、第26回PFFスカラシップ作品として誕生し、第73回ベルリン映画祭フォーラム部門への正式出品など、世界中の映画祭で絶賛されています。
実は、この作品の海外セールスを担当しているのは、中国の会社「PARALLAX Films」なんです。
近年、日本における中国インディーズ映画の上映は少しずつ増えています。昨年披露された「椒麻堂会」(チュウ・ジョンジョン監督)、「宇宙探索編集部」(コン・ダーシャン監督)、「草原に抱かれて」(チャオ・スーシュエ監督)、「海街奇譚」(チャン・チー監督)は、すべて「PARALLAX Films」が海外セールスを担当している作品です。
今回は「PARALLAX Films」の創立メンバー・趙晋(ジャオ・ジン)氏にインタビューを行い、中国映画界の新世代の新たな側面を探求してみました。
──まずは、趙晋さんの自己紹介からお願いします。
2014年、中国の大学院の修士課程を終えた後、フランスに行き、エコール・デ・ボザールで博士課程をはじめました。映画の勉強ではなく、哲学の勉強です。あの時、本当は映画を勉強したかったんです。でも、中国の大学院の先生からのアドバイスを受けて、哲学を専攻しました。当時は、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズについて、研究したいと考えていました。ジル・ドゥルーズは「シネマ1*運動イメージ」「シネマ2*時間イメージ」など映画関連の著書も発表していましたから。しかし、大学院の先生から「もっとクラシックからスタートした方が良い」と言われて、博士課程ではアンリ・ベルクソンについて研究することにしました。
フランスの大学院は授業が少ないので、基本論文さえ完成出来ればよかった。そのため博士課程中は、ずっと映画を見ていましたね。映画祭で最新の映画を見たくて、三大映画祭を中心に毎年回っていました。プレスとして三大映画祭に行きたかったので、2014年からは、中国の映画専門誌に積極的に寄稿し、2015年のベルリン国際映画祭から、映画誌の記者として映画祭を取材しはじめました。
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